女性の魂が
母乳スライムへ……

※注意
 この話は、「白いスライム」の続編的な内容になっています。まだそちらをお読みでない方は、そちらを一度読んでからご覧ください。

「……本当にギリギリだな、それ。まあ今回のは……んー……」
 毎度毎度のことだが、呼び出された段階で嫌な予感はしていた。誰に? と言えば……当然、魔女達にである。
「流石に今回は無理強いせんよ。お主の判断に任せよう」
 三人いる魔女の一人が、老婆姿で俺に選択を迫る。普段ならこちらの意見なんか聞かずに、強引に事を進めて事後承諾、なんてのが常だったが……彼女の言葉通り、今回ばかりは流石にそんな手法は用いられない。事が事だからだ。
 ただ頼まれていることは、普段強引にさせられているそれとほぼ同じなのだが……。
「ただ信じて欲しい。今回の件、けしてわしらの我欲を押し通すための狂言ではないということを」
「そりゃ……まあなぁ……」
 これでも付き合いはかなり長くなっている。彼女が興味本位の実験をしたいだけではないこと……それくらいは理解しているつもりだ。そもそも、今回の件はあまりに複雑で……冗談半分でいつものよう強引にやられたら、お互いの信頼関係は壊れただろう。魔女もそれが判っているから、誠意を持って俺に頼んでいる。
 以前魔女達が生み出した、母乳で出来たスライム。このスライムに、女性の魂が今宿っている。魔女が俺に頼んでいるのは、このスライムに魂が定着出来るよう、性交して欲しいというのが、依頼内容だ。
 この魂……というか、もうほとんど自縛霊になりかけているこの魂は、偶然魔女が見つけてきたものだという。交通量の激しい大通りで漂っていたらしく、近くには花が手向けられていたことから、生前の魂が交通事故に巻き込まれたのだろうと彼女は言っている。自縛霊になってしまうにはあまりにも不憫だと、魔女はこの魂を持ち帰り、母乳スライムの核を使ってひとまず魂を安定させようと試みた。ところが、ここで思わぬ事故が起きてしまう。
「もとを正せばわしのミスじゃ。お主の選択に異論を挟むつもりはない。じゃが、出来れば……この娘を救ってやって欲しい」
 救う……か。どちらの選択でも「救う」という言葉を使うことになるのだが……。
 魂の安定に用いた核は、そもそも俺の精子から作られている。俺の精子で核を作っているのは、宿った魔力に頼るためであり、「精子」である必要はない。このあたりは魔女達の「趣味」と言わざるをえないんだが……その趣味が、今回のミスに繋がった。
 核の根本は精子。生命の源だ。その精子に不安定な魂を添えたために、「融合」を始めてしまった。自縛霊になりかけた魂の持つ「生きたい」という想いが、精子という生命力を取り込もうとした結果らしい。元が精子だから魂を安定させるのに最適と魔女は思っていたらしいのだが、まさかその更に進んだ状況を生み出すとは思ってもみなかった……というのが、彼女の弁解。
 このことで生まれる問題は二つ。一つは、これが俺達の間で取り交わした「条例違反」に相当するかどうか。その条例とは、簡単に言えば「死者の冒涜」。軽はずみに死者の魂や肉体を用いてはならない、という条例だ。これがまあ……ギリギリのラインにある。彼女はあくまで「救済」の為に起こした行動であるのだから、冒涜している訳ではなく……まあ、これは「セーフ」としておくべきか。
 もう一つの問題は、融合してしまった魂をどうするか。この選択を今迫られている。
 除霊するか、それとも「スライム」としての生を見守るか。
 前者はそもそも行おうとしていたことだ。後者は……先ほどの条例に引っかかるような事になるし、そもそも生前の魂がスライムなんていう怪物になることを望むかどうか……。
「はぁ……仕方ないな」
 ガリガリと頭を掻きながら大きく溜息をつき、俺は決断した。
「流石に今回は、覗きだなんだ、そーいった事はするなよ」
「おお! 引き受けてくれるか……いやもちろん、今回ばかりは「おふざけ」は無しじゃよ」
 普段からふざけて欲しくはないんだがね……魔女は嬉しそうに何度も頷きながら、そそくさと部屋を出て行った。部屋には俺と、問題の母乳スライム、そして彼女が入っている大きな浴槽が残った。
 俺はこれから、この娘と交わらないといけない。彼女の中に俺の精子を注ぎ込み、核と魂の融合を「完全」なものとするために。これで俺も魔女が犯した「ミス」の片棒を担ぐことになるわけで……何か問題が起きれば、俺の責任も免れない。彼女の意志が判らぬまま強引に「生」の世界につなぎ止めて良いものかどうか迷うが……結合しかかった今の彼女を強引に除霊するのは、もはや「殺人」、二度彼女を殺すようなことになりそうで……それは避けたかった。それが決断の理由だな。
「自分から動けるかい?」
 俺は彼女に問いかけた。彼女はゆっくりと首を縦に振る。彼女はそもそも核だけでそれなりに「意志」を持って動けていたが、魔女達との同調がなければ活発的に動くことはなかった。そのスライムに魂が混じったことで、更に自立を進めたわけだ。
「はい……平気……です」
 驚いた。まさか話せるとは……身体は核を除けば魔女達の母乳で出来ているスライムなのに……声帯も無しに声を発するとは。これは魂が宿ったことだけでなく、母乳に含まれている魔力あっての賜かな。ま、今はそんな事に関心を寄せている場合じゃない。話せるなら、きちんと確認しなければ。
「あのさ、君は……」
「私……生きたい……です」
 問いかける前に、彼女はたどたどしく、しかし力強く答えた。俺達の会話を聞いていただろう彼女は、俺が何を問おうとしているのかもう察していた訳か。そもそも生への執着が強かったのだから、生きたいと願うのは当たり前か……本当はもっと事前に聞きたいことはあるのだが、それは彼女の魂が完全に定着して安定してからで良いだろう。
「判った。じゃ、入るよ……」
 俺は服を脱ぎ、母乳という名の湯船へと足を入れた。むろん母乳は熱いわけではないが、水風呂のように冷たいわけでもない。ちょうど「人肌」の暖かさがある。これが「生命」の暖かさなのか……また湯船はたっぷりあるわけではなく、くるぶしにも届かないほどにしか水位はない。彼女は自分の身体のほとんどを「人型」に形成しているためだ。全身を完全な液体状態にしても、バスタブの中ではさしたる水位にはならないだろう。
「んっ!」
「っと、大丈夫?」
 入れた足を、浴槽から慌てて引き抜く。人間だった彼女の魂は、まだスライムという身体になれていない。いきなり俺の足が彼女の身体の「中」へ入り込んだ感覚に、驚くのは当然か。
「大丈夫……です。ただ……こんなに……「感じる」とは……思わなかった……から」
 感じる? その言葉は一つの「綾」なのか……いやたぶん、俺が直感した「そっち」の意味だろう。
 母乳スライムはそもそも、性感がかなり強く作られている。そんな身体に足が入れば、そりゃ「感じる」のは当然か。
「完全な人型になれる? うん……そう、OK。ごめんね、いきなりで」
「いえ……」
 彼女の身長が僅かに高くなり、浴槽の底は空になった。俺は改めて浴槽に足を入れ、腰を落とし、浴槽の縁に背中を預ける。
「おいで」
 俺は起立したままでいる彼女に声を掛けた。戸惑いながらも、彼女はゆっくりと身体を屈め、俺の上に覆い被さる。
「んっ……ん……あっ! んっ……んあっ!」
 俺の肌に触れるその感触だけで、彼女は「感じて」しまうようだ。ゆっくりと俺との密着度を高めながら、その都度声を漏らしている。
「やっ! ここ……大きく……」
「はは、ごめん……」
 むくむくと大きくなる、俺の肉棒。せり上がるその感触に、彼女も驚いたようだ。ゆっくり触れられる感触と彼女の声が、俺を急速に興奮させていた。
「すごい……ですね……」
 身体を止め、彼女はじっと自分の腰、その下で力強く彼女を押し上げようとする一物に注目していた。そういえば、彼女の魂は生前いくつだったのだろうか……興味深く俺のを見ている彼女の様子からして、男の物を見慣れてはいないが知らない訳ではない……そんな感じだろうか。もっとも、彼女が融合した「核」にあった意志が、俺の「これ」を充分すぎるほど知っているわけだが……。
「あんまりじっと見られると恥ずかしいな」
 半ば冗談を交え声を掛ける。まぁ実際、ここまで凝視されると恥ずかしいし……それが故にまた大きくなり始めてるのを直視されるのはもっと恥ずかしい。
「ごめんなさい……」
 なんか健気で良いなこの娘。彼女は俺の方へ向き直り、じっと俺の目を見ながら謝罪する。なんかこれもこれで、恥ずかしいな……。
「おいで」
 俺は再び彼女を誘う。またゆっくりと彼女は声を漏らしながら俺の上に身体を重ねていく。
 眼前に彼女の顔が迫った。俺は手を彼女の後頭部に添え引き寄せ、そのまま彼女の唇を奪った。
「んっ! ん……クチュ、クチュ、チュ……舌……もっと……んっ、チュ……」
 母乳独特の甘みが、口内に広がる。初めこそピクリピクリと震えていた彼女は控えめに唇を重ねるだけだったが、俺から舌を入れると、その舌を彼女の唇と舌でねぶり始めた。急に大胆になったキスは、味覚も感触も、心意気も甘い。
「ステキ……キス、んっ、クチュ、クチュ、クチュ……チュ、チュパ、ん……いっ、美味しい……んっ!」
 全身が性感帯のような彼女は、キスだけでそうとうに感じているはず。しかしそれ以上に、彼女はどん欲だ。ミルク味の舌を俺の中へ伸ばし、溢れる唾液を啜っている。
 気付けば、彼女の身体が「柔らかく」なっている。ゼリーのようだった彼女の身体が、徐々に俺の身体全体を包むようになってきた。どうやらキスに夢中で、身体の形状を維持するのが困難になっている様子。むろんこうなることは予測済みで、だから魔女は浴槽を用意していたわけだし俺もその浴槽の中で下になったわけだが……ぬるりとした感触が身体を包み、プルプルと彼女が震え、それがダイレクトに肌を刺激する。まるで俺の方が全身性感になったのかと錯覚するような……人肌の心地よさも相まって、非常に気持ちが良い。
「もう……入ってる……あなたの……すごいよ……んっ、舌も、下のも、美味しいの……クチュ、チュパ」
 人の形状に捕らわれない彼女は、とろけた身体で俺を包みながら、肉棒も味わい始めた。その味わいは言葉通りであり、全身が膣であり口内である彼女にとって、双方の意味で「美味しく」俺を味わっている。
「んっ! あっ、また……私……もう、何度も……逝ってる……よ……んっ、チュ、チュパ……すごく、美味しいの、美味しくて……んっ、またっ、あっ! んっ……チュ……もっと……チュパ……」
 ピクピクと何度も痙攣する彼女は、その都度逝っているようで……その痙攣はそのまま、俺への愛撫に繋がる。包み込むようなこの愛撫は、まるで俺自身が肉棒そのものにでもなったかのようで、俺は巨大な膣の中に入って全身を嘗め回されているかのような……この比喩だって、大げさではないわけで。
「あっ……ビクって……またビクって……逝く? んっ! チュパ……逝って、くれます? チュ……んっ、あっ! 逝って、ください、ください……私に、あなたの……「命」を……」
 その言葉にゾクリとする。もちろん俺の命そのものを欲しているわけではなく、命の源を欲しているわけだが……それが判るからこそ、尚更彼女の言葉に色々と感じる物が……
「逝くよ、受け取って、俺の……」
「ください、ください……いっ、私も、来る……一番、大きいのが……ほら、逝くの、逝って、私も、あはっ! ん、ふぁあ! いっ、いく、わた、わた、しぃ! はあぁああ!」
 真っ白な女のミルクへ、濁った男のミルクを流し込む。ドクドクと脈打ち、二色の白がどんどん入り交じっていく。
「あっ、あ……私……あっ! やっ!」
 突然彼女は立ち上がり、完全な人型になって……胸を腕で隠し浴槽の反対側で縮こまってしまった。あからさまに、彼女は恥ずかしがっている。
「……もしかして、結合が上手くいったのかな?」
 どうやら俺の精子を受け入れたことで結合が進み、あらゆる意味で「意識」がハッキリしてきたのだうろ。だから急に自分のしてきたこと、今の現状が恥ずかしくなったのか……これまではスライムの意識と魂が求めた生への渇望で俺を求めていたが、結合が進んだことで……違う「意志」も芽生えたというか、思い出したというか……ともかく、より人間の感情に近くなった彼女は、さてこの状況をどう思っているのだろうか……こうなると、最初に尋ねた「確認」は、意味を成さなくなってくるな。さて……これはまた面倒なことになってきたぞ。
「ごめんなさい……大丈夫です、すみません……」
 色々なことを意識し始めたとはいえ、彼女もこれまでのこと、こうなっている経緯は全てわかっているようで……突然俺を避けたことを謝罪し始めた。
「いや、いいんだ。その……混乱するのは当然だと思うよ。で、その……また、聞くけどさ……」
 ただ生きたいと願っていた彼女は、さて、「スライムになってでも」生きたいと……望むか。彼女の考え次第では、俺のやって来たことはただのエゴになり、「生かしてしまった」ことにどう詫びれば良いのか……俺はそこまで、考えを巡らせていた。
「君は……その身体になってでも……生きたい?」
 沈黙はどれくらいの間あっただろうか……実時間の長さは関係なく、俺も、彼女も、この沈黙はとてもとても長いものだった。そして、彼女は口を開く。
「……はい。後悔は……してません。ただ……」
 生きることは望んでいる。それは誰でもそうだろう。問題は生きる上での、問題。
「私は……バケモノに、なってしまったん……ですか?」
 俺はすぐさま、首を大きく横へふった。
「君の言う「バケモノ」の定義にもよるけど……少なくとも俺には、君はとても魅力的な女性にしか見えないよ」
 事実そうだ。自在に形状を変えられるとはいえ、今の彼女……人間としてのプロポーションは素晴らしい。おそらく人間だった頃のそれと、同じになっていると思うが……顔立ちだって、凛々しいくらいに整っていて美しい。
「人間ではない……という意味では確かにバケモノかもしれないけど、それは考え方次第で、些細なことだと思うよ」
「些細な……こと?」
「個性的って考えれば、ステキじゃないか?」
 俺の言葉をどう捕らえたのか……少なくとも彼女の表情は、あっけにとられていた。そして不意に、彼女は吹き出し、笑い始めた。
「アハハハ……個性的って……フフ、そんな風に見えますか?」
「もちろん。個性的で魅力的で……そんな君と知り合えた俺は、幸せ者だね」
 むろん本心だが……「幸せ」という言葉にまた彼女が反応し、黙ってしまった。そしてまた流れる沈黙……だが今度の沈黙は、先ほどよりは長くない。
「私は……幸せになれますか?」
「君の心がけしだいさ。もちろん、俺も、そしてさっきいた魔女の婆さん……あー、「お姉さん」になってるかもしれないけど……まあ彼女も、助力は惜しまないさ」
 彼女は俺の言葉に微笑み、ゆっくりと近づいてきた。
「……こんな私でも、愛してくれますか?」
「もちろん」
 そっと、また唇を重ねる。触れた瞬間、過敏な彼女は一瞬唇を離したが、すぐに股彼女の方から重ねてきた。そして今度は彼女の方からそっと腕を俺の後頭部へ回してきた。
「んっ……クチュ……チュ、んっ……美味しい……フフ、こんな味覚えちゃったら、私……この身体手放せなくなる」
「そうさ。君には君の幸せがそこにあるんだから」
 見方によっては、ただ性欲に溺れただけとも言えるだろうが……しかし性欲こそ人間の、生命の根元だろう。自我を保ち営みを楽しむなら、そこに引け目を感じる必要なんて無い。
「ええ……ねえ、もっと感じさせて。あなたを……味あわせて」
 ぐっと俺を引き寄せ、彼女は俺の口内を侵し始める。何処までも伸びる舌は喉の奥にまで進入し、しかし器用にも気道を確保しつつ、内側から俺を嬲り始めた。
「これすごい……私こんな事出来るんだ……」
 求めるがままに身体を動かすことで、融合したスライムの意志が働くのだろう。まるで人が自然と二足で歩くように、教えられたわけでもなく彼女の巧みな舌技が俺を攻める。
「気持ちいいですか? 私も……クチュ、チュ……ふふ、すごい、私キスしながら話せるんだ……クチュ、チュ、チュパ……」
 そう、彼女の口は完全にふさがっているが、ハッキリと話せている。そもそも彼女はスライムなのだから、形状はあまり意味を成さない。全身が口であり舌であり、そして……
「いい、んっ、もっと喉で締めて……こっちも大きくなって……ふふ、入れちゃいますね」
 伸ばした舌も、一物が当たっている腰も、全てが性器。彼女は再び硬く大きくなった俺の肉棒を、彼女の中へ……入れると言うよりは、彼女の方から包んできた。
「ふわぁ……これ、この感触……ん、すごい、美味しい……美味しくて、気持ちいい……んっ、チュパ、クチュ、クチュ、チュプ……」
 俺も彼女も、腰は動かさない。肉棒を包む彼女の身体がウネウネと波打ち、刺激してくる。俺が感じるのはもちろんだが、肉棒を「味わっている」彼女も、かなり感じているようだ。
「い、やっぱり、すごく、いい……んっ、すごい、気持ちいいの、美味しい、の……ん、クチュ、チュッ、チュプ、チュパ……いい、気持ちいい、わぁ……んっ!」
 先ほどと同じように、彼女は何度か軽く逝っている。それを何度も繰り返しているようだ。逝った瞬間俺を包む彼女の膣となった身体がきゅっと締まるので俺にも判る。
「ステキ、ステキなのぉ……んっ、ねぇ、好き? 私のこと、好き? 愛して、くれる?」
 ずっと口を塞がれ内側から犯されている俺は返答することが出来ない。それに気付いた彼女は、そっと俺から唇を離し答えを待つ。
「ふぅ……ああ、もちろん。愛してるさ。君のような女性は大好……んっ!」
 また唇を塞がれる。中に入って来た舌という性感帯が、先ほど以上に激しく動き回り俺を刺激する。このまま胃の方まで犯してくるんじゃないかという勢いだ。肉棒を包む膣はといえば、うねりがより激しくなっていた。
「ありがとう、私、あなたのおかげで……こんな、こんな、ステキな……んっ! いっ、また……んっ、もっと、何度でも……ん、クチュ、チュパ……」
 彼女の身体がまたゆるみ始めた。彼女の全てで俺の全てを被い、俺は鼻を除き、全てが彼女に包まれる。
「好き、好き、これも、んっ、これも、あなたの、全てが、好き、大好き、美味しい、気持ちいい……私、わたし、すき、いい、きもち、おいし……んっ、いっ! きた、ビクって、きたぁ、きて、だして、あなたの、ほしい、あなたの、あなた、ほしい、ほしい、いい、おいし、いって、い、んっ、あっ! くる、くる、くっ、あっ、やっ、きたぁああ!」
 またしてもあふれ出す白濁液。二度目なのに一度目より多いんじゃないかと思えるほど、放出感が止まらない……。
「あふ……すごい、これ……あっ、とける……私の中に染みこんでくる……ああ……ふふ、うふふふふ」
 自分の中から俺を抜き出し、彼女は幸せそうに俺を見つめながら笑っていた。

「そこまでして、なぁんて言ってないんだけどなぁ」
 老婆から成人女性へ。魔女がこの姿になったということは、つまり、俺をからかう「モード」になったと言うことか。クスクス笑いながら、魔女は俺「達」を見ている。
 完全なスライム娘になった彼女は今、俺を包みながら幸せそうに微笑んでいる。包んではいるが、これは性交の状態では無く、なんというか……抱きついているという感じか。融合が完全になったことで、表面に「膜」を張って性感を感じないようにすることも出来るようになったらしく、こんな密着も可能になったわけだが……ま、女性に好かれるのは嬉しいが、あれか……「また」やちゃったか。
「誓って、今回は覗いたりしてないけどね」
 魔女はニヤニヤ笑いながら、彼女の予測を披露する。
「あれでしょ、「愛してる」とか言ってくれた?」
「ええ!」
 そらまぁ、幸せそうですよ彼女は……うう、色んな意味で心が痛む。
「ふふ、その男に惚れると苦労するわよぉ……色々とね」
「……もしかして、私二股掛けられました!」
「二股ですめばいいけど」
「ええ! ちょっと……愛してるって、好きだって言ってくれたのにぃ!」
「ぐっ、ちょ……そのまま締め……きっ、キツイって……」
 いやだからさ、嘘じゃないんだけど、その……さ。いっ、いかん、マジで苦しい……。
「アハハハハハ! まあ許してあげて。詳しいことは追々話してあげるから」
 ふぅ……ようやく緩んだ。いやまあ……うん、頼むからそんな怖い顔しないでくれよ。
「で……真面目な話、これからどうするつもりだ?」
「私との関係を、ですか?」
「いや、そうじゃなくてさ……」
 それはホント、追々……そうでなくて、彼女の今後だ。スライムとして生まれ変わった彼女を、今後どうするかって話だ。
 スライムとして生きることに対しては、こちらが危惧していた事など全て無駄というか、予想以上に彼女は前向きに捕らえている。自縛霊になりかけていたことで人間だった頃の記憶がほとんど欠落していたのが不幸中の幸いだったのだろうが……そんな中でも、彼女がそもそも明るい性格だったこと、その性格が魂に刻まれていたことは大きかった。問題にしているのは、生活面だ。
「あなたさえ良ければ……魔女の修行をしてみない?」
「私が、ですか?」
 彼女は普通のスライムではない。高濃度の魔力がこもった母乳を母体にし、同じく魔力のこもった精子を核にしている。つまり全身が魔力の固まりなのだから、それを生かさない手はないと、魔女は言う。
「浮気性の彼をつなぎ止めておく魔法とか、色々教えてあげるわよ」
「やります!」
 即答かよ……つかよ、三人もいてこっちは苦労してるってのに、四人目か……それは非常に、まずいぞ……。
「ふふふ……なんだか、楽しくなってきました。生きてるって素晴らしい!」
 明るく前向きな彼女に対して、俺はどんよりと暗くなる一方……
「あら、嬉しくないの? 彼女がこんな前向きになって」
 そりゃあ……スライムとしての人生を受け入れて明るく生きてくれるのは嬉しいが……まあそうだな。今はその事を素直に喜ぶべきか。
「では早速、媚薬の調合と、それを上手く騙して飲ませる方法から……」
「はーい!」
 前言撤回。もういいから俺を解放してくれ……。

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