それは、私が今担当しているローパーへの調教を終えたところだった。
私が一仕事終えるのを待っていたかのように、総合受付から内線が入ってきた。
「あの、「リリムハウス」にヘルプ入ってもらえないでしょうか?」
リリムハウスとは、魔物の女性を目当てにする人間と、人間の女性を目当てにする魔物を客として迎える店。
そして私が勤めている「ローパールーム」のオーナーが経営しているもう一つの風俗店でもある。
オーナーは風俗関係の店を手広く運営しており、ローパールームもリリムハウスも、同じビルの中に店を構えていた。
私は女性向け魔法生物サロンであるローパールームで調教師をしており、ローパーやスライムといった魔法生物の調教や調整を担っている。その傍らで、時折今のようにリリムハウスからのヘルプにも応じている。
ヘルプの内容はもちろん、調教師としてではなく風俗嬢として。
「ケンタウロスのお客様がいらしたんですが……あいにく、今日は相手に出来る娘がいなくて」
今日に限らず、ケンタウロスの相手がつとまる人間の女性は滅多にいない。理由は簡単。ケンタウロス相手の性交はとても危険だから。
ケンタウロスとは半身半馬の魔物。つまり下半身が馬の彼らは、当然彼らの「お宝」も言葉通り馬並み。長く太い彼らのものを受け入れられる人間の女性なんて、滅多にいるものではない。
聞いた話では、アメリカで馬のものをアナルに入れさせたところ、内蔵にまで到達しそのまま突き破られ死亡した「男性」がいたとか。
相手は理性あるケンタウロスとはいえ、興奮してしまうと万が一ということもある。とてもではないが、ケンタウロスに不慣れな娘を相手にさせるわけにはいかない。
「OK、いいわよ。すぐに向かうわ」
しかし私は違う。伊達にこの店で調教師をやっているわけではない。ケンタウロスなら手慣れたものよ。
「ああ、そっちでも一人サポートの娘は付けてね」
私一人でも問題ないのだが、折角の機会を逃す手はない。ここでケンタウロスの経験をリリムハウスの娘にも積んでもらわないと。
私は調教用のボンテージを脱ぎながら、内線で管理室に連絡を取っていた。
相手のケンタウロスはまだ年若い、「この手の店」に慣れていないような青年だった。
あらあら、可愛らしいわね。なんてふと心を過ぎるが、その思いを極力追い払うように心がけた。
だって、あんまり可愛いと「調教」したくなっちゃうんだもん。
……いけないいけない。私は「風俗嬢」としての営業スマイルでお客様を迎え入れ、準備に取りかかった。
部屋は広めの浴室。通称「スライムの間」と呼んでいる部屋。この部屋はローションを大量に使うお客様のために、あらかじめ浴槽にはお湯の代わりにローションをたっぷりと準備してある。
今回のお客様であるケンタウロスを相手にする場合、ローションプレイが中心となる。その際使用するローションは、さすがに浴槽いっぱいほど使うわけではないものの、通常の使用量よりは多めになるので、私はこの部屋にお招きするよう店側に注文を付けていた。
ちなみにこの部屋では、浴槽に調教済みのスライムを入れて楽しんでもらうというサービスも行っていたりする。
「ではお客様、失礼します」
お店の娘が浴槽のローションを桶ですくい、それを肩からお湯のように自ら浴びる。そしてベトベトになった身体のままお客様に寄り添い、全身でマッサージを始めた。
通常のローションプレイならお客様にマットの上へ寝てもらい、その上へ身体を重ねてサービスを行う。しかしケンタウロス相手の場合は膝を曲げることも、まして寝そべってもらうこともしてもらわない。立ったままの方がお互いに都合が良いから。
サポートの娘はお客様の正面から抱きつき、人間と同じ上半身へのサービスを始めている。
ケンタウロスと人間では身長差があってやり辛い面もあるが、そこはテクニックでカバー。彼女はお客様の腹部に胸をぐりぐりと押しつけながら、たくましい胸元に舌を這わせている。
身体を揺すりながらも腕を腰に回してがっちりと離さず、豊かな胸の圧迫を楽しんでもらっている。対して顔はあまり動かさず、ぴちゃぴちゃと音を立てながらお客様の乳頭を転がすよう舐め続けた。
そして私はお客様が彼女に夢中となっているところで、馬の半身の方にぴたりと身体を密着させる。胸を胴に押しつけながら反対側へ手を伸ばし、軽く指を立て、ブラッシングのように優しくなで回す。
私たち二人がかりのサービスに、よほど心地よかったのか、我慢していたであろう声を上げてしまうお客様。
「うふ、気持ちいいですか? もっと感じてくださいね」
サービストークを彼女に任せ、私は少しずつ後ろへと身体を移動させていく。ブラッシングしていた手を下げ、身体をお客様の下へと潜らせる。
そして目の前には、長く長く硬直した「お宝」が。私はそこへ両手を伸ばしていった。
短いうめき声が、お客様から漏れる。
男性の腕ほどもあるお宝。私はそれを両手で軽くつかみ、ゆっくりとしごき始めた。
「お客様、お背中失礼いたします」
うめき声を合図に、彼女は私が次の段階へと進んだのを確認したのだろう。彼女も次のプレイへと移った様子。
私の位置からでは見えないが、彼女は踏み台を使いお客様の背に乗ったはず。そこからお客様の上半身を後ろから抱きつき、自身の腰を動かし始めているだろう。
「んっ、たくましい背中……あっ、ん、お客様の「毛」が、私のをくすぐって……きっ、気持ちいい、です……」
いわばお客様の背、馬の背で「角マン」オナニーをしているような状況。
彼女はお客様に後ろから抱きついているので、先ほどまでとは違い頭の位置は彼女の方が高い。しかし彼女はその頭を少し傾け、お客様の肩に顎を乗せるくらいの位置にまで下げているだろう。
つまり彼女の声はお客様の耳元へダイレクトで伝わる。
その上で、人の背から感じる胸の圧迫と、馬の背で感じる淫唇が擦れる感触。加えて私の、両手による大胆な手コキが加わっては、それはそれはたまらない快楽となるはず。
「どっ、どうですか、お客様……あん、感じて、くださって、ます、か?」
ハァハァと荒い息を吹きかけられながら訪ねられる若いケンタウロス。しかしはっきりとした言葉はここまで聞こえない。私の耳にまでは届かないような小声で答えているのか……いえ、男の荒々しい息づかいははっきり聞こえますから、たぶん答えるだけの余力がないといったところでしょう。
事実、手の内にある豪腕のような肉棒は、ぐんぐんと力強く痙攣している。
「んっ!」
私はちょっとわざとらしいくらいのあえぎ声を短く上げた。
これは合図。お客様がそろそろ限界を迎えそうだと、サポートの彼女に伝えるための。
「わっ、私もう……逝きそう……ふぁあ! おっ、お客様、一緒に、一緒に、逝って、ください……んっ、あはぁ!」
暴れそうになる腰を必死に耐えながら、二人の風俗嬢に攻められる若者。そんな彼に、絶頂が訪れる。
「あぁ、出てるぅ!」
私の胸めがけ、大量の白濁液が飛びこんでくる。勢いある水圧に、私の胸が軽く揺れた。
「逝く! 私も、いっ……くぅ!」
私の歓喜を聞いてから、彼女も絶頂を迎えた。実際の彼女が頂点まで達したのかは定かではないが。
「はぁ、はぁ……お客様、いかがでしたか?」
お客様の背にもたれながら、彼女は甘えるように訪ねている。
「うっ、うん……気持ちよかったよ……」
初々しい答えが返ってくる。
私としては、照れる若い男の顔をじっくり見てみたいところなのだが……あくまで私はヘルプ。次の準備のために私はまだ下に潜ったままでいた。
まだ白濁液が僅かに垂れる尿道をチロチロと舐めながら、両手はまた彼の長い肉棒をさすっている。
「次はもっと、気持ちよくなってね」
耳元で囁いて、おそらく頬に軽いキスの一つもしただろう。彼女はお客様の背から降り、そして私同様お客様の下へと潜り込んだ。
ここからが本番。そして私が一番神経を使う場面。
彼女はあらかじめ強いておいたマットの上に寝そべり、仰向けの姿勢でお客様を待つ。
通常ケンタウロスを相手にする場合は、腰の位置のこともあり背面の姿勢で性交する。
しかしそれは、慣れた私ならいざ知らず、ケンタウロスには慣れていない彼女では危険が伴う。
そこで私の出番。私はお客様の肉棒にしがみつくような形で彼女の腰近くに私の腰を下ろす。それと同時に、お客様の肉棒を彼女の陰部へと導いていく。
淫唇に肉棒の先端がふれる。さすがに彼女も若干顔をこわばらせた。
しかし先ほどの角マンオナニーで充分濡れており、加えてローションも陰部肉棒共にたっぷりと塗り込まれている。
大丈夫よと、私は笑顔で彼女に合図を送る。それを受けた彼女は、笑顔で頷いた。私のサポートを信頼してくれているのだろう。
ゆっくりと、彼女の中へとお客様の肉棒を入れていく。
「んっ……きつい……」
人の腕ほどの太さがあるお客様のお宝。きついのは当然で、むしろよく入るなと思うところでしょう。
私がサポートするとはいえ、彼女がこの太さを受け入れられるかどうかまでは援護しきれないのだが、
事前に聞いたところ、彼女はミノタウロスのお客様を相手にしたこともあるのだとか。
そもそもフィストファックで感じる彼女は普通の人間では満足できないらしく、そこをオーナーにスカウトされたとか。
となると、彼女ならいずれ私なしでも一人でケンタウロスのお客様を相手に出来る素質はあるといえるでしょう。ならサポートのしがいもあるというもの。私はちょっぴり彼女を「調教」するような気分が芽生えてきた。
とはいえお客様をないがしろにはしない。そしてこの状況がまだ不慣れな彼女には危険なのも代わりはないし。
ゆっくりと肉棒を進めていきながら、私は「限界」を見極める。
これ以上進ませるのは危険という位置を確認し、私は彼女に目配せで合図を送った。
「どうぞ……お客様、動いてください」
お客様も、人間相手が始めてでも危険なのは承知なのだろう。腰を振る許可を得ても、すぐには激しく動かしはしない。徐々に引き抜き、ゆっくり押し入れる。スローストロークを何度も繰り返している。
私は彼女の中に入りきらない大部分を抱きしめるようにしてしごいていた。
これは身体全体で無理に彼女の中へ入らないように押しとどめる役割も担っているが、入りきらない部分でも満足していただけるための配慮でもあり、私の身体ごと彼女の性器であるかのように錯覚してくれれば、お客様も無理をしないですむという意味もある。
「いっ、いい、おきゃくさまの、かたくて、ふとくて……ん、かっ、かんじ、ちゃう、んあぁ!」
自分が風俗嬢だということも忘れたかのように、彼女は自分で胸をもみしだきながらあえいでいる。
お客様も徐々に気遣いを忘れ、興奮するままに腰のストロークを早めてきた。
間に挟まれている私はというと、これが見た目通り重労働なので感じている場合ではなくなる。
あえぐ二人がちょっとねたましい。
しかしこれもサービス業の一環。私はお客様のためと、可愛い未来のベテラン風俗嬢のために援助とサービスに尽くす。
「きつ、い、けど、きもち、いい、おっ、おきゃくさま、いい、です、とても、んっ! ふあ、きもち、いい、ですぅ、んっ!」
遠くからは鼻息にも似た荒々しい息遣いも聞こえる。双方共にかなり上り詰めている様子。
腕の中の肉棒からもビクビクと脈打ち、それを私に伝えている。
「いく、いっちゃいます……おっ、おきゃく、さま、いっちゃいます!」
先ほどのオナニーとは違い、今度は本気で絶頂を迎えようとしている。
お客様もかなり動きが激しくなり、私も支えるのにかなり苦労する。
が、耐える時間はもうそんなには残っていないだろう。
「いく、いく、いく、いっ……んっ、いっ、ふあ、あぁああ!!」
マットの上で身体を引く尽かせる彼女。陰門からゆっくりとお客様のものを引き抜くと、どっと白濁液があふれ出てきた。
二度目でこの量、これが若さかしら。
「はぁ、はぁ……たくさん出ましたね、お客様ぁ……」
僅かにうつろな声で、しかし仕事を忘れず声をかける彼女。
私のサポートがあったとはいえ、よく受け止められたわ。たいしたものね。これなら後2,3回私がサポートしてあげれば、一人で出来るようになるかしら。
「うん……気持ちよかったよ……」
それにこのお客様も、「こういう店」にはまっちゃったみたいだし。
……もしかしたら、この二人店の外でも会うようになっちゃうかしら?
それはそれで、歓迎すべきことなんだけどね。うちの店って、むしろそれを推進しているくらいだから。
ああでも、そうなるとまたケンタウロスの相手が出来る店の娘がいなくなっちゃう?
などといらぬ未来予想図を脳内に広げながら、私は彼女に「アフターサービス」を任せ、自分は「後始末」を始めていた。
それにしても……私は自分の店に戻り、ため息をつきながら考えていた。
中途半端に火照ったこの身体、どうしてくれようか、と。私はあくまでヘルプ。仕事は全うしたけど、私自身は全然満足できていない。
さてどうしよう……。
今調教中のローパーちゃんに相手してもらうか? いえ、今の調教状態であの子を私欲に使うのは調教的によろしくないわね。
んー……ここは女性向け風俗店「淫夢の園」の男の子達にでも相手してもらおうかしら……そんなことを考え始めていたちょうどその時、また内線電話が鳴り始めた。
「はい……あっ、オーナー。はい……えっ? ええ……はい、今からでも……はい、ではすぐに向かいます」
今日は色々とタイミングが良い。
たった今、オーナーから「淫夢の園」に新しく入った従業員を見て欲しいという依頼があった。
その子は長い舌で全身をなめ回す「垢嘗め」という妖怪。ふふふ……これは楽しみね。
さて、欲求不満なこの身体を、存分になめ回してもらいましょうか。
私はいそいそと、新人の調教……もとい、技術指導の為にボンテージに着替えていた。