先輩に連れられるまま、ボクは怪しげな場所……薄暗い階段を降りた先にあった廃ビルの地下室、そのドアを開け中へ入り込む。室内には大きなエンジン音と、その音にかき消されそうな、それでも耳へ届く湿った音。その音は時折、女性のか細い声にも成り代わった。
 エンジン音の正体は、室内の照明用電源を得るために動かされている発電機。湿った音は……
「ん、チュ、クチュ……チュパ、んっ……」
 女性がベッドに腰掛け、口いっぱい美味しそうにしゃぶる音。しゃぶっているものは……大きくいきり立った男性の、それ。
「なんだよ、もう始めてんのか」
 先輩が部屋にいた女性と相手の男性……三人の男達に声を掛けた。
「ああ、こいつが待ちきれないっていうからさ」
「じっと待ってるよりチンポを咥えていたいってさ」
「ホント、どうしようもない淫乱だぜ」
 せせら笑う男性達に合わせ、先輩もまったくだなと笑い出した。ボクはといえば、状況が飲み込めずただ呆然と立ちつくす。
「ん、驚いたか? まあ驚くよな……言っておくが、こりゃレイプじゃねぇぜ」
 振り返り、先輩がボクに説明を続ける。これはあくまで、男達に囲まれている女性が望んでしていることなのだと。
「言ってみりゃ、ボランティアだよな」
「アハハハ、上手いこと言うなぁ」
「そうそう、ボランティアボランティア。コイツは立派な慈善事業だ」
 先輩や男達の言うことが正しいのかどうか……正直まだ判断しかねている。自分からレイプを望む女性だって? そんなの……AVとかだけの、妄想に過ぎないだろ? ただ自分でもよく判るのは……女性は嫌がる様子もなく、むしろ積極的に男性器をしゃぶっていると言うこと……その光景は、確かに男達の言葉が正しいのだと裏付けているようにも見える。しかし……ボクの中での常識が、目の前の光景をなかなか受け入れようとしない。
 異常だ。これは異常だ……こんな事を悦ぶ女性がいるなんて……この女性は異様だ。そう、良く見ればこの女性は異様だ……人間じゃ、ない……。
「始めて見るよな……ハーピーって言うんだぜ」
 嬉しそうに男性器を頬張っている口や、その口の付いた顔は人間だ。その下にある首や、とても大きな胸も女性のそれと変わらない。しかし両脇にいる男性のものを掴んでいるのは……手ではない。羽だ。鳥の羽とは違い、先端が器用に曲がるようで、引っかけるように男性器を掴んで前後に擦り上げている。またへその下あたりからも人の物とは思えない茶色い羽毛が生え始めている。足の先に至っては……ここからではよく見えないけれど……細長い足首は黄色く、長い爪が生えた、それはまさに鳥の足。
「怖がることはねーよ。見た目はなんだが、コイツの口や「あっち」は一級品だぜ」
 怖がるなと言われても……いや確かに、不思議と怖くはない。この異様な光景にこそ恐れおののいていたボクだけれど、ハーピーとかいうこの女性を怖いとは思わなかった。むしろ……羽や足はさておき、顔は人間の女性基準で言えば間違いなく美人だと思うし。
「おっと、お前はまだ一級品かどうか、比べることも出来なかったっけ」
 先輩が豪快に笑う。そう……ボクは女性の、その手のことを比べる対象が全くない。母以外の異性に触れることすら出来ないボクが、何と比べろと言うのか。
「ちょっと待ってろよ新入り、もうちょっとで……」
 自分の物を咥えさせている男の人がボクにそう告げると、女性の頭を掴んで無理矢理動かし始めた。
「んぐっ! ぐっ、ん、ジュボ、グジュ、グシュ、ん、ん、グチュ、グシュ……」
 最初こそ苦しそうな顔を見せた女性は、しかしすぐに慣れたのか、自ら頭を激しく動かしていく。
「くっ、出る」
 男性が限界を告げると、女性は彼の物を口から放した。その刹那、白く濁った液体が女性の顔に降りかかる。
「んー……美味し。でもちょっと薄味?」
「ったりめぇだろ。昨日だってさんざんやったばかりだろ」
 口元にまでたれてきた白濁液を舌でぺろりと舐めている。その姿、仕草にドキリと心を動かされ、思わず魅入ってしまった……ら、目が合ってしまった。
「あら? 見かけない子だね……ああ、君が連れてきたんだ」
 今の今まで、ボクや先輩が来たことに気付かなかったんだ。それだけ夢中だったってこと?
「ほら、早速舐めて貰えよ新入り」
 出し終えたばかりの男性が場をボクに譲る。ボクは先輩に背中を押されおずおずと女性の前へ。それでもボクは、まだどうして良いのか戸惑っていた。
「ほら、はやくぅ。ズボン下ろして、新しいチンポ出してよ」
 チっ……女性からそんなわいせつな言葉が飛び出しただけで、ボクは自分の頬がかっと熱くなったのを実感した。
「ふふ、随分ウブなんだねぇ。かぁわいいぃ」
 からかい半分、女性が見上げながら笑顔でボクに語りかける。そうやって見つめられれば、頬の熱が更に増してしまうのは言うまでもない。とにかく……このままって訳にはいかない。ボクは意を決して、ベルトに手を掛けた。
「わぁ、もうこんなにしてくれたんだ。嬉しいなぁ」
 ズボンを下ろしたときには、もうボクの物は大きく反り返っていた。
「そいつさ、まだ童貞なんだ。じっくり可愛がってやってくれよ」
「へぇ、童貞君なんだ。それにしては大きいね。皮ももう剥けてるし」
 大きいとか剥けてるとか……恥ずかしいよ。そりゃ、男性にとってその方が良いって事は知ってるけど、でもそんな実感ないし、なにより女性に言われるのは……
「それじゃ、もぎたてチンポいっただっきまぁす……うぐ、ん、クチュ……」
 唇がボクのに触れた瞬間、ビクッと電気が走ったようにボクのが大きく動いた。それでも彼女はボクのを逃さず、ゆっくりと、口の中へとくわえ込んでいく。ねっとりとした生暖かさが、先端からゆっくりと根本へ向かって広がっていく。なんだろう、この感触……当たり前だけど、自分の手で握るのとは全く違う感触。これがフェラチオって奴なのか。ああ、なんか凄く気持ちいい……。
「ん、ふふ……」
 彼女が見上げながら微笑んでいる。ボクが気持ちよさそうにしているのが嬉しいみたいだ。それに気を良くしたのか、彼女は更に次の段階へ……ボクの物に、ねっとりと絡まる……これは舌か。まるでナメクジがボクの物に絡まってきたような、そんなこそばゆい感触。舌ナメクジは張り付くようにはいずり回り、ボクののを刺激する。凄い、ボクはこういうのって擦れば気持ちいい物だって思っていたけど、違うんだ、それだけが気持ちいいって事じゃなくて……うわ、舌が激しく絡みついたりゆっくり密着してきたり、不規則な刺激に、ボクの物はこれまでに経験がないほど大きくなってる。痛いくらい大きくなって、でもその痛みがなんか、凄く気持ち良くって嬉しくて……。
「んっ……ん、ふふ……んー、ん、クチュ、チュ、ん、チュパ、チュ、チュク、クチュ、チュ、チュ、チュク……」
 息を荒げているボクを見上げながら、彼女は更に凄いことを……顔を動かし、唇でボクの物をしごき始めた。それでも口内の舌は止まらず、唇と一緒にボクの物を這いずりながらしごき出す。時には根本を、時には鈴口を、舌と唇が何度も何度も行き来してはボクを痺れさせる。
「やべ、俺そろそろ……」
 不意に、側にいた男の人が口を開いた。そうだ、忘れてた……この人は彼女の羽で、ずっとしごかれていたんだっけ。
「俺もそろそろ……おい新人、お前はどうだ?」
 もう一人の男性も、限界を告げている。尋ねられたボクは、激しく何度も頷いた。
「よぉし、だったら同時にかけてやろうぜ」
「いいね。新入り、合わせられるか? って、そりゃ無理か」
 はい、無理です。ボクはただただ気持ち良くって……動きが速くなってきた彼女の舌と唇、そこから伝わる快感に全てを持って行かれるだけで……あうっ!
「んっ!」
 かけるって言われていたのに、ボクは何も出来ず何も告げず、彼女の口内に思いっきり出してしまった……ドクドクと出続けるボクの精子を、彼女は喉を鳴らしながら飲んでいる……なんか、なんか凄い、凄く……いやらしいよ。ボクが彼女に見とれていると、両脇から別の白濁液が降り注がれている。顔に、髪に、お構いなしに振りかけられながらも、彼女はまだボクのを放さず、ようやっと止まったボクのものをゆっくりと舐めている。
「んー、クチュ、チュ……んん、チュ……うふ、美味しかったよ、童貞君」
 なんていやらしいんだ。顔中に精子をこびりつかせながら、にっこりと微笑む女性。そんないやらしい彼女を見て、ボクの動悸はますます早くなる。
「すごいなぁ、流石童貞君。もう元気になってる」
 言われているとおり、ボクのは萎える暇もなくもう反り返っていた。
「そろそろ筆下ろしてやれよ。お前も我慢できないだろ?」
 いつの間にか、先輩が彼女の後ろに回っていた。先輩は彼女の大きな胸を後ろから持ち上げるように揉みながら尋ねている。
「ふふ、もちろん。ほら、もうこんなにビショビショだよ」
 彼女は自分の両羽をへその下へ潜らせ、羽毛をかき分ける。するとそこには……始めて見る、女性のもの。そこはテラテラと光るほど濡れていて、ヒクヒクとまるで何かを誘っているかのように震えていた。
「ね、童貞君。そこへ横になって」
 ボクは言われるがまま、ベッドへ仰向けになる。すると彼女はすかさずボクに跨り、そっと羽でへそ下に向けいきり立っているボクの物を支え、天井に向け立て直す。羽の先端がボクのに触れ、こそばゆさと恥ずかしさでビクリと跳ねる。
「もう、じっとしないんだからぁ。ふふ、元気で新鮮だね」
 ボクはもう、何度頬を真っ赤にしてきたのだろうか。女性の言葉一つ一つがボクには新鮮で、可愛らしく、いやらしく、僕の心に染みこんでいく。
「それじゃあ、初物いただいちゃうよぉ」
 ゆっくりと、彼女は腰を下ろしていく。そしてボクの物に彼女の羽毛がまずさわさわと触れる。それだけでまた跳ねそうになるボクのを、彼女がしっかりと羽で押さえた。そして更に下がる彼女の腰。羽毛に続いて、今度はぬちゃっと吸い付くような生暖かい……これが女性の……ボクのはその入り口と、密着している。
「んっ!」
 そこから、一気に腰は落ちた。ボクのは完全に、彼女の中へ……生暖かく、ボクのを締め付けるこれが……これが女性の……先ほどの、彼女の口も凄かったけど、これはもう、ボクはなんと表現して良いのか……ただただ、夢見心地。とても、気持ちが良い。これだけで、ボクは……
「あら……んふふ、もう逝っちゃった?」
 さっき出したばかりなのに、ボクのは白い液体を彼女の中に放ってしまっていた。
「これで……もう童貞卒業かな?」
 そんな……とても、とても気持ち良かったけど、こんな一瞬で終わりだなんて……ボクはまだ、まだ彼女の中にいたい。初めてなのに、初めてだから、ボクは強烈に彼女を求めていた。
「そんな顔しないの。これで終わりだなんて、私が許さないわよ」
 そう言って、彼女はゆっくりと腰を回し始める。彼女の中に入ったままのボクの物は、その動きに呼応するよう、また大きく太くなっていく。
「ほーら、まだ元気だ。ふふ、なんか君のは、何回でも逝けそうだね」
 言われると、ボクもそんな気がしてしまう。彼女の中はとても気持ち良くとても居心地が良く、ずっと入っていたい。その為だったら何度だって逝けそうな気がしてくる。
「大きさも……んっ、ホント、さっきまで童貞君だったなんて……んっ! 思えな……あんっ! 焦っちゃダメよ。じっくり、楽しみましょ」
 あまりの気持ちよさに、ボクの腰は勝手に動いていた。それを彼女はいさめるが……そんな、我慢できるわけがない。焦るなと言われても、じっくりと言われても、ボクは落ち着いてなんかいられない!
「ちょ、んっ! もう……ふふ、若いなぁ。いいわ、どうせなら激しくね。んっ、そう、もっと、ん、強く、ね、ん、い、いい感じ、んっ! よ……」
 彼女は羽をボクの胸に置き、前屈みになって腰を動かし始めた。さわさわとボクの胸に擦れる羽の感触がこそばゆく、激しく上下する彼女の中とボクの物が熱く、イタズラっぽく笑う彼女の笑顔が愛らしく、彼女の全てが、彼女がボクの体と心に触れる全てが、心地好く、気持ちいい。
「すごいよ、君、の、奥まで、届いて、る、んっ! ふふ、あっ、や……ん、いい、良い感じ、だよ、君、の……ふふ」
 ボクはただひたすらに腰を動かす。それだけにボクはもう無我夢中。でもこれだけでボクはもう夢見心地。これが女性と交わるって事なのか……すごい、すごいよ。こんな気持ちいいことがあるなんて……。
「童貞、君、だったの、に、凄い、ね、私、も、良い感じ、だよ……あっ! んっ……もっと、強く……ね」
 この気持ちよさを、この人と共有してるんだ。彼女も気持ち良くなってくれてるんだ……そう思ったら、自分が気持ちいい分もっと彼女を気持ち良くしないと……そんな使命感にかられた。だけど、ボクはこの人をどうやったら気持ち良くしてあげられるんだろう。ボクばかりが気持ち良くて……それに、そろそろ……
「ハハ、そろそろっ、て、顔、してるね……ん、いいよ、そのまま、また出して、奥で、君のを、感じ、させて……中で、出されると、感じちゃ、んっ! 感じちゃうの……だから、ね、思いっき……あっ! きた、きたぁ……すごぉい……んっ、あは、沢山当たってるぅ。奥でドピュドヒュって、君のが流れ込んでくるぅ」
 腰をぐっと落としながら、彼女はボクのを受け止めている。目尻を下げ、彼女は気持ちよさそうにしている……なんだろう、凄く嬉しい。気持ちいいのとはまた違う、この爽快な気分は……ただ自分のを出したというだけではない、この充実感……それがとっても心地好い。
「ふふ、ダメだよぉ。これだけで満足なんかしないでねぇ。私、まだ逝ってないんだからぁ」
 そうか、そうだよね……ボクなんかじゃ、まだ彼女を満足してあげられないんだ。なんだか急に、僕の心は寂しさで沈んでしまった。
「もう、いちいち君は可愛いなぁ。いいのよ、初めてなんだから。んっ……ほら、もうこんなにして……ね、君は、その若さで、あっ! 何回でも、逝ってよ、ね。んあっ! そう、そうよ、もっと、頑張って、ね……んっ、いい」
 優しく微笑んでくれる彼女が、救いだった。彼女は再び腰を動かし始め、ボクの物は彼女の中でまた大きくなっていた。ボクは彼女の期待に応えられるよう、下から賢明に腰を打ち上げていく。
「なあ……そろそろ俺も混ぜろよ。俺だけまだなんにもしてないんだぜ?」
 先輩だ……そうだ、ボクはここへ先輩に連れられてきたんだっけ。他にも男の人が三人、僕たちを見ている。彼女に夢中で、周囲の視線なんか気にしていなかったけど……ボクは急速に、恥ずかしさがこみ上げてきた。
「あはは、んっ、ごめぇん……あっ、なら、後ろ、あんっ、空いてる、から、いっ! いいよ……」
 彼女は腰を動かしながら前屈みに、ボクの方に倒れかかる。先輩はまだ動き続けている彼女の腰に手を当て、その動きを押さえつけてしまう。
「それじゃ遠慮無く、いく……ぜっ!」
「んっ! あっ、ふふ、二本目ぇ、きた、きたぁ、ん、んっ!」
 再び動き出す彼女の腰。先ほどまでの勢いはちょっと衰えたけど、反対に彼女の中がきつくなって……より刺激的に。
「ったく、相変わらず……こっちもいい具合だぜ」
「ふふ……んっ、君も、相変わらず、だよ……あっ! ん、お尻、好き、だもん、ね、ふふ……んっ!」
 そうか……先輩は前から彼女と気持ちいいことしてたんだ……当たり前だよ、先輩が彼女を紹介してくれたんだから……判ってはいるけど、なんかちょっと……悔しい。もっと、もっと早く、彼女と出会えていれば、ボクは……。
「ねえ、君達、は、いいの? んっ、後、口、口が、残ってるよ……やんっ! ん、ねぇ、どう?」
 ボク達を見ている男性達を、彼女は誘っている。この人達も彼女と……なんだろう、この気持ち。初対面だけどあの人達が嫌いな訳じゃないのに……これって、嫉妬? ジェラシー? 何でだろう……
「よし、じゃあそろそろ俺が……へへ、だけど口じゃなくて……よっと、「ここで」やらせてくれよ」
「あは、そこ? ん、いいけど……ふふ、んっ! あっ、ふふ、君も、相変わらず……んっ、変態、だね」
「うっせぇよ。お前じゃなきゃこんなとこでしねぇよ」
 こちらへ来た男の人は彼女の片腕を手に取り、ピッタリと彼女の身体に密着させ脇を締めさせる。そしてそのしまった脇に、その人は自分のをねじ込んだ。
「これこれ、この羽毛が良いんだよ」
 人間と違って、彼女は肩まで羽毛に覆われている。羽毛はとても優しく柔らかく、場所は違うけどボクも今その感触を感じている。彼女が腰を落とす度に、彼女と繋がっている場所付近の羽毛が、ふさっとボクに触れてくるから。このこそばゆくも心地良い感触に包まれるのは、確かに気持ちよさそうだ。
「そこ、ん、私も、最近、んっ! 敏感に、なって、きた、かも……ん、あんっ! ふふ、開発、させられ、ちゃったぁ、ん、んっ! い、みんな、気持ち、いいよぉ……」
 口がまだ空いていることで、彼女の喘ぐ声が絶えることなく続いている。綺麗な声だなぁ……まるで歌うような、透き通る声……なのに、その中身はとてもいやらしく、なんかボクはその声で、耳と脳と、そして心をくすぐられ快楽を増大させられているみたいだ。あっ、やばい……また……
「んっ、あっ、ふふ、また、出してくれたぁ……ん、あは、流石に、んっ、さっきよりは、勢い、無いねぇ……ん、あっ、んっ……でも、まだまだ、逝ける、よね?」
 逝きたい、逝きたいです。まだ、ボクはずっと彼女の中にいたい……でも、もう4回も出してしまったから、そろそろ……ああ、もう限界かもと思った瞬間、ボクは奈落の地獄へとたたき落とされたような、そんな絶望感がギュッと心を締め上げてしまう。
「なあ、コイツにさ、「アレ」飲ませてやってくれよ。俺らのお姫様がだいぶお気に入りみたいだし」
 先輩が彼女の後ろで腰を振りながら、壊れかけのソファでくつろいでいる二人に声を掛けている。するとその内の一人が近くのテーブルからコップと薬瓶を持ってボクに近づいてきた。
「そのままじゃ飲めないだろ、ちょっと身体を起こせよ」
 言われるまま、ボクが彼女とまだ繋がったまま半身を起こすと、男の人はボクにコップと、薬瓶から真っ黒な丸薬……正露丸みたいな、だけど二回りは大きな丸薬を三つ取り出してボクに手渡す。
「これな、「魔女の秘薬」っていう媚薬でな……死ぬほど苦いが、我慢して飲みな。ああ、麻薬とかそーいうんじゃないから安心しろ」
 言われるまま、ボクはその丸薬を口に入れ……うぐっ、これは確かに死ぬほど苦い……ボクは慌ててコップの水をがぶ飲みし、丸薬を胃の中へ流し込んだ。苦みにボクが顔を歪めているのを、みんなが笑ってみている。
「その味だけは慣れないよなぁ……ああだけど、効果はすげぇぞ」
 笑いながらも、先輩がボクに説明してくれる。なんでもこの薬は、飲むと何度でも「逝ける」ようになるとか。その上射精の量も増すらしい。
「でもさ、それ、ん、飲んじゃうと……あんっ! 精液、ん、まずく、なっちゃうのよ、ねぇ……んっ」
 難点として、精子が「種なし」になってしまうのだとか。それに本人の体力は回復しないから、「やり過ぎ」には注意が必要とも言われた。
「でも、君は、ずっと、今日は、このま、んっ、このまま、中だし、ドピュドピュって、ずっと、出しててぇ、ね、君が、気絶、ん、するまで……ね」
 気絶するまでって……そんな、そこまでするなんて……ああ、なんて素晴らしい。彼女と意識途絶えるまで繋がっていられるんだ。ボクは今日知ったばかりの快楽に、完全にはまってしまったようだ。
「えへ、君も、嬉しそう、だねぇ……んっ、私も、嬉しぃ、よ、んふ」
 男の人が邪魔で彼女がよく見えないけど……ボクを見て微笑んでる。その事が、その笑顔が、ボクの腰を過激にする。
「ったく、頑張るなお前……連れてきて正解だったよ。くっ、俺そろそろ……」
「ん、出してぇ、お腹の、なかぁ、ビュビュって、してぇ……ん、きたぁ、きてるぅ……んっ、ん、あ、私、私も、そろ、んっ、君、頑張って、奥、奥にぃ……あ、やっ! ん、んあ、来る、逝く、逝っちゃ、ん、やっ、ん、あっ、あは、前、前もぉ、ピュッピュて、きてるぅ……私、私も、いっ、ん、やっ、あっ! んっ!!」
 彼女の腰が止まり、身体を小刻みに震わせている。彼女はとうとう逝った……の? ボクにはその判断は出来ないけど、彼女の中がよりいっそうギュッてボクのを締め付けているのは判る。ボクのも、薬のせいか今まで以上に彼女の中へとドクドク注いでいるのが判る。ボク達が繋がっているところから漏れ出しているのもハッキリ見えた。
「いいわぁ、とっても気持ち良かったよぉ。でも、まだまだだからね。ねえ、後ろには新しいチンポちょうだぁい」
 先輩が彼女から離れると、彼女はボクと繋がったままお尻を回して他の男の人を誘い出す。グチュグチュと、精液と愛液が絡み合う音が更に男を誘っているようだ。
「やれやれ、この好き者が」
「うふふ、好き者でぇす」
 彼女が新しい男の人を迎え入れると、また腰が前後に、上下に、時には左右に激しく動き出す。ボクも下から何度も何度も彼女へ向けて腰を打ち上げていく。流石に腰が痛み始めているけど、ボクの願望が、欲望が、彼女の中にいたいと叫び続ける。先輩や男の人達は何度も入れ替わり、お尻や、脇や、口や、そして胸に、彼らのを何度も突っ込んでいる。だけれども、彼女のものにはずっとボクのが。何度も出して、もう二人の腰はビチャビチャなのに、それでも何度も何度も……やがてボクは、腰を振りながら……意識を白くさせていった。

「あっ、起きた?」
 目を覚ますと、視界には彼女の笑顔が。ボクは……ベッドに座る彼女の膝に頭を預け寝ていたようだ。
「身体大丈夫? 痛くない? 今日は凄く頑張ってくれたもんねぇ」
 言われて……腰が異様に痛むのを実感する。あまりの痛さに顔を歪め、手を腰に当てた。
「あっ、無理しないでね。このまま、横になってて良いから……」
 ボクは彼女の言葉に甘えることにした。ああ、彼女の膝枕が心地良い……羽毛の柔らかさと、その下にある脚の柔らかさと人肌の温もりが、本当に心地好い。
「今日はありがとう。とっても気持ち良かったよ」
 ボクの頭を撫でながら、彼女は再び微笑んでくれた。改めて彼女の顔を見ると……本当に美人だ。
「彼、えっと君の先輩? 彼からどこまで話を聞いてたのかな……私のこと、怖くない?」
 怖いだなんてそんな……こんな綺麗な人をどうして怖がるのか。ボクはそれを伝える旨い言葉が見つからず、ただ彼女の膝の上で首を激しく横へ振るだけだった。
「ありがとう。えっと……私はね、ハーピーっていう怪物なの」
 怪物なんて言わないでください……それを伝えることもボクは出来なかった。そんなボクの心情を知ってか知らずか、彼女は自分の事をボクに話し始めた。
「見ての通り、人間と鳥の「間の子」なの」
 ボクにとって、あなたは「愛の子」ですよ……とは、やはり伝えられない。
「私達って、人間よりも「どん欲」な性格の種族でね……普通は食欲だったり物欲だったり、そっちにいくんだけど……私はね、性欲にどん欲なの」
 彼女の話では、そのどん欲な性格故に男を求め人間の街に出てきてしまったらしい。だけど人間に見つかれば騒ぎになる。それを重々承知していた彼女は、「ある人」に助けを求めたらしい。
「その人がね、この場所と、あの人達を紹介してくれたの」
 ボクは知らなかったんだけど……先輩は前から彼女や、彼女のような他の「ステキな人達」との性交を楽しむ「性癖」があったらしい。その先輩が、どん欲な彼女のために人手を増やそうとボクに声を掛けた……そういえば、ここ最近「こんな女はどうだ?」って、ゲームのイラストを見せては感想を聞かれたっけ……あれって、こういう事だったんだ。
「見所のある後輩がいるって、連れてきてやるよって言ってたんだけど……あは、それが君だったんだね」
 先輩の見立ては正しかったです。でも、もうちょっと説明は欲しかったですよ……って、そういえば先輩は?
「ん? ああ、君の先輩達は帰ったわ。ふふ、もうあれから随分時間経ってるんだよ?」
 ボクが周囲をキョロキョロ見始めたのに気付いた彼女が教えてくれた。腕時計をしていないのでどれだけ時間が経ったのか判らないけど……そうか、帰ったのか。でもそうしたらボクはどうすれば?
「また君を迎えに来るって。起こしても足腰立たないだろうから寝かせてやれってさ」
 彼女は加えて、先輩も最初はそうだったんだって片目を瞑りながら教えてくれた。はは、先輩もあの薬飲んで気絶するまでやったんだ。そうか……先輩はボクより先にそんなことを……まただ。彼女を紹介してくれたのは先輩で、感謝こそしてもこんな……嫉妬するのはなんか間違ってるよ。だけど……えっ? というか、これって……。
「あの……また、来てくれるかな」
 少し、彼女の顔が曇った。彼女は気にしているんだ。自分が人間ではないことを。そして大抵の人間は、彼女のような女性を怖がることを。だからちょっと怖いんだ、尋ねるのが、聞くのが。
 ボクは痛む腰を手で押さえながら、無理に起き上がった。ベッドに腰掛け、ボクは彼女の羽に手を置き、まっすぐに彼女を見つめ、言った。
「……好きです」
「え?」
 突然の告白。ボク自身も驚いている。初めて彼女を見たときから、恐れよりもときめきを感じていた。思えば、あの時から……ボクは一目惚れをしていたらしい。
「あっ、あの……本気? だって私……」
「関係ないです。いや、むしろそんなあなただから……好きです。付き合ってください」
「いや、あの……ほら、君は私が初めてだったんでしょ? だからさ、それを恋と勘違いしてるだけ……」
「そんなことはないです。そりゃ、ボクはあなたをスケベな目で見ていたし、そんな姿に興奮してました。だけど、それでも、あなたが好きです。愛しています。勘違いでもなんでもいい、好きなんです!」
 どうしたんだろう……さっきまで口を開くことも出来なかったボクが、こんなじょう舌に愛を語るなんて……さっきから、ボクは自分に驚きっぱなしだ。
「でも……私、あんないやらしい女なんだよ? みんなに犯されて悦ぶ、そんな女だか……んっ!」
 言い訳は聞きたくない。だからボクは、彼女の口を塞いだ。ボクの口で。
「んっ、……クチュ、チュ……ん……」
 ボクは無我夢中で、舌を入れ動き廻した。これ、ファーストキスなんだよな……やり方なんか知らない。ただ彼女が欲しくて、ボクは夢中で吸い付いている。彼女はそんなボクの気持ちを察したのか、それとも手慣れているのか……舌をボクのに絡めてきた。
「チュク、チュ、んっ、チュ、クチュ……」
 舌を絡めることで、心を絡めている。そんな錯覚を感じながら、その錯覚を信じて、ボクは彼女の舌を、心を、求め続ける。
「んっ、ん……チュ、ん、もう……こんなに積極的で、強引だったんだ」
 少し強引に、彼女がボクから唇を離す。怒っている……ようには見えない。なんかはにかんだ……そんな彼女が、とても可愛い。
「初めてだったんだぞ」
「え?」
「ファーストキス……私、キスだけはとってたの」
 そうだったんだ……ボクはてっきり、彼女はもうキスなんて何度もしていると思ってたのに。
「責任……ちゃんととってよね」
「あの、それって……」
「ふふ、キスも気持ちいいね。これ、病み付きになっちゃうかも」
 今度は彼女から、唇をボクに重ねてくる。彼女の羽がボクの頭を押さえ込む。ボク達は唇と舌だけで、激しく激しく性交をしているみたいに求め合う。
 ボクはぐっと、彼女を抱き寄せた。豊満な彼女の胸がボクの胸に当たり、その柔らかさと大きさを実感する。そして大きくなったボクの物に、彼女の腰が近づいてきた。ボク達は唇を離さないまま、また繋がった。
「クチュ、ん、チュ、チュ……チュパ、んっ……ふふ、まだ薬、切れてないね」
「うん……まだ、また、あなたの中に……」
「えへへ……なんだろう、凄く気持ちいいよ……いままで、こんな感じ、あっ! 無かった、初めて、こんな……ん、いい、すごい、きもちいい!」
「うん、すごい、すごいよ、ボク、まだ逝ける。逝けるんだ、うれしい、うれしい……」
「わたしも、いい、うれしい、こんな、こんなことって、あっ! や、こんな……すごいよ、いい、はじめて、わたし、こんな、はじめて!」
 腰の痛みなんかもう忘れている。ただボクは、彼女を抱きしめ、腰を振り、彼女の全てを感じたかった。
「好きです、好きです……愛して、います……」
「わた、わたしも、すき、すきぃ、きもちよく、て、すき、きみの、こと、いい、きもち、いい、あいして、るぅ、あっんっ!」
 彼女からの返事。こんな最中に聞けるのが、なんかボク達らしい……たった半日で、ボクは、ボク達は、その「らしい」カップルになれたんだ。凄く、凄く嬉しい……。
「も、もう、いく、すご、こんな、あっ! うそ、もう、いっ、ね、おねが、いっしょ、ね、いっしょ、いっしょぉ、ね、ね、おねが、いぃ!」
「うん、がんばる、から、いっしょ、いっしょに、んっ、くっ……」
 限界は近い。もしかしたらボクが先に……いや、ここは頑張るんだ。さっきまでのボクじゃないんだ。ボクは彼女の、そうだ、ボクは彼女とつきあい始めたんだ。彼氏として、頑張らないと!
「いく、いくよ、そろそろ、あっ、ん、やぁ、やっ、ん、そこ、おく、もっと、つい、て、きも、ん、やっ、いっ、きた、きてっ、あっ! ん……きてるぅ……ドピュドピュでてるぅ……」
 彼女の締め付けがより激しくなったとき、ボクは我慢できずに吐き出していた。それが彼女の逝った合図だったのだから……良かった、一緒に逝けたんだ……。
「すごい……こんなに気持ち良いの初めてだよ……4人にされるより気持ち良かったぁ」
「そうなんだ……ボクも、気持ち良かったよ……」
 嬉しかった。ボクは先輩達より彼女を気持ち良くしてあげられるんだ。それがすごく嬉しい。
「でもさ……もっと頑張れるよね。もっとテクニックとかさ、身につけてよ。私の彼氏なんだから……」
「うん、頑張るよ……だから……」
「あんっ! もう……ちょっと欲張りすぎじゃない?」
「君だって、もう動いてるじゃないか……」
「ふふ、お互い様ね。君も私と同じ「どん欲」なんだ」
「そうだよ、だってボクは君の彼氏なんだから……好きだよ」
「えへ、やっぱりまだ照れるな……でもいいね、こーいうのも……私も、好きだよ。愛してる」
 グチュグチュとお互いの腰を打ち付け合いながら、ボク達は唇でもクチュクチュと音を立て始める。性器で繋がり舌を絡ませ、そして心を繋いでいく。
「おーい、そろそろ……って、お前ら……まだやってたのか?」
 発電機のモーター音に紛れて、人の声が聞こえたような……でも気にしない。ボク達の愛は、これからもっと深まるんだから。
 初めて女性を抱いて、初めてキスをして、初めて彼女が出来た。もう、誰にも邪魔なんかさせないさ。
「ん、もっと、腰、廻して、みて」
「こう、かな……ん、どう?」
「んっ! いいよ、気持ちいい……もっと、もっと深くぅ!」
「おーい……ちっ、出直すか……こりゃ、湿布だけじゃなくて痛み止めと包帯もいるな……やれやれ」

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