誘い、そして選択〜女郎蜘蛛〜

「飼って下さい……もっと、もっと俺を……気持ち良くして下さい……」
 あの快楽。今すぐにでも又味わいたい。
 俺は本能の渇望が抑えられず、軽くもがきながら彼女を求めた。
 もっと、もっと、あの快楽を!
「ふふ、いいわよ。お望み通り飼ってあげる。でも、今すぐにはやってあげない」
 そう彼女の声が聞こえた途端、首筋にチクリと微かな痛みが走った。
 そして急速な睡魔が俺を襲った。
 次に目が覚めた時は、肉棒をなま暖かい感触が包んでいた。
 彼女が俺の肉棒をくわえているのだ。
 そして一通りの快楽を与えて貰い、そしてまた眠りにつき、そして目覚め……これを繰り返した。
 目が覚めている時は快楽。眠っている時は夢も見ない。
 つまり、俺は永遠の快楽を感じ続けていた。
 俺を眠らせるのは、「毒」を注入し強制的に全身を細胞から眠らせる為らしい。
 少しでも長持ちさせるために。
 俺は快楽しか求めなかった。食欲を感じる事も勿体なかった。
 だから俺は、いつか死ぬだろう。
 でも死ぬまで、俺は快楽を感じ続けられる。
 彼女のおかげで。
 ああ、彼女は女神だったんだ。俺に快楽を与え続けてくれる、女神なんだ。
 そしてここは天国に違いない。快楽だけを与えてくれる天国。
 もう、そんなことも考えるのは止そう。ただ快楽だけを感じればいい。
 そう、快楽だけを……快楽だけを……かいらくだけを……

戻る