贖罪への実験

 いつものことだ。そう、いつものこと。例によって例のごとく、あいつらから呼び出しを受けた。
 あいつら……そう、魔女達だ。
 とはいえ、今日はあくまで「達」ではない。その内の一人、一人から呼び出された。むろん、一人だろうが三人だろうが、大差はない。というか、呼び出し自体はいつも大抵一人からなのだ。信じられないことに……ということを俺が言うべきかどうか……魔女達はそれぞれ、異なった研究を続けている。ただ最終結果がエロ方面で、最終的な人体実験に俺を使おうとするところが共通しているから、アプローチの違いだけで結果は同じ……俺が酷い目にあう。それを三様個別に呼ばれるから、たまったものではない。
 だがなんか……今日に限っては、ちょっと、いやだいぶ……様子がおかしい。
「正直に言おう。今回の実験は危険を伴う」
 普段、俺とをどうにか騙したり強引に決行したりと、手段は違えど最初から効能を具体的に説明して実験が始まったことはほとんど無い。その理由は色々あるが……大方が「俺の反応を見て楽しむため」であり、またそれが出来るだけの余裕……結果に誤差があっても危険ではないという自信があるからだ。
 だがどうだ。今回はそれをわざわざ公言した。それだけ……危険な実験だと言うことか。事前に言ってもらうのはありがたいが……だったら実験そのものを中止にして欲しいぞ。こっちの身もちょっとは考慮して欲しいんだがね。
「そこで……今回の被験者は私が直接行う」
 ……考慮してたよ。いや、ちょっと待てよ、これって……
「ただ見ているだけってわけじゃないよな? 俺は」
 ただ実験の成果を見守るだけなら、他の魔女達でも良いだろう。予期せぬトラブルに遭遇した場合の対処だって、俺よりは彼女達の方が慣れているはずだ。それでも、あえて俺が呼ばれた理由……そこが重要になる。
「相手を……して欲しい。まあ、いつものようにな。ただし……」
 言うなり、彼女の周囲がまばゆく輝き出す。これは……まずい! 俺はとっさに視線をそらした。
「この姿で、な」
「いきなり「戻る」な……くそ、見ちまったじゃねぇか」
 突然、彼女が変身を解いた。その姿は普段のように婆の格好でもなく、ましてコスプレをした若い姿でもなく……妖艶な、神々しいまでに美しい姿。まいった……チラリと視界に入っただけで、心を鷲掴みにされてしまう。今俺は、再び視線を戻し彼女を直視したくなる誘惑と懸命に戦っている。それだけ彼女は魅力的で、危険なのだ。
 かの英雄、オデュッセウスをも虜にした美貌を持つ魔女……それが彼女の正体。幾人もの男を虜にしたその美貌と美声に、魅入られない男はそういないだろう。ましてや、俺は普通の……色々語弊はあるがかろうじて普通の人間だ。直視したら心奪われて当然だろう。だから俺はすぐに視線をそらしたが……一度直視したらもう、その姿が目に焼き付いて離れない。そうなってから目を背けたって手遅れだな。
「ふふ、すまないな。だが今回は……どうしてもこの姿で、本来の私を相手して欲しいのだ」
 それが、この実験を行う覚悟の姿勢でもある。彼女はそう続けた。
 普段彼女が美貌を「落として」まで別人の姿でいるのは、色々と訳がある。その一つは、こうして俺がまともに相手できなくなるから、というのもあったりする。彼女曰く、こんな状態の俺ではからかいがいが無いそうだ。だから今まで、俺は彼女の「正体」は知っていても見たことはなかったんだが……。
「……詳しく説明してくれ。そんなに危険なのか?」
「そうだな……さて、どこから話せば良いのやら……」
 発端は、とある「鉱石」を手に入れたことに始まる。
 その鉱石は、彼女が交友を深めている「異界」の大魔導士から譲り受けた物だとか。まあなんだ……異界ときたか。どこからでも材料を手に入れてくるなコイツは。
 で、その鉱石には何らかの性的な効能があるとかで、その大魔導士はその鉱石から「超強力魔導強壮剤。勃起状態半日持続、射精量激増、そのうえ精液に性感作用が付くというおまけつき」っていうとんでもない薬品を作り出したらしい。だがこの薬には大きな欠陥があり、飲用者の魔力を根こそぎ奪いながら効能を継続させる副作用があるとのこと。あろうことか、その大魔導士は自分の弟子にその薬を飲ませ、弟子は三途の川を拝んでくるところまで追い込まれたらしい。むろん大魔導士は女性であり、弟子と色々盛大に……うむ、なんつーか、世界は広いな……俺のような境遇にある者が他にもいたんだな。名も知らぬそのお弟子さんに、俺は深く深く同情するよ。
 さておき、そんな鉱石をどうしたかといえば……まあなんだ、似たもの同士というか……譲ってもらった大魔導士と同じ事、つまり性的な薬品を作る事を思いついたらしい。その為に譲り受けたんだろうから当然といえば当然の発想だが……しかし彼女の場合、方向が微妙に違った。
「発想の転換というか、女性用に開発してみたのよ」
 つまり、女性の性感を極限にまで高める薬品。それこそ触れられるだけで失神しそうになるような……。
「人間達がよく調教物のエロ漫画とかで描く便利グッズと同じよ」
 身も蓋もない……というかね、ギリシャの女神がなんてものを読んでるんですか……ってまあ、今更か。
 彼女が開発したその薬は、性器だけでなくありとあらゆるところが性感帯になるほど強力で……。
「ようするに、「ぜっ、全身が性器になったみたいぃ」ってことかな」
 ……美声でそんな下劣な事言わないでください。興奮しちゃいますから。
「で……それを自分で飲用するから、相手をしろと」
「そういうこと。危険だからだいぶ薄めてはいるんだけど……目論見通り、性感帯に作用するとは思うけど、副作用とか……色々、実験しないと判らないことも多いのよ」
 特に魔力を消費する副作用が問題だと、彼女は言う。どれだけの魔力が消費されるのかが未知数で危険だと。
「だから元の姿に戻って、出来る限り魔力を維持したいと」
「うん、まあ……そういう事ね」
 他にも、男が服用した場合に起きた「射精量激増」や「精液に性感作用」などの効能が、女性の場合どうなるのかも判らないらしい。むろんある程度見当はついているらしいが、それも実験で確かめたいのだそうな。
「話はわかった……協力しよう。というか、なんだ……俺がそろそろ限界だ」
「あら、なにが限界なのかしら?」
 こいつ……判ってて言ってやがるな。くそ、こうやって言わされるのは癪だが、このまま自分を押さえ続けるのは限界だよ。
「美しいあなたを一目見た時から、自分を押さえられません。どうか……抱かせてください」
「あらあら、そこまで言えなんて一言も言ってないのに。ふふ、抑えの効かない獣ね、まるで」
 にゃろ……言わなきゃ言わないで、言わせる気だった癖に……
「……いいわ、抱かせてあげる。だから……こっちをちゃんと見て」
 もう抵抗する必要もない。俺は素直に彼女の言葉に従い、真っ直ぐに彼女を見た。
 そこには、見紛う方なき女神がいた。
 太古のギリシャ女性が着ていたドレーパリィ……真っ白な一枚の布を巻き付けるような衣装を身にまとったその姿はとても美しく筆舌し難い。ただ美しいだけでなく、そもそも右肩が露出する衣装であることもあり……妖艶だ。多くの男達が彼女に魅了され、そして豚に変えられていったのも頷ける。
「……飛びかかってくるかと思ったのに」
「どうにか理性が残ってるらしい……が、そろそろ限界だ」
 アイアイエ島に咲く美しい花々に誓って言うが、俺は色情魔ではない。美しい女性と見るや襲いかかる獣ではない。だが、彼女の美しさは男の理性を狂わせるだけの魅力がある。その美しさはまさに魔性。やはり通常の人間が直視するには「目に毒」だ。
「ふふ……さあいらっしゃい。もう我慢しなくて良いのよ?」
 その言葉に甘えさせて貰う。前言を撤回するような勢いで、俺は自分の服を脱ぐのも忘れ彼女に襲いかかった。
「んっ!」
「ん、大丈夫か?」
 襲いかかる勢いだったが、止まった。彼女に軽く触れただけで、互いが驚くほどに彼女は身を強張らせ声を発したから。
「大丈夫……もう薬が効いてるみたい」
「事前に飲んでたのか」
「薄めたから効果が出るまでに時間が掛かると思って……でも思っていた以上……んっ、ちょ、待って……」
 少し安心したからか、俺の中でふと好奇心が沸き始めた。俺は滑らかな肌を楽しむように、露出した右肩を軽く指で撫でる。
「それ、ん、待って……ふあ、ダメ、立って……ひあ!」
 身体を震わせ、彼女は俺に寄りかかってきた。その瞬間、全身が俺に触れたその瞬間、彼女はまたビクリと背を仰け反らせ俺から離れる。
「すごいな……くっくっくっ、なんか楽しくなってきたな」
 なんというか、普段されていることを仕返すというか……そんな気分。
「……お願い、ベッドに行くまで待って」
「それは聞けないな。我慢しなくて良いと言ったのは君だよ?」
 そう、この好機、我慢できるか! 色んな意味でな!
 俺は彼女の腰に手を回しガッチリと抱きしめる。密着状態で俺は身体を揺すり、豊満な彼女の胸を被う衣装を擦る。衣装の上からでも判るほど、コリコリに乳首が起っている。
「そん、やめ……んっ! こ、こんな、ひあ、ん! ダメ、こんなの、で……ふぁ!」
「抱きしめられるだけで逝くのか? 逝けよ……俺の腕に抱かれてさ」
「こん、これだ……んっ! も、もう、やっ! み、みみ、ま、で……かま、ひぁあ!」
 耳たぶを甘噛み。たぶんもう、軽く何度か逝ってるな。
「おい、すごいな……俺の服まで濡れてるぞ」
「いわ、ない、で……こ、これ、も、くすり……ふあ!」
 衣装の下はずぶ濡れだ。言うまでもなく、濡らしているのは彼女の愛液。なるほど、精液の代わりに愛液の量が増えるのか?
「おっ、おね、が、い……こ、これだけ、で、いかされっ、ぱな、し、は……せつない、の……」
 息を荒げながら懇願される……うむ、ちょっとやりすぎたかな。
「一人で歩けるか?」
「むり……だから、ちょ……ひぁ!」
 歩けないなら当然、お姫様だっこだよな。まあ……正直かなり辛いけど。彼女は脱力してるから尚更重く感じるし……くっ、だが……ここは、なあ……かっこよく……
「むりしなくて……んっ!」
 衣装が擦れるだけで身体振るわせてるんだ。これくらいどうにか……なった。ふぅ、なったよ……面目が立った……けして彼女は重くはないのだが、なにぶん身長が高いからな……それだけの重さはあるわけで……ふぅ、まあどうにかベッドまで運べて良かった。
「あっ、ふあ……ん、ね、ねえ……」
 一息入れている俺を、彼女が切なげに見ている。
「おねが、い……も、もう、いいから……ね……」
 逝きっぱなしも辛いが、一度火が付いたことで何もされないのはもどかしいらしい。
「なんだよ……まるで獣だな」
「いう、わね……あなただって、我慢、出来ない、くせに……」
 その通り。絶世の美女が悶えているのを目の当たりにして、我慢できる男なんていない。全能の神ゼウスだって飛びつくね……ああ、まぁあのエロジジイは当然か。
 さてまずは……やはり胸かな。俺は衣装をわざと擦らせながらゆっくりとはぎ取り、まずは上半身を裸にする。汗で濡れた肌は悩ましく、そして神々しく輝いている。
 軽く息を吹きかけてみる。
「んっ!」
 それだけで、彼女は声を上ずらせた。ふむ、なかなか凄い状態だな……だが息を吹きかけ反応を楽しむだけでは、俺がつまらない。やはりここは……
「ふあ! む、むね……ちく、び、だ、め、そんな……ひあ!」
 突起した乳首にむしゃぶりつき、空いた乳首は指でつまみ弄ぶ。うっすらと甘い味……どうやら母乳が出ていたようだ。そういえば衣装も濡れていたな……白い衣装だったから目立たなかったが、汗だけではなかったのか。
「そういや、子持ちだったっけ……くく、淫乱人妻って奴か?」
「けっ、けっこんは、してない、もの……んっ! な、なによ、あかんぼうみたっ、んぁあ!」
 人妻とか未亡人の方がシチュエーションとしては楽しめるのだが、そのどちらでもないんだよな。まあそんな事は良いか……。
「ね、そんなに、はげ、はげし、く、ね、んっ! ち、ちくび、ちくび……」
「気持ちいいんだろ?」
「……うん、きもち、いい、すご、すごいの、でも、ちょ、はげし、ね、んっ、んぁあ!」
 軽く甘噛みしから背を浮かせ仰け反った……これだけでまた逝ったのか。
 それにしても……何度逝っている? これだけでここまでの反応となると……
「ね……まだ、いける、から……おねがい……」
 ……俺が危惧していることを、見抜いてるのか。いや、元々想定済みなのだろう。
 この薬、やはり危険だ。
 こんな状態が長く続けば、彼女の身体が持たない。なにより、乳首だけでこの反応では……もし、最高の快楽……膣に俺の男根を入れたとしたら……失神だけではすまなくなる可能性は大きい。
「わかってる……あなたのも、ちゃんと、満足、させるから……続けて、これは、実験、なの……」
 躊躇する俺に、彼女は続行を促す。別に俺の満足はどうでも良いが、実験とはいえ、というか実験だから危ないだろ……
「ふふ……大丈夫よ。自分で開発した薬だもの。それに万が一があっても、ここには最高の魔女が後二人もいるのよ?」
 息も落ち着いてきた彼女が、諭すように告げる。
「……ったく、判ったよ。どうなっても知らないからな」
「ええ、むしろどうにかして欲しい……んっ! だからいきなりは……ふぁあ!」
 まったく……コッチの気も知らないで……俺は半ばやけくそ気味に胸責めを再開させた。
「もう、むね、すきよ、ね……ふあ! ん、い、すごい、きもち、いい、わ……あぁん!」
 形といい大きさといい弾力といい、これだけの胸を見せつけられたら、そらむしゃぶりつきたくなるよ。俺は乳輪を唇で嘗め回し乳首を舌で転がし、そして乳頭を歯で虐め倒し、あらん限りの愛撫を施していく。対してもう片方の胸は、掌で弾力を楽しみつつ乳首を指でしごき続けている。
「はふ、あっ、く、で、でちゃう……うそ、これ、で、でちゃう……」
 出る? 出るって……おいおい、マジでか? だとしたら……想像が俺の舌と指の速度をあげさせた。
「で、でる、でちゃ、でちゃう……ミル、ク、で、でちゃ、ん、ふあ! で、でるの、でる、でる、で、ちゃ……んぁあ!!」
 まるで射精のように、双方の乳首から母乳が噴き出した。一方は俺の口の中に噴き出すわけで……口内射精されるって、こんな感じなのかな。むろん口の中に溢れているのは甘い甘い母乳だけれど……女神の母乳か。この味、まさに甘露。薬の影響は……この母乳には出ていないようだ。どうやら利乳作用のみに影響しているのか。
「すご……男の人の、射精感って……こんな、かんじ?」
「どうかなぁ……少なくとも、エビぞりになりながら射精はしないからなぁ」
 それだけ感じる射精というのも、してみたいものだな。
「ね……今度は、私が……ね」
 ゆっくりと半身を起こしながら、彼女は自らの手で胸を脇から押さえる仕草をする。
「……大丈夫なのか?」
「大丈夫よ……からだが慣れてきた感じもするし、それに……」
 なんだよ……そこではにかむな。そうでなくても、妖艶な美貌にやられっぱなしだから……惚れるぞちくしょう。
「ね。お願い。私が……したいの」
 そこまで言われたらお願いするしかありません。俺は黙って彼女の前に立ち、ギンギンに起ちっぱなしだった肉棒を胸の谷間に埋めた。
「やべ……挟まれただけで逝きそうだ」
「ふふ……私はね、挟んだだけでもう逝ったわよ」
 嬉しそうに報告されると、色々と我慢できなくなります。なんだよ急に可愛くなりやがって……
「ねえ……もう一つ、我が儘を聞いてくれない?」
 その可愛さを維持したまま、お強請りされたら……魂ですら差し出してしまいそうだよ。
「名前……私の「本当の」名前を……呼んで欲しい」
 普段彼女を呼ぶときは、彼女の偽名で呼んでいる。むしろ三人まとめて「魔女」としか呼ばない方が多いくらいで……それは彼女がそうして欲しいと言うから、そう呼んでいるだけ。なぜ本名で呼んで欲しくないのかは……彼女にしか判らない理由。魔法的な意味合いはないはずだが……。
「……いいのか?」
「ええ……こんな機会でもないと……」
 こんな機会? なんか妙な……ん、そういや今更気付いたが……俺、裸だな。何時脱いだ? 疑問が唐突に沸いたが……それを確認しようとしたら野暮だな。まぁまずは……名前、ね。
「……キルケー、愛してるよ」
「ちょっ……もう、名前だけで良いのに……悪い癖ね。そうやってすぐ口説く」
 口説きたくもなるよ、さっきからなんて可愛い……ああもう、なんなんだよ。
「はぁ……私もダメね。あんな言葉だけでちょっと逝っちゃった……」
 ……もう辛抱たまりません。俺はいつの間にか、腰を動かしていた。
「もう……もう、ちょっと……んっ! む、ムードを、楽しめ、んぁっ、たのしめ、ない、の?……ふあっ!」
「無理です。俺ってば獣なんで……」
「バカ……ん、んんっ! ん、もう……ん、けっ、けだもの……ね、んっ! わたしも、ね……ふあ、ん、い、これ、いぁあ!」
 だーチクショウ! 可愛すぎ! なんなんだ今日は……ええい、こうなったらトコトンやってやる、やってやる!
「ん、すご、むね、が……こんな、かんじ、て……ん、ん、ふあ、ん、あふぁあ!」
 膣に入れる危険を心配したが、その必要もないくらい……キルケーは胸だけで凄い乱れ様だ。むろん俺も、まるで膣にでも入れているかのような柔らかくもキツイ圧迫を受け、夢見心地だ。
「キルケー……可愛いよキルケー。好きだ、愛してるよキルケー」
「ん、わた、わたし……ん、いい、これ、すごい、きも、ち、ふぁあ! すご、ん、んぁあ! ひあ、い、きも、きも、ち、いい、いい!」
 悪名高いアイアイエ島の魔女が、こんなにも可愛いだなんて……オデュッセウスも知らなかったんじゃないか? そんな気さえしてくるほど……妖艶さの中に無垢な愛らしさが覗き見えている。むしろなんというか……妖艶だからこそにじみ出る可愛らしさというか……男はこういうのに弱い。この手の可愛げに、騙されるんだよ。
 ……ああそうね。俺、しょっちゅうこれに騙されてるよね。今日に限った話じゃなくてさ。なんか、普段俺を騙しているあの小悪魔的な可愛らしさの、その根元を今見ている……そんな気がする。
「ダメ、もう、もう、いっちゃ……おっ、おっきいの、くる、み、ミルク、ミルク、も、でちゃ、また……い、いっちゃ、ん、ふぁ、ん、んぁあ!」
「お、俺も……このまま、顔に……」
「ん、かけ、かけて、かお、かお、かお、に、ちょう、だ、い、んっ! む、むね、で、いきなが、ら、かお、かおに、だされ、て、ミル、ク、も……ん、ふあ、ん、んん! ひぁああああ!」
 今までこんなに出したことがあるのか……それくらいの量を、俺は彼女の顔にぶちまけていた。その彼女も、乳首からまた母乳を噴き出しつつビクッビクッと身体を震わせ、そして……
「キルケー……おい、キルケー!」
 失神してしまった。

 一時は待機していた二人の魔女が駆けつけたが、大事には至らないということでそのままほっとかれた……おいおい、いいのかよ?
「余韻を楽しむのも大事じゃろうて」
「そうそう、今日は折角……のう? ヒャッヒャッヒャッ」
 エロババアが……まあ、彼女達の言うことももっともなんだがな……。
 彼女が目を覚ますまで、少しばかり考える。
 彼女がこの実験を強行する理由。彼女がわざわざ本来の姿で実験に望んだ理由。
 たぶんこの二つは……実は無関係だ。というのも、彼女は自分の魔力を温存していない。俺がいつの間にか全裸になっていたのは、間違いなく彼女が魔法ではぎ取ったからだ。その証拠に、ご丁寧にキチンと畳まれて置いてある。あの時の俺なら、脱ぐにしても脱ぎ散らかしてるだろうしなぁ……簡単な魔法とはいえ、温存する気なら俺に脱がせていただろう。
 では何故、わざわざ元の姿で実験を行ったか……やめよう。これ以上の推測は、野暮……だよな。
「んっ……」
「お、気付いたか」
 俺は横たわる彼女の肩に手を触れ……てから、気付いた。過敏な反応を示さないな。もう薬の効果は切れたらしい。
「……ふふ、凄い効能だったわね」
「そうだが……こっちはヒヤヒヤしたぞ」
 まったく……失神するまでやるなって。
「あら、ヒヤヒヤしていた割には随分大胆な腰つきだったじゃない?」
「……獣ですから」
 ええ、認めますよ。どうせ正真正銘の獣です。無理だって……こんな女神を相手に、冷静でいろって方が。
「もう……さて、これで実験は終わりね。んー……やはり薄めてもちょっと危険ねこの薬」
 確かに……ちょっとこのままでは危険すぎる。もうちょっとこう……部分的にとか、なんつーか……
「なあ……塗り薬には出来ないか?」
「それよ! さすが変態学者。エロい発想には冴えがあるわね」
「お前に言われたくはないぞ」
 まあつまり、塗り薬で塗った部分だけ感度が高まるとか、そーいう方向でならまだ安全かなと。飲用しないから肌以外に副作用が出づらそうだし。
「そのアイデア貰うわね……だけど……」
「……ああそうか。「彼女」用なら全身に効いた方が良いのか」
 今回の実験、特に何が目的であるかなどは語っていない。物が物だけに、それを尋ねても仕方がないところだ。ただ、彼女が自分を実験台にしてまでこの薬に取り組んでいるのには他にも大きな訳がある。
「まあどっちにしても……完成すれば、「彼女」も喜んでくれるさ」
「……それはそれ。ついでよ」
 よく言う……まあ、認めたがらないのも無理はないが……こればかりは、俺が口を挟むことではないからな。
「さて、もう良いわよ。私はすぐに塗り薬への転用を研究するから……」
 俺に背を向け、帰るように促す彼女。
 まったく……そうはいかないだろ、お互いさ。
「その前に、美しき女神様にお願いの義がございまする」
「なっ……なによ、変な言葉使って……」
 わざとらしく、俺はベッドの上で正座し、深々と頭を下げて言った。
「今一度、抱かせてください……薬抜きで。「俺が」我慢出来ません……」
 正直、我慢は出来ます。あれだけ派手に出したから。我慢できないのは……
「……仕方ないわね。そこまで言うなら、抱かせてあげるわ。なんなら、本当に獣……豚にでもなって私の足を舐める?」
「それは勘弁してくれ」
 失神するほど感じたとはいえ、彼女はまだ膣に入れていない。まったく強がって……我慢してたって、腰をもぞもぞ動かしてりゃ、色々切ないのは見え見えだ。
 ま、ここは俺の方から頭を下げるのが正解だよな。実際、寝顔をずっと見てたから……辛抱たまらんのよ。
「……愛してるよ、キルケー」
 悪い癖と知りつつ、俺は彼女を抱きしめ、耳元で囁いた。
「……」
 小さく、本当に小さく、彼女はそっと囁いた。
 ありがとう……と。

一部元ネタ拝借サイト様

拍手する

解説:魔女キルケー

戻る