飛ぶ薬

 私は一人、釜に入れた棒きれを手で回し中身をかき回していた。
 釜と言っても大きな物ではなく、むしろ「一人用鍋」と言った方が大きさなども的確に伝えられるだろうか。
 私は熱せられた鍋の中身に、うっすらとだけ水色がかった粉末を入れる。粉末はすぐ液体に溶け、跡形もなく消えていった。
 そして私は粉末を入れられた後もなお釜の中身をぐるぐると棒でかき回している。
 いや、液体と言うにはあまりにも粘りけのあるそれを、かき回していると言うよりは煉っている、と言うべきか。
 その液体は煉れば煉るほど色を変え、濃厚な緑色へと変化していった。
 一舐めすればおいしさのあまりにファンファーレでも鳴り響きそう……には、さすがに見えない。
 どう見ても、口に入れるべき物ではなさそうだし、口に入れるべき物ではないことを知っているから。
 それにここは台所ではない。
 まだ釜がコンロやかまどの上にでも置かれているのなら、食べ物かとも少しは思えるかもしれないけど、私が釜の中身を煉り続けているこの部屋は、一言で言うなら実験室。周囲にはたくさんの棚が設置してあり、ガラス戸の奥には薬瓶がぎっしりと並べ置かれている。
 そして引き出しの中にはきちんと区分けされた薬草やそれらを粉末にした物が納められており、今私はその引き出しを開け、今度は真っ赤な粉末をひとつまみして閉める。
「マンドラゴラの根はこんなものかな……」
 私は独り言のように材料を確認しながら、粉末を釜に入れまた練り始めた。
 もしここに第三者がいれば、真っ黒なずきんをかぶった私の様子を、まるで魔女が怪しげな実験をしているよだと例えるだろう。
 いや、「まるで」ではなく、全くその通り。
 私は魔女なのだから。
 ただ私に一般的な魔女のイメージとかけ離れていることがあるとすれば、私の「見た目」が腰の曲がった老婆ではなく、若い年頃の女性だという点くらいだろうか?
「こんな感じかな……」
 アルコールランプ代わりに使っていた鬼火を、私はパチンと指を鳴らして消した。
 続けて私は釜とその中身を急速に冷やすため、釜から棒を取り出した後にふーっと息を釜へ吹きかける。すると釜の表面にピキピキと音を鳴らしながら氷が次々と付着していく。
「……うん、良い感じね」
 冷えた釜の中身を指で突き、液体が固体へと変化したことを確認した。
 固体とはいえ、釜に付いた氷のようにカチカチに固まったわけではなく、半固形……体温の熱さで溶ける程度の、これは軟膏薬。
 俗に「魔女の軟膏」と呼ばれる薬を、私用に調整して作った物が釜の中身にある正体。
「さて、成果のほどを早速試してみましょうか」
 私はそそくさと立ち上がり、服を全て脱ぎ始めた。
 全裸になった私は、釜からたっぷりと軟膏を掻き出し、それをまんべんなく全身に塗っていく。
「んっ……冷たい」
 ひやりとした感触が全身を包み、僅かに肌が引き締まる。
 体温ですぐにどろどろとなった軟膏が、引き締まった肌へ吸い込まれるように浸透していくのが見た目と感触で実感出来る。
「これ……はぁ、思った以上に即効性高いかも」
 軟膏を全身に塗り込む。これだけの事で私はもう息を軽く荒げ始めていた。
 私は慌てて、部屋の隅に立てかけてあった「箒」を、その場を動くことなく指先を軽く曲げただけで引き寄せ、軟膏をその箒の「柄」にもたっぷりと塗る。
 私が作った魔女の軟膏は、別名「飛び軟膏」とも呼ばれており、魔女が箒で空を飛ぶ為に用いる薬である……と、伝えられているらしい。
 まあ確かに、この軟膏は「飛ぶ」為の軟膏であり、こうして箒も用いてもいる。
 しかし軟膏の効果は、民間伝承に伝わるようなかわいげのある物などでは全くない。
「んあ……もうこんなに……あぁ、いい……」
 私は箒にまたがり、柄を股間に押しつけ手にしたそれを前後にゆっくりと動かしている。
 軟膏と、そして押しつけた股間からもうあふれ出ている愛液によって、箒は滑らかに動き私に刺激を与えてくれた。
 かつてキリスト教徒達は、「魔女は箒を用いて自慰行為をする堕落した者達」と断罪してきた歴史がある。それはキリスト教が魔女と呼んだ土着の巫女達を追い払うために用いた嘘方便だと今では語られているが、実のところ、彼らの証言に嘘はない。
 事実今私は、古くから伝わる秘術で作られた軟膏という名の「媚薬」を用いて、快楽という旅路へと「飛んで」いるのだから。
「そこ、んっ、そこいい……」
 自分で自分に言い聞かせ、私は竹で出来た箒の柄にある「節」で陰核に刺激を与え続けた。
 全身に塗った軟膏はとうに染みこんでおり、全身全ての神経が敏感になっている。そんな状況で刺激される陰核や淫唇。強烈な刺激はすぐさま全身に響き、まるで身体が一つの性器になったかのような錯覚に陥る。
 いや、もはや錯覚ではない。私は自分で作った軟膏によって全身を性器に仕立て上げていた。
「もっと、もっと激しいの、ん、ほし、欲しい……そ、ん、もっと、もっと!」
 摩擦で火が付くのではないかと思うほどに、私は股間に強く押し当てた箒を激しく動かす。しかしそれでも、私は満足できない。もっと強く、奥へ、直接的な刺激が欲しい。
「ふといの、いれる、いれちゃう……ん、んっ! い、これ、いい!」
 ついに私は床に寝そべり、柄の先を膣の中へと押し入れた。
 確実に男性器よりも太い箒の柄も、軟膏と愛液という潤滑油のおかげですんなりと受け入れる膣。
 私はその膣の更に奥へと、柄を突き入れては喘いだ。
「ん、い、いい、おく、おくまで、きてる、きてる、あっ! んっ、んはぁ!」
 自分で自分の身体を串刺しにしてしまうのではないかと思うほど、しかし躊躇うことなく深く深く私は膣の奥へと箒という張型を突き入れる。
「もう、いく、いっちゃう、わた、し、もう、ダメ……ん、いっ、ふあ、あっ、んっ、あ、あぁ!」
 鯨のように股間から潮を吹き、私は自慰を初めて三分と経たずに果てた。
 自分用に調整したとはいえ、これは強烈だ。
 まずいかも。頭の片隅で私は自分に警告を発する。
 これは完全に、調合をしくじっている。
 この手の薬は、あまり強力すぎてはいけない。なぜならば……。
「ん、ダメ……止まらない……」
 警告という思考を、肉体が拒絶した。
 私は再び入れたままだった箒の柄を片手で動かし、余った片手で胸をちぎれんばかりに揉み始めてていた。
 効能が強すぎて、歯止めが利かない。身体は一度で満足することなくどん欲に次を求めている。
 そして警告を発した意識も、次第にどん欲な性に支配されていく。
「ああ……ふあ、ん、もっと、お願い、もっと……」
 意識がぼやける。意識という白い靄の中は、もう快楽を求める心しか残ってはいなかった。
 快楽を求める心はそして、同時に「相手」を探し始めた。
「強く、そう、んっ、いい、いいわ……んっ!」
 私はいもしない「相手」に語りかけ、さらなる刺激を求めている。
 そもそも魔女の軟膏には肉体的な媚薬効果だけでなく、精神的な媚薬……つまりはトリップ効果も含まれている。
 だからこそ「飛び軟膏」とも呼ばれるのだ。
 意識はこれまでに私と交わった男達をずらりと並べ、その中から「相手」を選んでいった。
 次々とふるいにかけられ消えていく男達。残っていくのは私が愛した男達。
 その男達も一人また一人と消えていき、最後に残ったのは……最愛の人。
 もはや胸を揉む私の手は彼の手。私を貫く箒の柄はあの人の陰茎。
 虚空にはハッキリと、愛しいその人の姿が見えていた。
「もっと、きて……ふかく、ん、もっと、もっとぉ……」
 とろんとした甘い声で、私は彼を求め続ける。
 本物の彼には聞かせたこともないような、甘い甘い声。
 私の心は軟膏によって完全にこじ開けられ、全てを素直に、そして熱く、求めてしまっている。
 だがどんなに求めても、所詮は幻影。脳で作りし幻に過ぎない。
「キス……ねぇ、キスしてぇ……」
 激しく唇を求める私。しかしその欲求に幻は答えられる術を持っていなかった。
 結局は私の両手と箒だけが彼の代役。
 それだけのはずだった。
「んっ! ……ん、ちゅっ……くちゅ……んっ、あぁ……」
 唇に熱い感触。そして口内に侵入する、舌。
 ありもしない、あるはずのない快楽が、求めに応じてきた。
 これが強力すぎる媚薬の効果なのか? 求めに応じ脳が幻に疑似感触を持たせたのか?
 感触だけではない。さらに幻はありもしない行為を私にし向ける。
「こんなに乱れて……そんなに気持ちいいの?」
 幻の彼が、「キスをしながら」耳元で囁きかける。
 とうとう感触だけでなく幻聴まで。
 何故? ここまでリアルな幻を感じるほど私は「飛んで」しまっているのか?
 そんな疑念を抱くはずの脳は、甘い甘いキスと言葉に、トロトロに溶かされてしまっている。
「だって……ん、ちゅっ……んっ……」
 言い訳をする私の唇を、彼の唇が塞ぐ。
 そして彼は私の両胸と、淫唇と、そして菊門を手で激しく責め立てる。
 幻の彼は四本の腕で私を弄んでいた。
「ここまで濡らすなんて……とってもいやらしいね」
 舌と言葉で私をとろけさせる二つの口。
 そう、私はまるで「二人」の彼に嬲られているよう。字が示すとおり、二人の男に私という女が挟まれるように。
「や、もう、いっ……いっちゃ、んっ! やっ!……はっ、はぁっ!」
 解放された私の唇が漏らしたのは、絶頂の告白。そして荒げる息。
「もう逝ったの、本当にいやらしいね……まだ欲しいの?」
 意識はもうろうとしていても、彼を求める「心」はハッキリしていた。
 私は荒げる息を整えられぬまま、うわごとのように問いへ答える。
「いいよ、もっと可愛がってあげる」
 言葉と同時に再開されるキス。そして淫唇には指ではない違う感触が。
「舌ぁ、ん、なめ、もっと、舐めてぇ……んっ、ふあぁ!」
 ぴちゃぴちゃといやらしい「幻聴」と共に、ぬめりと暖かい感触が淫唇をこじ開けるように迫ってくる。
 激しく得られる快楽と、その快楽を更に求める意識が、ガクガクと腰を振るわせた。
 その腰を強く床に押しつけ、幻の彼は執拗に舌を淫唇に這わせてくる。
 またもう一方の彼は唇から頬、そして耳たぶを軽く咬んだ後に、舌を首筋に這わせ、そして胸、乳首へとナメクジのように舌を滑られる。
「あぁ! ん、もっと、なめて、すってぇ……ふあっ! んぁあ……い、いい!」
 もう三度目となるのに、私はまた絶頂へと駆け上がっていく。
 丁寧に、大胆に、二つの舌が私を喜ばせ、狂わせていく。
「ひぁあ、そこ、ん、いいっ! もっ……い、んっ! あぁあ……んっ、あっ!」
 干からびるのではと心配になるほどに上下の口からよだれをダラダラと垂れ流し、私は全身を振るわせながらただただ愛しい彼らに身を任す。
「また、また、いく、いくのっ! いっちゃ……ん、いっちゃ、いっちゃ、いっ! ん、んぁ!」
 腰を浮かせ、私はその腰をビクッビクッと痙攣させている。
 そして突然襲ってくる虚脱感に身を任せ、ストンと腰を落とし息を整えようと努める。
「はぁ、はぁ、はぁ……もう……もう、でも……」
 足りない。
 短時間に三度も達しながら、私は物足りなさを感じていた。
 得られるはずのない舌の感触に身を任せた私が、次の段階を求めてしまうのはむしろ自然なこと。
 しかしそれまでも都合良く幻影に頼れるのだろうか。
「次はこれでしょ?」
 目の前には、心から欲した物が。二つの陰茎。箒の柄などではない、幻影の……私にとっては本物の肉棒。
 気づけば、私は半身を起こし飛びかかるように一本の肉棒を口内へと自ら導いていた。
「くちゅ、ん……ちゅ、くちゃ、ん、ちゅぱ……ん、おいひ、おいひぃ……んっ、ちゅ」
 奥へ、喉の奥へ。ディープスロートで肉棒の全てをしゃぶりつくさんと激しく首を振っている。
「ひぅうんっ!」
 そんな私の首が一瞬止まった。
 もう一本の肉棒が、もう一方の口内へと突き入れられたから。
 奥へ、膣の奥へ。インサートで膣の全てを満たさんと激しく腰を振っている。
「ん、ちゅ、ひい、ん、ちゅぱ……ん、ん、んん、きも、いい、おいひ、い、ん、くちゅ、ちゅ、んっ、ん……」
 私は頭と腰をガッシリと捕まれ、荒れ狂う腰と肉棒にされるがまま快楽の全てを受け入れていく。
 にもかかわらず、私はどん欲にさらなる快楽を得ようと、舌でなめ回し膣で締め付け、二本の肉棒をとことんまで味わい尽くしていく。
「い、ほひ、ほひい、ちゅ、ん、くちゅ、んん、ちょう、だい、しろい、の、あなたの、ほひい、ほひいの、おねが、い、ん、んっ! ちゅぷっ、ちゅ……ん、んんっ!」
 四度目も近い。故に欲しかった。私はとても欲しかった。
 彼の、愛しい彼の精液が。苦くて甘い、彼の物が。
 私を悦ばせ、そして彼も悦んでくれたという、白い証が。
「愛してる?」
 突然彼が私に尋ね、答えされるためか口から肉棒を抜き出した。
 私はその問いに、普段なら絶対に口にすること無い返答を叫び始めた。
「あいしてるっ! あいしてるっ! すき、すきなの! あなたが、いちばん、すき、すきっ!」
 これまでに幾人もの男を愛してきた。そんな愛の中には、寂しさを紛らわすためだけの愛もあった。
 今の私を熱く焦がす愛は、過去の男達との愛情では得られなかった安堵がある。
 今を熱くされる情熱にほだされているだけかもしれない。けれど、今一番愛しているのは、彼一人。
 少なくとも、それは真実。
「すきっ! あいしてる、すきなのっ! だから、あなたの、あなのたが、ほしい、わたしの、なかに、なかにっ!」
 私の返答に満足したのか、口を塞いでいた彼の愛しい肉棒が再び私の口内へと押し入れられる。
「ん、ん、ちゅ、くちゅ、ひ、い、も、うっ、ん、ちゅ、ちゅぱっ、ん、ちゅ……んっ! んあぁ、ん、んっ、んん!」
 来る。私も彼らも、限界が近づいている。
 ああ、いよいよ……私の中に、彼の熱い愛が注がれる。
 肉体的な頂点よりも、もはや私は彼の愛を受け止められる精神的な悦びに酔っていた。
 いつでも、いつだって、私はこの瞬間が何よりも一番、悦楽の極み。
「ん、ちゅ……ん、んん、ひく、ひん、んあ、くちゅ、ん、ひ、ん、ふあ、ん、んあ、ん、んっ、んぁあ!!」
 全身を硬直させる私。続いて注がれる、熱い愛情。
 白濁液を口と膣で味わい飲み込みながら、私の意識も視界も、白く白く暖かく、包んでいった……。

「もー、何時からいたのよぉ……」
 私は顔を、耳を、首までも真っ赤に染め、床にうつぶせたままそれらを腕の中へと覆い隠した。
「キスぅ……のあたりから?」
「そうね、そのあたり? なんか一人でよがって楽しそうだったから、ついね」
 意識を取り戻したとき、私の視界へ真っ先に飛び込んできたのは、二人の魔女。私と同居している愛すべき親友達だった。
「なんかとびきり凄いの作っちゃったみたい? あんなに激しい一人エッチ、見たこと無かったわ」
 二人は私が「飛び軟膏」を作るのを知っていたため、その出来栄えを拝見しようとこの部屋へと訪ねたら、ちょうど私がトリップで完全に自分の世界へと「飛び立っていた」ところだったらしい。
 私の一人オナニーショウ。観客が訪れたことにも気づかない私に、二人はついつい……。
「あれだけキスをせがまれたら、答えないわけにはいかないわよねぇ?」
 つまりあの幻影は、半分現実で半分私の妄想だったというオチ。
 どうりで生々しすぎると……今振り返ってみると、彼の言葉はあまりにも彼らしくなかった。
 二人の姿だけでなく声色まで私は脳内で彼に変換して悦楽をむさぼっていたという訳か。
 真実を知って、私は複雑な感情を胸中で渦回していた。
 恥ずかしいのもあるが、幻影の彼がやはり幻影でしかなかったという事実は僅かにショックだった。
 二人に対しては……むしろ良い夢を見せてくれたと感謝すべき?
 少なくとも、私は彼女たちを責める気はない。
 なぜならば、もし逆の立場だったら私も迷わず同じ事をしただろうから。
 余談だけど、最後に私を狂わせた肉棒も彼女たちの物。私達魔女にとって、肉棒の一本や二本生やすのなんて造作もないこと。
「あーもー、恥ずかしいったらないわぁ……」
 いくらお互いにサバトなどで何度も交わった仲だとしても、さすがに無意識下の自慰行為を見られた上に弄ばれたとなれば私だって恥ずかしい。しかも私は彼女たちを彼に見立て……あまつさえあんなことまで口走って……。
「よく言うわよぉ、あんな熱烈なラブコール聞かされた私達だって顔から火が出ちゃったわよ。ねぇ?」
「ねー」
「もー、あなたたちが言わせたんじゃないのぉ……」
 まだ私は顔を上げられないままでいた。
 まあもっとも、私が今夢中な男性が誰かだなんて、もう彼女たちは知っていることだから、そこはもう恥ずかしくもないけれど……けれどあの告白はちょっと……。
「でもずるいわぁ。私も「二人の彼」に嬲られてみたいなぁ」
「私もぉ。ねね、今回の飛び軟膏、レシピ教えてよ。私も自分用にアレンジして作ってみたい!」
 私はしばらく考えて、彼女たちに答える。
「いやよ。「私の彼」を、あなたたちにあたえてなんかあげない!」
 身を起こして、私は机へと駆け寄った。そして釜を抱きかかえながら、親友達に向け舌を出す。
「ちょっと! それはないでしょ?」
「私達が良い夢見せてあげたんだからぁ、次は私達に見せなさいよぉ」
 たわいもない、まるで十代の女の子達のようにはしゃぐ私達。
 結局は二人に教えて、三人で「私達の彼」をお互いに見立てて交わったりするんだろうな。そんな近未来像は見えているけれど、今はちょっと、私を辱めた報いを受けてもらおうかな。
 ちょっとたあいもないじゃれつきに興じたら、今度は、今夜は、大人のじゃれ合いへ。
 私達は私達の彼と、また良い夢を見る。



 でも、やはり本物には敵わないわね。
 さてと……今度はどんな手で、「あいつ」を誘い出してやろうかしら?

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