思い出

 どこをどう歩いてきたのか、ボクはほとんど覚えていない。
 ただボクは、ママがくれた大切なハンカチを取り返したかっただけなんだ。
 風に吹かれ飛ばされ、落ちたと思ったら犬が咥えて逃げ出し、追いかけて追いかけて、気がついたらここにいた。木々の間を通り抜けた覚えはあるけど、その先にこんな場所があるなんて……ボクは知らなかった。
 追いかけていた犬は見あたらない。でも取り返したいハンカチはあった。足の長い草の上にかろうじて引っかかり、ヒラヒラと今にもまた飛ばされそうになって。
 そこは沼だった。沼だと思う。始めて見るからよく判らないけど、水たまりでも湖でもないから沼なんだと思う。草がいっぱい生えていて、水はそんなに深くなさそうで、でも入ったら靴が汚れそう。でも入らないとハンカチは取れないよ。
 どうしよう……ボクは困っていた。ハンカチは取りたいけど、入ったら汚れちゃうよ。ハンカチを無くしたらママが悲しむかな。でも靴や服を汚したらママに怒られる。どうしよう……どうしよう。本当に困った。だからボクは悩んだ。悩んで悩んで、ボクは一歩足を出した。ママに怒られるのはとってもイヤだけど、ママが悲しむのはもっとイヤだ。だからハンカチを取り返さないと。
 ぐにゅって、変な感触がする。そして少し足が沈む。生暖かい感じが足いっぱいに広がってきた。なんだよこれ、気持ち悪いよ。でも早くハンカチ取らないと。もう一歩だけ歩く。また足がぐにゅって沈む。両足が変な感じ。気持ち悪い。でもまだハンカチに届かない。次の一歩。足が重い。埋まった足がすぐに抜けない。勢いよく足を上げたら、靴が脱げた。そして脱げた足で前に出ちゃった。ずぶって沈んで、もっと気持ち悪い。どうしよう、靴脱げたからもう一度履こうとして足を上げようとしたら、もう片方の足がずぶずぶって沈んで、上手く立てない。足が抜ける。靴下が脱げてる。ビシヤッて、音がした。ボクが倒れたからだ。ボクは水浸しで泥だらけで、パンツまで濡れて、気持ち悪くて……泣き出していた。
「あらあら……どうしたの? 坊や」
 声がする。女の人の声。振り返ると、そこにお姉さんがいた。長い緑色の綺麗な髪をした、肌の白いお姉さん。そのお姉さんがボクを見下ろして笑ってる。
「どうしたの?」
 お姉さんがまた言った。だからボクは言った。ハンカチ、ハンカチって、シャックリしながら何回も。
「ハンカチって……これ?」
 お姉さんがボクにヒラヒラって手に持ったハンカチを見せてくれる。ママから貰ったハンカチだ! ボクは返してってお願いして手を伸ばした。そうしたらお姉さんが笑いながら変なことを言う。
「どうして?」
 どうしてって、それはボクのハンカチ。ママから貰った大切なハンカチ。なんでお姉さんは返してくれないの? なんで意地悪するんだろう。ボクは判らなくて、また泣きながら返して返してって何度も、声を詰まらせながらお願いする。
「返して欲しいの?」
 ボクは何度も頷いた。そしたらお姉さんがまた笑う。
「返してもよろしいですけれど、その時はなんて言うのかしら?」
 返してください、お願いしますって、ボクは言った。お姉さんはまた笑って、ボクに言う。
「イヤだって言ったら、どうなさいます?」
 もう判らないよ。ただボクは悲しくて、判らなくて、泣くことしかできなかった。やだ、返して、ボクの、返して……何度も何度も、お姉さんに言った。なのにお姉さんはずっと笑ってる。
「ウフフ……では返して差し上げますが、その前に私のお願いを聞いてくださいますか?」
 ボクは何度も首を振る。聞くから返してって、言いながら。
「フフ、良い子ね……では私が良いと言うまで、ジッとしているのですよ?」
 よく判らないけど、ボクは言われたとおりジッとした。
「まずは身体をキレイにしなくてはね」
 ボクは転んだから泥だらけだ。お姉さんはそんなボクの服を脱がそうとしている。ジッとしててって言ってたけど、そのままだと脱げないからボクはバンザイして服を脱がして貰う。その服を、お姉さんはいっぱいの草で出来た机に置いてくれた。
 あれ? あんな机みたいなのあったっけ? でもすごいや……草だけで出来てるよ。草をそのままぐるぐるにして机にしているみたい。だから沼からそのまま机が生えてるみたいになってるんだ。
「ほら、こっちも……」
 お姉さんはそう言うと、ボクのズボンに手を掛ける。でもそこは恥ずかしいよ……思わずズボンに手を掛ける。でもお姉さんは手を放してくれない。そしてジッとボクを見るだけ。仕方ないからボクは手を放して、お姉さんにズボンも、そしてパンツまで脱がせて貰った。だからボクは今裸だ。裸になっちっやたよ。
「それでは、身体を拭きましょうか」
 そういってお姉さんは、ボクの大切なハンカチを水で濡らしちゃう。アッて、思わず声を出しちっゃたけど、でもお姉さんはまた笑ってるだけ。そして濡らしたハンカチで、ボクの身体を拭き始めた。
 お姉さんはママやパパがお風呂でしてくれるみたいに、ボクの身体を洗ってくれる。大切なハンカチが汚れるのは嫌だけど、ハンカチは汚れを拭く物だから仕方ない。それにボクが何を言っても、このお姉さんは笑ってボクの身体を拭き続けると思う。その笑顔を見てるとなんだか……照れくさくなるのと一緒に、ゾクッて、ボクの背中が震えてしまう。でもこれ、お姉さんの笑顔を見ているからなのかな……それだけじゃなくて、お姉さんに身体を拭いて貰っているからだって、ようやく気付いた。
 濡れたハンカチが、ゆっくりとボクの身体を撫でていく。その度にボクはゾクゾクと身体が勝手に震えてしまう。パパだったらにゴシゴシするからちょっと痛いけど、お姉さんは優しく拭いてくれるから痛くない。でもそれがくすぐったくて、でも嫌じゃなくて……よく判らないけど、もっとやって欲しいって思っちゃう。なんだろう、ママに頭を撫でて貰う時みたいな、ちょっと嬉しい心地好い感じが全身からするみたい。このお姉さん意地悪なことばかりするから嫌いだったけど、なんだか今はママみたいに優しいから好き。
「フフッ……さあ、ここも綺麗にしましょうね」
 ハンカチをもったお姉さんの手が、ボクのオチンチンを触っている。そこは汚いよって言ったけど、やっぱりお姉さんは止めてくれない。ハンカチでボクのオチンチンを拭いている。
 なんだか……凄く変な気分。さっきまでみたいに拭いて貰うのは気持ちいいんだけど、さっきよりもゾクゾクしてる。お姉さんは今までよりも長く、ずっとオチンチンばかり弄ってる。オチンチンだけじゃなくて、キンタマも触ったり、手で掴んで揉んだりして……綺麗にしてるって感じじゃない。ボクをオモチャみたいに弄って楽しんでるみたい。だってお姉さん、さっきよりも嬉しそう……でもイヤじゃない。なんだか……気持ちいい。でもやっぱりなんか、変だよコレ。
 気がついたら、ボクのオチンチンが変になってる! なんか大きくなっちっゃた! なんで? お姉さんがずっと弄ってるからだ……ヤダよ、なんだよコレ……どうして? 変だよ。なんかビクビクってオチンチンが勝手に動く……おかしいよ。変だよ。怖いよ……だけどお姉さんは笑ってる。ボクがヤダよって言ってもずっと……お姉さんはボクを見つめて、ニコって笑った。
「もっと、ちゃんと綺麗にしてあげますからね」
 お姉さんはボクをいきなり掴んで、いつの間にかボクの後ろにあった草の机にボクを乗せる。服を載せてる机より大きくて、高い机。お姉さんはボクを机に座らせて、またジッとしててって言う。ヤダ、逃げたいって思ったけど、まだハンカチ返して貰ってないし……わかんないけど、やっぱり逃げたくないって思った。
 机の前でお姉さんが屈む。そしてボクの足をグッて広げて、ボクのオチンチンをじっと見てる……恥ずかしいよ。大きくなって変になったオチンチンを、お姉さんが笑いながら見てる。そんなお姉さんを見てると……さっきまでより、お姉さんが綺麗に見えてきた気がする。
 じっと見ていたお姉さんの顔が、ボクのオチンチンに近づく。アッて思ったときには、お姉さんがボクのオチンチンを食べちゃった! そしたらお姉さん、ボクのオチンチンを口の中でモゴモゴしながらベロでボクのオチンチンをペロペロ舐めてる。汚いよ、ヤダよって、何度言ってもお姉さんは止めてくれない。僕はもう泣き出してた。だってこれ変だよ。おかしいよ。おかしいのに、気持ちいいの。変な気分だよ、おかしい感じだよ、コレ、やっちゃイケナイことなんだよ!
 泣きながら止めてよって、ボクは何度も言った。とってもイケナイ事をしてるって、思ったから。だけど……気持ち良くて、お姉さんも嬉しそうで、ボクなんだか判らなくなった。イケナイのに気持ち良くて、止めなきゃいけないけど止めて欲しくなくて、もうどうしていいのかわかんない!
 頭の中がごちゃごちゃしてきたら、お姉さんがヒドイことを始めた。いつの間にかお姉さんの手がボクのお尻の下に潜ってて、そしてズッて中に入れてきて、アッて思ったらお姉さんの指がお尻の穴の中に入ってきた!
 ワァァって、ボク叫んじゃった。だって、なんでこんなことするのか、判らないんだもん。こんな所に指入れたら汚いし、ここはウンチするところだから指を入れる所じゃないし、でもお姉さんは中に入れて、指をグニグニって動かすの! それでオチンチンもまだ食べてるし、もうどうしていいのかわかんない!
 ヤダ、助けてって、何度も言った。叫んだ。でもお姉さんは止めてくれない。もうずっと、ブルブルって身体は震えてばっかりで、とっても……気持ちいい。でもイケナイよこれ、ダメなんだよ。よくわからないけどダメなんだよ! でも、でも……ヤダよ、変だよ、ボク変になっちゃうよ。お姉さんにオチンチン食べられて、ベロでペロペロされて、お尻の穴に指入れられて、ボク……変になってる!
 お姉さんはずっと笑ってる。その顔が怖くて……でも綺麗で……わかんない。このお姉さんが何をしてるのか、ボクが何をされてるのか、わかんない。わかんないけど、ダメだよ、イケナイんだよ。でも気持ちいいんだよ……
 ボクはもう泣いてなかった。でもハァハァって、息してる。苦しいんだ。なんかとっても苦しくて、身体が熱いよ。裸なのに熱いんだ。ボク、ハァハァ言いながら……身体がブルブル震えてる。熱いのに、背中はやっぱりゾクゾクってする。それに……だんだん、おちんちんの辺りが変な感じになってるの。これ、オシッコだ! オシッコが出そうなんだ。だからボクはまた言ったの。オシッコ出ちゃうよ、放してよ、ダメだよって。そしたらようやくお姉さんがオチンチンを口から出して、また優しそうにボクを見上げながら笑った。
「いいのよ? このまま出してしまいなさい」
 このままって……お姉さんはそれだけ言ったらまたボクのオチンチンを食べちゃった。え、なんで? だってこのままオシッコ出ちゃったら、お姉さんの口に出しちゃうよ? なんで? 変だよ、おかしいよ……でもお姉さんはまたペロペログリグリやり始めちっゃて、ボクもう我慢できなくて……オシッコ、しちゃった……お姉さんの口の中に……でもなんか変だよ……オシッコしてるのに……すごく……気持ちいいんだ……なんだろうこれ……
「フフ……こんなに沢山出しましたわね」
 お姉さんが口を開いて中を見せてくれた……なかはオシッコじゃない、なんかへんなの……白い変なのがいっぱい……え、これボクが出したの? 嘘だ……ボクこんなの出ないモン! おかしいよ、だってそんなの見たこと無いし、だって、だって……
「……んっ、コクッ」
 お姉さん、飲んじゃった……あの変な白いの飲んじゃった……それを見てたら、なんだかボクまでゴクッてツバ飲み込んじゃった……そんなお姉さん見てたら、オチンチンがまたピクッて動いちゃった。オチンチンが元に戻ってる……と思ったのに、そのオチンチンがまた大きくなってきた! なんで? やっぱり変だよ……オチンチンが勝手におっきくなってる! なんで、なんで?
「さぁ坊や。次はここに……オシッコしましょうか」
 お姉さんの声に気付いて、ボクはオチンチン見るのを止めてお姉さんを見た。そしたらお姉さんは、裸になってた。そしてお姉さんはオチンチンが無い場所に指を当ててる。そしてオチンチンの無いところを……グッて広げたら、なんか変なのがある! 女の人ってオチンチンが無いのは知ってたけど、オチンチンの代わりにあんな変なの付いてるんだ……ピンク色のそれが、なんかキラキラ光ってる。
「横になって」
 ボクはお姉さんが言うように、草の机の上で寝た。そしたらお姉さんも机の上に乗って、ボクの上に立ってる。さっき見せてたオチンチンの代わりの変なのをボクに見せながら。
「ここにね、坊やのオチンチンを入れるのよ」
 入るの? 入れる場所なの? それって……やっぱりイケナイことのような気がする。でもイケナイけど……さっきみたいに気持ち良いかなって思っちゃった。
 お姉さんがまたボクのオチンチンを掴む。そしてお姉さんはゆっくりと腰を下ろしてきて、ボクのオチンチンをお姉さんのオチンチンのないところに押しつけて……入っちゃった。
 入った瞬間、ボクまたウワァアって叫んじゃった。ぬるっとしててぐにゃっとしてて……さっき足が沼に沈んだみたいに、ズブズブって、オチンチンが入っていって……あの生暖かい変な感じがオチンチンを包み込むんだ。それがなんだか……変な感じで、気持ちいいよ。
 お姉さんはボクのオチンチンを入れながら、腰を振り始めた。ピョンピョンってお遊戯するみたいに飛び跳ねて、でもボクのオチンチンはお姉さんから出てこない。ずっと入ったままピョンピョンってお姉さんが跳ねてて……さっきベロでペロペロされたよりもオチンチンがなんかすごい変な感じになってる。お姉さんの口の中も温かかったけど、ここも暖かくて、ベロもぬるぬるしてたけど、ここもぬるぬるしてて、さっきもイケナイけど気持ち良かったって思ったけど……もっと気持ち良いよ! なにこれ、やっぱりおかしいよ。ボク、ボク、やっぱり変になる! ジュブ、ジュブって、お姉さんが飛び跳ねる度に音がする。その音がイケナイ音だって、よくわからないけどそう思う。でもその音が……なんだか耳に残って……イケナイけど、すごくなんか、ボク、なんかもう、わかんない、わかんないよ。
 気がついたら、ボク寝っ転がりながらお姉さんと一緒に腰をピョコピョコ振ってた。それを見てお姉さんが笑うんだ。そのお姉さんがとても綺麗で、なんだか……大好きになった。やっちゃっダメだって、ダメなんだって思うけど、止まらないよ。止まらないんだ。なんかボク、ずっとお姉さんお姉さんって、そればっかり言ってる。そしてお姉さんはやっぱり笑うの。笑いながら、ずっと飛び跳ねてる。
「そろそろね……」
 微笑みながらお姉さんが言う。なにがって思ったけど、すぐに判った。また、ボクのオチンチンがムズムズってしてる。お姉さんの中でおっきくなりながらムズムズしてる。またオシッコしちゃうんだ。オシッコ、気持ちいいオシッコ、しちゃう、したい、したいよ、オシッコ、オシッコ、オシッコ!
さっきよりも、ドバッて沢山出た……と、思う。オチンチンが爆発するんじゃないかって、そう思ったから。でもオシッコした瞬間すごく気持ち良くて、気持ち良くて……ボク、眠くなっちゃって……お姉さんがフフって笑う声は聞こえたけど……後は……よく……わから、な……い……

 気が付いた時には、僕は近所の草むらで寝ていた。母のハンカチを手にしながら。
 あの時のことは今でもハッキリと覚えている。それこそ何度も夜に思い返し、当時の僕はあの時のお姉さんがしてくれたように……ハンカチで自分の股間を弄っていたくらいだ。
 それなのに……僕はあれから、あのお姉さんに会っていない。何度も会いたいと思い沼を捜したが、あの時の沼にたどり着くことも出来なかった。
 今にして思えば……不思議なことだらけだ。二度とたどり着けない沼にどうやって行ったのか、それも不思議だが……あのお姉さんは誰だったのか? 見事なほど輝く緑色の髪……カツラや塗料ではあんなに美しく輝かせることは出来ないだろう、あの長い髪をもったお姉さんは誰だったのか? 何故幼かった僕にあんな事をしたのか……ただの痴女だと片付けるには符合しないことだらけだ。
 何より……僕は何故あの時、射精できたのか。年齢的に、僕はまだ精通していなかったはずだ。実際あの日から毎夜、母のハンカチをあてがい自慰に耽っていたが……気持ち良いどころか痛くなるばかりで、当然射精も出来なかったのを覚えている。それでもまたあの快楽を味わいたくなり、幼かった僕は必死で沼とお姉さんを捜し始め……今の今まで、ずっと探し続けていた。
 精通した時には子供ながらにはしゃいでいたな。だがあの時の感覚とはほど遠く、結局は沼とお姉さんを捜し続ける日々は続いた。周囲を探しても見つからず、遠くにまで足を伸ばし迷子になったことも多かった。しかし迷子になってもあの時のように沼にたどり着くことはなかった。毎日のように遠くへ出かけるボクを両親も学校の先生もどうしたものかと心配してくれていたが、探すのを諦められなかった。それと同時に、夜はあの時を思い出しハンカチで自慰をする。ハンカチがすり切れたら新しく同じハンカチを貯めた小遣いを使って買い、また自慰に拭ける……その繰り返し。
 成長し知恵が付いた頃には昔の地図を引っ張り出して沼だった土地を探したり、そして財力がつき始めてからはハンカチの代わりに絹の手袋を買って、それで自慰したり……その筋の女性にその手袋をして貰ってからやって貰ったりもしたか。それでも沼もお姉さんも見つからず、性的な満足もあの時のようには得られなかった。
 そうしてもう、僕も良い年の大人だ……それでもまだ、あの頃から続く「習慣」は続いている。続けることが使命、あるいは宿命か……探し続け求め続けることが、呼吸するのと同じくらい当たり前のようになっていた。
 そして……とうとう、僕はたどり着いた。あの時の沼に。
 突然霧が立ちこめたかと思えば、急に視界が開け、あの時の沼に立っていた。周囲には足の長い草が生え、そして奥には……あの時のお姉さんが、草のベッドの上で横になり、こちらを眺めていた。
 僕は駆け寄ろうともがいた。沼に足を取られ、靴が脱げ、靴下も脱げ、何度も転びながらも、ドロドロになりながらお姉さんの元へ。やっと、やっと会えた……憧れの、探し求めたお姉さん……息を切らせながらたどり着いた時、お姉さんはあの時のように微笑んでくれた。
「あらあら。またいっぱい汚しちゃって……ダメな坊やね」
 だってボクは、ずっとお姉さんに会いたかったんだもん。やっと会えたお姉さんは、ボクを見て笑ってくれる。ボクも嬉しくて、笑ってた。
「どうしたの? 坊や……また、お姉さんにして欲しいのかしら?」
 ボクは首がもげるくらいにウンウンって何度も頷いた。だって、ずっとお姉さんのことばかり考えていたんだもん。お姉さんと気持ち良くなることばっかり、それしか考えられなかったんだもん。
「どうして?」
 お姉さんがイタズラっぽく笑って言う。どうしてって……判ってる癖に。だからボクは言った。オチンチンを気持ち良くしたいからだって。
「気持ち良くなりたいの?」
 ボクは何度も頷いた。そしたらお姉さんがまた笑う。
「してあげてもよろしいですけれど、その時はなんて言うのかしら?」
 してください、お願いしますって、ボクは言った。お姉さんはまた笑って、ボクに言う。
「イヤだって言ったら、どうなさいます?」
 なんでこんな意地悪なことを言うんだろう。ボクは悲しくなって……背中がゾクゾクってして、なんだか変な気分になった。ボクは泣きながら、お願いします。気持ち良くしてくださいって、何度も何度もお願いした。
「フフ……そこまで言うならしてあげてもよろしいですけれど……もう二度と、ここから出られなくなりますわよ?」
 構わない。ずっと探していた場所に来られて、そしてお姉さんに会えたんだから。だからボクはしてしてって何度もお強請りした。
「しょうがない坊やですわね……ほら、こちらへいらっしゃい」
 ボクは急いで草のベッドに上がった。そしてお姉さんがしてくれるのを待っている。
「今度は坊やが好きになさい」
 そういってお姉さんは服を脱いだ。真っ白な透き通る肌が眩しく輝いている。ボクはお姉さんに見取れて、何も出来ない。
「どうしたの? ほら、遠慮せずいらっしゃい」
 ボクはおずおずとお姉さんに近寄る。ずっとずっと、探し求めたお姉さんがすぐ側にいる……そしてボクは……ずっと持ち歩いていた絹の手袋を取り出した。服は泥だらけなのに、手袋は綺麗なままだった。
「これを付けて欲しいの?」
 ボクは何度も頷く。
「これを付けて……どうして欲しいのかしら?」
 ボクは言った。オチンチンを弄ってくださいって。
「あらあら……坊やはすっかり変態さんになっていたのね」
 罵る言葉に、ボクはゾクゾクと背筋を振るわせた。とても、とても嬉しいんだボクは……。
「自分で服を脱ぎなさい。それくらいは出来るようになったでしょう?」
 慌ててボクは服を脱ぐ。脱いだ服は邪魔だから捨てちゃう。パンツが大きくなったオチンチンが邪魔で脱ぎづらかったけど、これもすぐに捨てちゃった。
「後ろを向いて……坊やを気持ち良くしてあげるから」
 言われたとおりお姉さんに背中を見せる。そしたらすぐに、背中にふわって柔らかい物があたった。これがお姉さんのオッパイだって気付くのに、ちょっと時間がかった。だってこんなに、当たるだけで気持ちいいオッパイなんて初めてなんだもん。
 お姉さんはオッパイをボクに押しつけながら、後ろからボクのオチンチンを右手で触ってくれる。そして左手はボクのお尻の穴に。すごく気持ちいいから、僕は思わずあの時みたいにワァアって声出しちっゃた。
「いいのよ、もう何も我慢しなくて良いの……坊やが思うとおりにして、感じたいだけ感じて……気持ち良くなればそれで良いのよ」
 お姉さんが言うから、ボクは叫んだ。気持ちいいよ、気持ちいいよって、何度も。だって本当に気持ちいいんだ……お姉さんがボクの大きくなったオチンチンを何度も擦るんだ。絹の肌触りとお姉さんの優しい手触りと、そして激しい手の動きが、とってもとっても気持ちいいんだ。それにお尻に入れた指。グニグニって中で動く度に声が出ちゃうくらい凄いんだ! それに指が中の部分をコリコリってやると、オチンチンまで気持ち良くなるんだよ! 凄い、凄い気持ちいいんだ! これ、こんな気持ちいいの初めてだよ……スゴイや、あの時よりも気持ちいいだなんて!
 もう言葉にならない叫び声を上げるしかできないよボク。口開けたままウワーって叫んでて、涎が出ててももう気にしてられないんだ。だって気持ち良くて、それ意外のことも考えたくないんだよ。
「ピクピクってしてるの判る? 坊や」
 うん、判るよ、ピクピクって、気持ちいいってオチンチンが言ってる!
「そろそろ出そう?」
 うん、出る! ピクピクってして、出そうだよ!
「いいわよ、たっぷり出しなさい……坊や」
 フッと、お姉さんが僕の耳に息を吹きかける。それがこそばゆくて気持ち良くて……ドピュドピュって、いっぱい、出ちゃった……。
「あらあら、本当に沢山出たわね……まさかあの日からずっと我慢なさってたの?」
 そんなことはないけど……それくらいずっとお姉さんとしたかった。そればかり考えていたんだ。ボクはハァハァって息して涎ダラダラ垂らしながら、お姉さんに振り向く。
「まだしたいのね。いいわよ、今度はこちらね」
 そういうとお姉さんは寝そべって、足をいっぱいに開いた。そしてお姉さんのオマンコを指で開いてボクに見せている。
「ご覧なさい……坊やのいじってたらこんなになってしまったのよ?」
 お姉さんのが濡れてる……ボクのを弄りながら濡らしたんだ……ボクはもう我慢できなくて、すぐにお姉さんに駆け寄った。そしてお姉さんのオマンコに、ボクのオチンチンをいきなり入れちゃった。
「フフ、あわてんぼさんですわね……でもいいわ、好きになさい。坊やの好きなように」
 そう言われながら、ボクはもう好きに動いていた。お姉さんの足をもって、何度も何度も腰を振る。オチンチンをオマンコの中で擦らせる。お姉さんの中のヒダヒダがボクのオチンチンに張り付いて気持ち良くしてくれる。お姉さんの中から出てくるヌルヌルが絡みついて気持ちいい。いっぱいいっぱい腰を動かしても、そのヌルヌルがあるから沢山動ける。でもヌルヌルしてててもお姉さんの中はボクをギュッとしてボクのオチンチンを気持ち良くしてくれる。うん、気持ちいいんだ。とっても気持ちいいんだ。もうそればっかり。それしかない。気持ちいい。気持ちいいんだとっても……。
 ハァハァ言いながら、僕は腰を振る。ずっとそれだけ、それしかしない。それしかできない。それしかしたくない。気持ちいいことだけしたい。気持ち良くなりたい。気持ち良ければなんでもいい。気持ちいい、気持ちいいんだ。お姉さんの中とっても気持ちいい……気持ちいいよ!
 お姉さんは笑って。いつも笑ってくれる。ボクを温かく見下して、ボクを冷たく見守ってる。どうしようもなくいやらしいボクを笑ってる。腰を振ることしかできないボクを笑ってる。気持ちいいことしか考えてないボクを笑ってる。お姉さんが笑ってる。ボクは……幸せだ。
 お姉さんの中で大きくなってるオチンチンが、またビクビクってなった。また出る。出るんだ。ドピュドピュって出ちゃうんだ。出ちゃう。出ちゃうよ。ヤダよ……もっと、もっと気持ちいいの続けたい。でも出したらもっと気持ちいいんだ。もっと気持ち良くなりたいんだ。お姉さんの中に出したい。出したいよ……出る……出る……出ちゃう、出ちゃうよ!
 ボクの腰が止まった。アァァァアって、もう声にもならない言葉が口から涎と一緒に出てくる。そしてもちろん、ボクのオチンチンから気持ちいい白いのがいっぱいドピュドピュって出てる。まだ出てる……お姉さんの中に出してる。
 ああ、なんて気持ちいいんだ……気持ちいい……気持ちいいよ……でもまだ、まだ気持ち良くなりたいよ……お姉さん、気持ち良くして、気持ち良くさせて、気持ち良くなりたい。気持ちいいの好き、お姉さん好き、大好き、大好き、気持ちいいの……好き……す……き……

 きがついたら、ぼくはうかんでた。ふわふわって、うかんでた。
 でもこんどは、おねえさんもそばにいるよ。まだあのぬまにいるんだ。でもぼくは……ういてるよ。
 おねえさんがぼくをみてわらってる。すてきなえがおだよ。だいすきなおねえさんがわらってるだけで、ぼくはしあわせなんだ。でもぼくは、だいすきなおねえさんにさわれないの。こえもかけられないの。おちんちんもないの。ぼくはもう、ぼくじゃないんだ。
 ぼくとおなじように、おねえさんのまわりにはふわふわって、あおじろくひかってる「たま」がうかんでるの。ぼくもおんなじようにひかってるの。よくわからないけど、ぼくはここにずっといるんだ。
 わからなくていいや、おねえさんのそばにいられるなら。だいすきなおねえさんのそばにいられて、ぼくはしあわせだから。だからいいんだ、このままで。ぼくはしあわせ……しあわせなんだ……。
「フフ……」
 あ、おねえさんがまたわらってる。うれしいな。わらってくれてるよ。ぼくをみてわらってくれたよ。おねえさんがぼくをてにのせてわらってる。やったー、ぼくおねえさんにさわってもらってる。おちんちんないけど、さわられてしあわせ。すごくうれしい。おねえさん、もっとぼくをさわってよ、ぼくおねえさんがだいすきなんだ。だからおねえさんもっとぼ……

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