朝、目を覚ますと……純白のパンティーが目の前にあった。
もっと厳密に言えば、スカートの中から純白のパンティーが見えた。
そしてスカートから伸びる小さな足は、俺の鼻に押しつけられている。どこから入り込んだのか、見知らぬ少女が俺の顔を踏んでいるようだ。
見たところ10歳くらいだろうか? 少女は僕の顔を見下ろしながらクスクス笑っている。
子供のいたずらにしては、少々度が過ぎている。人の顔を踏みつけ笑うなんて、何様だ。
「どけろ!」
俺は少女の足を掴み、それをどけた。そしてすぐに布団から跳ね起きる。
突然足を捕まれた少女は驚いているようだ。
「誰だ、君は。勝手に人の部屋には行ってきちゃダメだろ。それに人の顔を踏みつけるなんて、行儀が悪いし失礼だろ!」
俺は子供相手にかなり大きな声で怒鳴り叱る。感情的にはなっているが、子供相手と言うことで一応気を使っているつもりでいる。
しかし少女はここまで激しく叱られるとは思ってもみなかったのか、キョトンと惚けたままだ。
「コラ、話を聞いているのか? だいたい、何処の子だ君は。それにしてもどうやって俺の部……」
「ねぇ、見えてるの? 私のこと」
叱られているという自覚が無いのだろうか。少女は俺の言葉を遮り妙な質問をしてきた。
「は? あのねぇ、大人をからか……」
「見えてるのって聞いてるの! 見えてるんでしょ? ね?」
妙なことをしつこく尋ねてくる。
見えていて当然だろう。見えなければ踏みつけられている事に気付かないし叱ることも出来ないのだから。
何がしたいのか。何が言いたいのか。少女の言動はいささか理解しがたい。
子供特有の、珍妙な行為。
人の部屋に入ってくるのも顔を踏みつけるのも、そして訳の判らない質問をするのも、特に意味はないが本人は至って真面目なつもりで行う、そんな無意味な行為なのだろうか。
と……冷静に分析するよりも早く、俺は……キレた。
「いい加減にしろ! 散々悪戯して、ごめんなさいも言えないのか!」
近頃の子供は、本当に躾がなっていない。
自分が子供だった頃のことなどは棚に上げ、俺は目の前の少女を更に怒鳴りつける。
ここまで激怒するとは思わなかったのか、あるいは何故怒っているのかすら理解できないのか、少女は仰天し目を見開いている。
そして見開いたその目が潤み、ごめんなさいと言い出すまでの小一時間、俺は説教を続けていた。
「座敷童?」
散々説教をした後で、少女に色々と「訳」を問いただしたところ、出てきた答えがこれである。
少女が言うには、自分は座敷童という妖怪で、自分を見てくれる人を探し続けていたとのこと。
座敷童は本来、子供には見えて大人には見えない妖怪として有名。しかし彼女の場合、大人はもちろん、子供にも見えないらしく、子供達の前でいくら自分をアピールしても全く気付かれないらしい。
誰にも気付かれない存在。それはつまり孤独を意味している……というわけでもないらしい。
彼女の場合、同じ妖怪なら存在に気付いて貰える。故に孤独とは感じないという。
にわかには信じがたい話だ。
そもそも、人間には見えないはずなのに俺には見える、と言う時点で既に信じがたい。
そこで彼女を連れ外に出て色々試した。
行き交う人々の前に少女が飛び出し、反応を見てみるという試みを。
老若男女、様々な人に試していく少女。確かに彼女が言うように、全く誰も彼女の存在に気付く様子はなく、何をされても無反応。
もしかして俺以外の全ての人が、俺にドッキリでも仕掛けているのか?
それはむしろ、彼女の言う座敷童という話よりも信じがたいこと。つまりは彼女の話に嘘はないと言うことになる。
これでとりあえず、彼女が無断で俺の部屋に入ったことには納得が出来る。俺に悪戯をしたのも、気付かれないことを前提にした、彼女なりの「一人遊び」に過ぎないらしい。
「でもああいうことは、見られていないからってして良い事じゃないだろう」
俺はまた軽く説教をした。
「ごめんなさい……」
素直になった彼女は、反省の言葉を口にした。まぁこの事はこれ以上攻めるべきではないな。
一通りのことは不可思議ながらも納得がいき始めた。がしかし、納得できない点が一つある。
「で……なんで俺には見えるんだ?」
これはむしろ、少女も知りたがっていた。
「もしかして、お兄ちゃん妖怪?」
それは断固として違う……はずだ。
しかし俺が妖怪なら全てに説明が付いてしまうのが怖い。
妖怪である少女と対話しているときには全く感じていなかった悪寒を、俺は今更背中で感じ始めていた。
「いや、大丈夫ですよ。あなたは間違いなく普通の人間です」
そう俺を「診断」したのは、一人の「ドクター」だった。
ドクターとは言っても、医者ではないらしい。「学者」という意味でのドクターらしい。
妖精学者(フェアリードクター)。そういう職業を名乗る人物が、今俺の目の前にいる。
少女を含めた妖怪達の間では有名な人物らしく、妖怪あるいは海外からやってきた妖精などといった、人ならざる者達と人間との間に起きるトラブルを解消するのが主な仕事らしい。
このドクターは人間とそうでない者達とを見分ける力があるらしく、人間かどうかは一目見ただけで判別できる、と語っていた。
そのドクターが俺を診て人間だと断定してくれたことで、俺はひとまずホッと胸をなで下ろせた。
「でもさ、じゃあなんでこの人には私が見えるの?」
同席している座敷童の少女がドクターに尋ねたいる。不安が取り除かれたところで、俺もそこは非常に気になった。
「んー……俺……いや失礼。私と同じ能力を持っているわけではないようだからねぇ……現に今「見えていない」ようだし」
見えていない? 何が?
俺にはまだ座敷童の少女は見えている。何か俺に見えていないものがあるのか?
と、首を傾げたその時だった。
「ばぁ!」
「ぬわぁ!」
俺は奇妙な奇声を上げ驚き、座っていた椅子から転げ落ちそうになる。
突然、俺の目の前に小さな小さな女の子が現れた。
大きさは人形程の女の子。背中に羽根が生えており、それを羽ばたかせ俺の目の前を飛んでいる。
「そいつはピクシーという妖精でね。今見た通り、普段は人間から見られないように姿を消すことが出来るんだよ」
そのピクシーが姿を消している姿を、俺は見つけることが出来なかった。しかしドクターと少女には見えていたらしい。
二人とも俺と違いピクシーが消えていても見つけることが出来る能力を持っているから。
「驚かせて済まなかったね。だが今見た通り、君は普通の人間同様、姿を消した妖精や妖怪を見る力はないんだよ」
これもまた、俺が妖怪などではない証拠でもあるとドクターは言う。
「にも関わらず、その子は見えるというのが……何かの「因果」があるのかもしれないなぁ」
俺のようなケースは珍しくはないらしい。
例えば幽霊など、その幽霊が強く恨みを持っている相手にだけ姿を見せ、他の人には見られない、というケースは多々あるという。
となれば、俺と少女の間に何らかの因果、縁があるのかもしれないというのがドクターの診断結果。
ドクターは俺に、最近近所や親戚筋で子供が亡くなったか、付き合っていた女性が子供を下ろしたことなどないかなど、いくつか質問をしてきた。
「そもそも座敷童というのは日本全国で見られる妖怪でね。元々は子供の霊だったというケースもあるんだよ」
他にも家の守り神だとか色々とあるらしいのだが、本来は「家」に取り憑く妖怪で、一個人にだけ見えるようなケースは珍しいとのこと。
そもそも子供に見えない座敷童ということ自体が珍しく、しかもふらふらと彷徨っているのも珍しいらしい。
いわば「野良座敷童」。今までこのような座敷童は彼女以外ドクターも知らないらしい。
ここまで珍しい座敷童が見えるのなら、俺はこの少女と何らかの強い繋がりがあると考えるのがごく自然なのだとドクターは言う。
「もし君の回りで近頃亡くなった子供がいれば……と思ったけど、その線はないか……」
他にも、俺がロリコンなのかといった質問までされたが、これも否定した。
もし俺がロリコンなら、俺が強く願うことで見えるようになったのかもしれなかったらしいが……それは是非とも否定したい。
他にもあれこれと考えられる原因を調べたが、結果として「不明」のままで終わってしまった。
「まあ、原因を判別できても出来なくても、結果として「君には見える」という事実は変わらないから」
さじを投げたドクターは無責任なことを言う。
確かに彼の言う通りだが、原因が判らないままというのは少し気味が悪い。
そして、判らないままというのは一つ大きな問題を抱えることになってしまう。
「さてそれより……どうするね、これから」
どうする? ドクターは何を言っているのか最初判らなかった。
「彼女のことだよ。君に「見える責任」というのはもちろん無いが、しかし見える以上何らかの繋がりがあると私は思っている」
顎に手を当てながら、ドクターはとんでもないことを言い始めた。
「どうかな? 君のためにも彼女のためにも、しばらく「同居」してみては」
「……はぁ?」
俺は間抜けな声を上げると共に、じわじわと何かよく判らない「汗」をかき始めていた。
あれから数ヶ月という時が流れた。
結局、俺は少女の強い希望とドクターのねばり強い説得に負け、座敷童との同居生活を始めることになった。
突然10歳の女の子と同居することになった俺の生活は……表向きはそれほど変わらなかった。
それもそうだ。他の人には見えない少女は世間的に「いない者」とされる。ついでに食事も必要とせず、衣類は着ているが脱ぐことが無いので洗濯の必要がない。つまり生活費の上でも、彼女はいないも同然だった。
がしかし、彼女は実在している。家では彼女が俺の帰りを待っている。そしてあれやこれやと俺に構えとまとわりついてくる。
幸い俺はアパートに一人暮らし。他の人には見えない少女と話をしている姿を見られる事がないので、「何か一人でぶつぶつ言う危ない人」を家族などに目撃されることはない。
とはいえ、やはり俺には見えているわけで、少女もそんな俺にまとわりつくわけで……色々と大変なのは間違いない。
「でね、河童の奴が「相撲は強いんだから、絶対に勝つ」なんて言ってたんだ。なのに負けたじゃない、素人に。もうね、あの時の悔しそうな顔ったら無かったよ」
先日行われた総合格闘技の話題を俺に話す少女。俺がいない昼間は他の妖怪仲間達と遊んでいるらしく、よく俺にその事を報告してくる。
まるで学校での出来事を両親に話す小学生のように。
「まあ、ほとんど勝ったとのない選手だったからなぁ……」
そして俺も、まるで少女の両親のように、その報告に合わせ話をする。
同居生活を始めた頃は流石に戸惑ったが、今ではこの生活に馴染んでいる。ごく自然と馴染めたことに、俺は今更ながら驚いてはいるが。
彼女が座敷童だとか、そのあたりは意識していない。意識したところで意味はない。何故俺にだけ見えるのか、というのも気にはなるが気味が悪いとはもう感じなくなっていた。
それほどにまで自然な関係になっていた俺達なのだが、ここに来て、大きな問題が一つ浮上してきた。
「さてと……そろそろ寝るかな」
夜も深まり、二人で見ていた深夜番組も終わったところで、俺は床につこうとした。
「私はどうしよっかなぁ……」
少女が今後の予定を悩み始めている。
彼女は睡眠を必要としないため、寝ることがない。
俺が寝ている間は一人暇になるので、テレビを見るなりゲームをするなり、あるいは出かけ妖怪仲間と遊んできたりしている。
無邪気で悪戯好きではあるが同居生活での「ルール」はしっかり守っている。初めて出会ったときの「説教」が効いているのだろうか、寝ている俺の邪魔をするようなことはしない。
このような事もあり、生活時間のズレは問題にはなっていないのだが……。
「今日は文車妖妃ちゃんと夜通しおしゃべりをするとか言ってなかったっけ?」
俺は本人から聞いた彼女のスケジュールを口にした。
「あっ、そうだった。ピクシーちゃんもカハクちゃんも来るんだったっけ」
手を叩き彼女が嬉しそうに話す。
「じゃあ出かけてくるね。おやすみぃ」
そう言い残し、彼女は善は急げとすぐに飛び出していった。
よほど楽しみなんだな……などと、思いやる余裕は今の俺にはない。
しばらく様子をうかがい、彼女がいきなり戻ってこないのをじっと確認する。
5分経過。もう戻る気配はない。
よし! この機会をどれだけ待ったか!
やっと、やっと巡ってきたチャンス。これを逃す手はない!
俺は棚の奥へ厳重に隠していたDVDケースを取り出し、それをそそくさとセットし始める。
共同生活を始めるようになってから生じた問題。それは俺の「性処理」だった。
俺も年頃の男。それなりに性欲は堪る。
しかし少女がいては、それを簡単に発散することが出来ない。これが問題だった。
ならば「外」で処理すれば良いのだが……残念ながら、懐がそれを許してはくれない。
普通に家族と同居しているのならば、家族が寝静まったときにでも処理すれば良いだろうが……同居している少女は四六時中起きている。
となれば、チャンスは彼女が出かけているとき。すなわち今しかない!
画面に映るAV。俺はズボンもパンツも下ろし、食い入るように画面を見つめ、待ってましたと熱くなっている自分の肉棒を握りしめた。
「そこ、そこ舐めてぇ……あん、気持ちいいわぁ」
画面の向こうで揺れる胸と部屋に響く喘ぎ声に興奮する俺。
久しぶりの性処理だからか、頂点へ一気に登り詰めていく。向こうも俺も「動き」が激しくなっていく中……。
「手伝ってあげようか?」
聞き覚えのない台詞が聞き覚えのある声で俺の耳にどいた。
驚き振り返ると、同居している少女がいつの間にか帰ってきていた。
「ちょっ、おま……」
登り詰めた興奮は一気に冷め、そして混乱した俺は意味不明なことを口走っていた。
「借りてたゲームを持っていくの忘れちゃって。ああいいよ、手伝ってあげるから。特に時間決めてなかったから何時行っても構わないし」
俺とは正反対に、少女は至って冷静だった。それがかえって俺を混乱させる。
混乱は人の動きと思考を完全に止めてしまう。
何も言えず何もしない俺に、少女は当たり前のようにしゃがみ、俺の肉棒を握り始めた。
そこで流石に俺も正気を取り戻した。
「ちょっ、待て! 何してんだよ」
既にしぼんでしまっている肉棒から少女の手をほどき、俺は彼女の行為を止めた。
「え? だからお手伝い。男の人って一人でするよりやって貰った方が良いんでしょ?」
子供が何を言い出すか。俺はまた面くらい、しばし思考が止まってしまう。
「ああ……ごめんなさい。こういうのは普通恥ずかしいんだっけ」
ペロリと舌を出す少女。その様子から……どうやら判っていて言い出したようだ。
悪戯好きな彼女が俺を驚かせようとしている。それは判るが、それにしても、ちょっとこれは……。
「あはは、大丈夫だよ。私「そういうの」見慣れてるから」
いや、そういう問題じゃないだろ。見慣れているとか、そういう……ん? 見慣れている?
「ほら、私が「野良」してた頃。今みたいなことをしている男の人を沢山見てきたよ。だからどういう事なのか、どうしてするのかとか、そういうのは判ってるから」
僅かに俺が眉間にしわを寄せたことで、俺が色々疑問に思っていることを感じ取ったのだろう。少女が色々と語り出した。
「だから、私そういうの全然平気だから。むしろ遠慮しなくても良かったのに」
見た目は10歳の女の子だが、しかし彼女は妖怪であり、人間の女の子とは全く違う。
しかしだからと言って、ああそうですかと続きが出来るわけでもなく……相手が誰であれ、こういうのを見られること自体恥ずかしいことなのだから。
「ほら、「そういうお店」に来たとでも思えば平気でしょ?」
そういうお店には、10歳の女の子はいないぞ。
ませた10歳の女の子でも、ここまで色々と耳年増にはならないだろう。耳どころか、彼女の場合は見てきている分知識は豊富で確実だ。
そしてこれらの行為に抵抗も羞恥心もない。
「我慢してると色々身体に悪いよ? 手伝ってあげるから堪ってるの出しちゃいなよ」
そして再び、俺の肉棒を握ろうとする彼女。
どうも彼女は悪戯というだけでなく、本気で手伝うつもりらしい。故に俺は余計に戸惑っている。
戸惑いながら俺は色々抵抗したが、戸惑っているが為にか、いいからいいからと繰り返す彼女に押される形で握らせてしまった。
つけっぱなしのAVを前にして、今更大人ぶれないところもあったからだろうか。
とりあえず、そう自分に言い訳をしてみる。
「そのまま画面見てて」
見ててと言われても、流石に視線をそちらへ移せない。
俺は少女が懸命に俺の肉棒を小さな両手でしごく姿から目を離せなかった。
「どう? 気持ちいい?」
戸惑う俺の心とは裏腹に、しっかりと肉棒はいきり立ちその興奮度合いを示している。
そしてしっかりと、俺は快楽を感じていた。
罪悪感と共に。
「いいから気にしちゃダメだよ。私こういう事しかしてあげられないし」
俺の顔色をうかがいながらも、手は懸命に動かし続けている少女。
その顔は、俺と同じように戸惑っていた。
その戸惑いは、行為に対してではないのだろう。俺が素直に彼女の「好意」を受け入れないが為の戸惑い。
「私じゃダメ? ねぇお願い……折角私のこと見てくれる人に出会えたんだから、これくらいのことさせてよぉ……ずっと、一緒にいたいのぉ」
その一言が、俺の心に響く。
そうか。彼女は確かに孤独ではなかったが、寂しさを感じなかったわけではなかったのか。
子供にも見えない異端の座敷童。自分の存在意義に戸惑いを感じていたのだろう。
だからこそ、野良となり様々な人を観察しちょっかいを出してきた。
そして俺に巡り会った。その喜びはとてつもなく大きかったのだろう。
それだけに、彼女は出来る限り俺と一緒にいたかった。
しかし俺はどうしても、彼女を避けたい時がある。それが自慰行為をするとき。
その時すらも離れたくない、寂しがり屋の座敷童。
そんな彼女が考えついたのが、自慰行為の手伝い……ということか。
「……気持ちいいよ、とっても」
俺は少女の頭を撫でながら微笑んだ。
そして少女は満面の笑みを浮かべている。
罪悪感が消えた……と言えば嘘になる。まだどこかに道徳心が引っ掛かっている。
しかしそれ以上に、彼女の気持ちに答えてやるべきだという感情が勝った。
素直に受け入れようと決めた途端、鬱積していた気持ちが解放され急速に肉棒から快楽がざわめく波のように押し寄せてきた。
「もうすぐ? 逝って、出して」
言うなり、彼女は小さな口からちっちゃな舌をちょんと突き出し、肉棒の先端を軽く舐め始める。
手も舌も、とてもぎこちない。しかしそのぎこちなさがかえって新鮮で心地良い。加えて彼女の懸命さが伝わり、心の奥底から快楽を感じられる。
「くっ、もう……出る!」
「きゃっ!」
あまりの心地よさに、俺は肉棒を彼女から放すのを忘れそのまま白濁液を解き放ってしまった。
結果、彼女の顔にそのまま射精する形になってしまった。
「あはは、顔射だぁ……う、ちょっと苦いねこれ……」
少女の顔に粘り着く白濁液。彼女はそれを嫌がることなく、垂れてくるのを指ですくいながらペロリと舐めた。
その姿に、俺は興奮したのだろうか。気付けばしおれたはずの肉棒はもう既に天に向けそそり立っていた。
「まだ元気だね……」
ツンツンと悪戯っぽく、指で俺の肉棒を突き出す。それに答えるかのように、ピクピクと軽く動き出す肉棒。
「……ねぇ、オナニーだけじゃなくてさ……折角だから……」
立ち上がりながら、少女がもじもじと言い出す。
そしてスカートの中に手を入れ、初めてであったときに見た白い下着を脱ぎ始めた。
「してみようよ……見たことはあるけど、やったことはないんだ……ね、お願い」
俺の中で再び、罪悪感が首をもたげる。
いくら何でもそれはまずいだろう。
しかしそんな道徳心とは別に、興奮している自分がいることにも気付いていた。
今更、自分がロリコンではないと自信を持って言えるわけではない。
しかし俺は彼女が少女だから興奮しているのではないと、これだけは自信を持って言える。
愛しいのだ、彼女が。
俺も思い始めていた。ずっと側にいて欲しいと。俺達を結びつけた知らない絆を、更に深めたいと。
「お兄ちゃん……お願い、して欲しいの……」
ちょこんと座りスカートをめくり、そして小さく細い足を広げる少女。
その奥は濡れて光っていた。年端もいかぬ女の子に見えるが、そこだけは熟女のような反応を示している。
そういえば、同居を決めたときにドクターが言っていた。
見た目や性格は子供でも、「心」は大人なのだと。だからその心を大切にしてあげて欲しい、と。
どこかで、俺も彼女の「心」を感じ取っていたのだろうか。
親子のように、兄妹のように接していたつもりだったが、心では男と女として付き合っていたのかも知れない。
むろん自覚はない。今の今までは。しかし今はハッキリと、自覚している。
いきり立つ俺の肉棒と、濡れに濡れている彼女の陰門が、その証拠として反応をしっかりと示している。
俺はゆっくりと少女に近づいていく。
大きな期待と、僅かな不安を瞳に映し、俺をじっと見つめる少女。
自分の手で肉棒を握り、しっかりと固定させる。
そしてそれを、とてもとても小さな陰門へと近づけていく。
「んっ……入って、いっ……んんっ! はぁ……入った……」
予想を外し、若干きつかったもののすんなりと彼女は俺を迎え入れた。
充分に濡れていたこともあるが、彼女が少女なのは見た目「だけ」だったのもあるのだろう。出血もないのが、その証拠とも言える。
「動いて……ね、お願い……」
言われるまでもない。俺はゆっくりと、腰を動かし始めた。
入れたとき同様、スムーズに動く腰。
しかし中はそれなりにきつく、まるで先ほど小さな手でぎゅっと握って貰った時と同じような圧迫感と心地よさがある。
「ん、い、これ、これが、セッ、クス、なんだね……ん、気持ち、いいよ、お兄ちゃん……」
満面の笑顔にうっすらと涙。
痛いわけではない。悦んでいるのだ。
快楽の悦びと、一つになれた喜び。
繋がるべくして出会い繋がった二人。その悦びを俺達は全身で感じていた。
「い、ん、きち、いい、ん、あ、はぁ! ん……ね、キス、キスも、おにい、ちゃん……」
求められるままに、俺は彼女の小さな唇に覆い被さるよう唇を重ねた。
そして中でチロチロと動くちっちゃな舌に自分の舌を絡めていく。
「んっ、くちゅ……ちゅ、ん、んちゅ……んはぁ! ん、あは、ファーストキスだぁ、じゅんばん、が、んっ!
へ んだよ、ね、あはは、んっ! あっ、いい、きもち、いい、おにいちゃん」
言われてみるとそうだ。俺は彼女の舌をファーストキスよりも先に肉棒で感じ、そしてその肉棒を彼女に入れながらのファーストキスか。
なんと淫乱な。しかしなんとなく、自分達にはお似合いだとさえ思える。
「あっ! なんか、くる、きてる……いく、いくの、かな? わた、わたし、いっ、いっちゃ、んっ!」
俺もそろそろ限界が近づいていた。
出来れば一緒に。そう願いながら俺は動かす腰をより激しくしていく。そして細く小さな腰も懸命に動いていた。
「くる! くるよ! おに、おにいちゃ、ん、んはぁ! いっ、いく、いっちゃ、うっ、んっ、ふわあぁぁ!」
ビクビクと彼女が身体を震わせると同時に、俺は彼女の中へと白濁液を注ぎ込んでいく。
「ふあぁ……ん……気持ち良かったぁ。これがセックスなんだぁ……えへへ、気持ち良かったね、お兄ちゃん」
俺は少女の髪を撫でながら、頬に軽くキスをしてそれを返事とした。
しばらく余韻を愉しんだ後、俺達は同じ布団に入り抱き合っていた。
「そういえば、出かけなくて良いのか?」
聞けば、そもそも今日出かける用事はなかったのだと少女は白状する。
つまり、俺と「このような仲」になる為のフェイク。出かけると言えば必ず自慰を行うだろうと計算していたらしい。
そこまで見抜かれていたことに、俺は気恥ずかしさを感じずにはいられない。
「でも良かった。ちゃんとお兄ちゃんと一つになれて」
ぎゅっと、小さな腕で俺の腕にしがみつく。
妹が兄にじゃれる仕草。そして彼女が彼氏に甘える仕草。
俺は幸福感とちょっとした罪悪感に包まれた。
やはり、まだ良かったのかどうか悩む自分がいる。
しかしこれも、近いうちに良かったのだと確信できるようになるだろう。
彼女は10歳の女の子ではない。座敷童という妖怪の「女性」なのだから。
「それにしても、お兄ちゃんやっぱりロリコンだったんだねぇ」
「それを言うなよ……気にしてんだぞ、今」
どんなに言い訳をしようとも、やはりロリコンと見られるんだろうなぁ、こうなると。
まあ……強く否定できないのなら仕方ない。
それよりも大切なことがあるんだから。
「ロリコンじゃなくて、俺はお前に惚れただけだ」
自分で言いながら、急速に顔を赤くしていくのを自覚する。
そして同様に、彼女も顔を赤らめていった。
どうして俺は、俺だけが、彼女を見ることが出来るのか。これは未だに謎だ。
謎ではあるが、理由なら判る。
こうして結ばれるためだ。
真っ赤な頬よりも赤い唇を互いに重ねながら、俺はこれだけは確信していた。