おまけ

「ねぇ……今夜は私の番なんだけど……」
 アルケニーが新作のデザイン画を描きながら、ソファで横になっている俺に語りかけてきた。
「あー……わかってるよ」
 だるさの抜けない、しまりのない声で言葉を返す。
「……別に私はいいわよ? 糸もどうにかなるから……」
 俺を気遣っているのか、今夜俺との予定をキャンセルしてもいいと申し出てくれる。
 まあ……まさに精も根も尽きかけている俺を見たら、さすがに引くよな。
 いやはや、昨晩は激しかったな……いつもよりたくさん吸われたし。
 血も、白いのも。
 そりゃあ、さすがに俺でもぐったりするわな……でもまぁ、それなりの成果も当然あったわけで。
「いいご身分よねぇ……ハーレムのご主人様は」
 うう、嫌みとも嫉妬ともとれる言葉が胸に突き刺さる。
 まあ、本人は「嫌み」はともかく「嫉妬」は無いと言い切るんだろうが。
「まったく……あなたの身体は、あなたのものだけじゃないのよ? いろんな意味でね」
 あきれた顔で俺を見下ろしていた彼女は、その顔を下ろし、不意に唇に唇を重ねてきた。
「今夜は休みなさい。私ならいいから。その代わり、自分のメイド達の前でそんな醜態さらすんじゃないわよ?自分のせいじゃないかって心配させるようなら、ご主人様失格よ?」
 ごもっともで。だからこそ、俺は自室でも居間でもなく、アルケニーの部屋で横になっている。
「その代わり……んふふふ……埋め合わせはいずれたっぷりね」
 ……なんでしょうか、この悪寒は。
 あー、まあそれも仕方ないか……。
「とりあえず眠ってなさい。さすがに寝込みを襲いはしないから」
 やられたらたまらんぞと思いながら、俺は鉛筆を走らせる音だけになった部屋で、静かに目を閉じていった。

戻る