前夜祭〜魔女×3〜

「Trick or Treat!!」
 突然、俺の部屋に三人の女の子が訪れてきた。
 驚いた俺だが、すぐに冷静さを取り戻し、いくつかのおかしな点をすぐに問いただす事にした。
「ハロウィンは明日だろ」
 今日は10月30日。ハロウィンの前日だ。
 イベント好きな商店や遊園地などではもうハロウィンの装飾などがされているが、本番は明日。
 気が早い、と言えばその通りだが、むろん彼女達は日付を間違えたわけではない。
「それと、どうしてハロウィンでその衣装なんだよ」
 ハロウィンのコスプレと言えば、カボチャの仮面や道化,魔女の格好などが一般的。
 その他にも色々衣装はあるが、基本的に子供が着るような可愛らしいのや、いわゆる「仮装」と言えるような衣装を着るのがポピュラー。
 しかし彼女達が着ている衣装は……言い方を変えれば子供「風」なのだろうが、あからさまに「狙って」着ている、言うなれば「コスプレ」としか思えなかった。
 仮装とコスプレ。似ているようで、間には底知れない大きな壁がある。
「似合わない?」
 俗に言う「ゴスロリ」衣装の少女が、スカートの裾を持ち上げ、クルリとターンして俺に尋ねた。
 正直に言ってしまえば、非常に似合っている。
 似合っているから問題なのだ。
「あ、目をそらした。と言う事は似合ってるって事ね。ふふ、相変わらず照れ屋なんだからぁ」
 水色のワンピースに白いエプロンドレス。こちらは「アリス服」と言うべきか。リボンを付けた頭を軽く傾けながらイタズラっぽく一人微笑んでいる。
 彼女達との付き合いも長くなってきた。それだけ俺を「からかう」のも手慣れてきているだけに、俺の仕草一つ一つでこちらの心境を悟ってしまう。
「へぇ、これくらい「幼い姿」でも欲情出来るようになったんだ。ホント、エッチねぇ」
 極めてノーマルな、ピンクのロリータ服を着た一人が、追い打ちをかけるようにからかう。
 もっとも、このような衣装を着てここに訪れる時点で「極めてノーマル」とはとても言い難いのだが。
「欲情言うな! 俺はロリでもペドでもねぇよ!」
 実際その通りだと思う。同じ衣装を彼女達の「今の姿」と同じ歳の女の子が着たとしても、可愛いとは思っても欲情とまでは行かない……と、思う。
 彼女達だから、こう、反応してしまうのだ。
 彼女達の「正体」を知っていて、そして彼女達が何を求めて来たのかを知っているから。
「頼むから、せめて「それ相応」の姿になっててくれ」
 俺の主張を素直に受け入れた彼女達は、すぐさまポンという音と共に煙で自身の姿を包み隠した。
 そして煙が晴れた時、彼女達の姿は背も服も大きくなり、成人女性になっていた。
「あらホント、「反応」が段違いね」
 いちいちこちらの心理やら脈やら「どこぞの大きさ」やらを探られ比較されるのは心地良い物ではない。
 まあその、見て判る程にズボンの一部が「張っている」状況にしてしまう俺も俺なのだが。
 見慣れているはずなのだが、彼女達が「その気」に成った時の姿は非常に魅力的で性的興奮をさせられる。
 むろん彼女達から立ち込める「香水」に、そうさせる成分が色々含まれているからと言うのもあるのだが。
 そこまで色々互いに解っている状況でからかわれるのは、やはり面白くはない。流石の俺も眉間にしわを寄せ、不機嫌な声で再び尋ねた。
「で、何しに来たんだ? あんたら魔女の本番は明日だろ?」
 そう、彼女達は魔女。悪魔レオナルドから魔力を授かった魔法使い。
 彼女達魔女は年に八回、「サバト」とよばれる「祭」を行う。
 その祭は、端的に言えば酒池肉林。「理解ある」男性や淫魔を招き、乱交する祭。元々ハロウィンはサムヘインというサバトを、キリスト教徒が取り入れた祭なのだ。
「判ってるくせに。いっつもそうやっていつも焦らすんだから」
 と言うより、君達からわざわざ押しかける用は一つしかないでしょ? それも、こちらの賛同も聞かず無理矢理。
 彼女達の姿を見た段階で俺は既に諦めているが、小さな小さな抵抗くらいしても良いではないか。
「明日は儀式的な祭じゃない。それはそれとして、ちゃんと「一般的」なハロウィンも楽しみたいなと思って」
 これから行われるであろう「ぷちサバト」は、けして一般的ではないはずだが。
「というわけで、Trick or Treat!! イタズラされたくなかったら、美味しいの、頂戴」
 そう言って、アリス服の魔女が椅子に座っている俺の手を引き、立たせた。
 そして彼女はしゃがみ、ズボンのベルトを外しにかかる。
「結局、やる事は同じだろ」
 呆れなが俺はしゃがみ込んだ魔女を見下ろした。
 ベルトをいじりながら見上げる彼女は、少し頬を膨らませながら言った。
「もう、こういうのは雰囲気を楽しむものでしょ?」
 雰囲気を大事にするなら、押しかけってのももう少し考えるべきではないかと俺は思う。
「そうそう。雰囲気を楽しむだけでエッチも感じ方が変わるんだから」
 いつの間にか後ろに回っていたロリータ服の魔女が、ベルトが外れたばかりのズボンを下ろし、そして下着も手早く下ろしながら俺に抗議する。
「雰囲気ってなぁ……台無しにしているのはむしろあんたらだろ?」
 とてもハロウィンという雰囲気の衣装ではないし、押しかけて来て最初にする事がズボンを下ろすというのは、言語道断。
「そうね。なら、ちょっとだけ演出しましょうか」
 残っていたゴスロリ衣装の魔女が、俺の顎に手を伸ばし、軽く引き、自らも顔を俺に近づけた。
「我らが主よ。今宵、我ら三人の渇いた心に慰めを」
 言い終わるや顎を引く手に力を込め、そして唇を重ねてきた。
「求めるは、心潤す快楽」
 アリス服の魔女が言葉を継ぐと、既に反り返っている肉棒に接吻する。
「差し出すは、潤った心全て」
 ロリータ服の魔女は尻の肉を両手でぐっと開き、顔を底へ埋め下を菊座へと伸ばしてきた。
 三つの舌が、ナメクジのようにぬめぬめと俺の各部を責め立てる。
「どう? 雰囲気出たでしょ?」
 一度唇を外したゴスロリの魔女が、妖艶に俺へ微笑みかけ、再び唇を重ね口内へ舌を入れてくる。
 誓いの言葉は、まるでサバトのよう。俺を彼女達の主、悪魔レオナルドに見立てた演出。
 確かにこれで、ハロウィンではなくサバトの雰囲気が濃厚になってきた。
 そして彼女達の舌も言葉通り、潤いを求めるように俺の舌を、肉棒を、菊座を、はいずり回るように蠢いている。
 あくまで言葉は演出で、儀式的意味合いはなく、何の効力もない。
 しかし効果はある。
 俺はゴスロリ魔女の頭の後ろに手を回し、軽く力を入れより引き寄せた。
 そしてより強く唇を押し当て、激しく相手の舌に絡み付く。
「んっ……やっとその気になってくれたのね……ちゅ……くちゅ……ふふ、どんどん大きくなってる……美味しい……んっ、くちゃ……」
 肉棒のカリ周囲を舌で念入りに舐め上げながらアリス服の魔女は根本を軽く手でしごきながら、同時に指先を袋の下にはわせ撫でている。
「元からその気だったんじゃない? お尻、キレイにしてあるわ……ちゅっ……期待してたんでしょ?……くちゅ、ん」
 期待していたかはさておき、予測はしていた。
 なにせサバトの前日は必ずと言っていい程押しかけてくるから。
 俺はサバトに参加しない。参加出来る立場ではない。
 それが不服なのか、魔女達は毎回前日にサバトへ参加するよう勧誘に訪れ、
 最終的には色仕掛けで参加の承諾を得ようとしていた。
 しかし俺が絶対に参加しないと知るや、このように「ぷちサバト」を開始してしまう。
 そしてここ最近は、もう勧誘すらしないですぐに始めてしまうようになっていた。
「ん……キスだけで濡れてきた……ほら、判る? 音、聞こえる?」
 ゴスロリのスカートをまくり、始めから下着を履いていなかったらしい恥部へ手を伸ばしくちゃくちゃと音を鳴らしている。
 見ればアリス服の魔女も片手でスカートの中に手を入れている。後ろのロリータ服の魔女も同じ事をしているだろう。
 舌が奏でる唾液混じりの湿った音と、指が奏でる愛液混じりの湿った音。
 一つ一つはさして大きな音ではないが、計六つのハーモニーは耳に良く届き脳へ直接淫靡な刺激を与えてくる。
「……そろそろ出ちまう」
 これだけ多方面から刺激を受けてはたまらない。俺は限界が近い事を宣言する。
「待って、最初はみんなに頂戴」
 慌てて唇を放し、ゴスロリの魔女はアリス服の魔女の横にしゃがんで並ぶ。ロリータ服の魔女も前に回り逆隣に並んだ。
「ん、行くぞ!」
 魔女の手に導かれ、俺は勢いよく白濁液を振りまいた。
 口を開けそれを待ち受けていた彼女達の顔に、白濁のペイントがされていく。
「あは、相変わらず良い味」
 口に入った分をわざとらしく音を立てながら味わっている。
 アリスとロリータの二人は、お互いの顔にかかった俺からの「Treat」を舐め取り合っている。
 舐め合うのに夢中な二人の様子をチラリと確認すると、ゴスロリの魔女は黙って後ろに倒れ、スカートを手でまくり上げ股を開いた。
 今のうちに、という事だろう。
 三人の淫らな様子にすっかり当てられていた俺は、既に息子を立派に「独り立ち」させていた。
 順番でもめ始めるよりも、このまま素直に誘われた方が良いだろう。そう判断した俺は迷うことなく、誘う陰門へ息子をあてがった。
「んはぁ!」
 一気に押し入れられたゴスロリ魔女は、甲高い声を上げた。
 そして流石に、この声に残った二人が気付く。
「ちょっとぉ、抜け駆けはずるいわよぉ」
 一応抗議はするが、俺達二人の行為が止まるとは思っていないだろう。
「い、ん、あいかわら、ず、いい、わ……んっ、もう、いきそう……あんっ!」
 服の上から自分の胸を激しくもみ上げながら、俺に同調するよう腰を動かしている。
 悩ましい腰と手の動き、そして服の上からでも判る豊かな胸。
 露出はほとんど無いのに、ゴシックな服がとても卑猥に見える。
「ほら、さっさと逝っちゃって。後が支えてるんだから」
 置いていかれた二人が、左右からそれぞれゴスロリ魔女の手の上に手を当て、胸の愛撫を手伝っている。
「まって、て、ん、ほんと、に、もう……んっ! もう、すぐ、いっ、いく、いっ……んんっ!」
 二人の腰が止まる。そしてビクッビクッと時折痙攣するようにまた動く。
 しばしの余韻。その後で腰を引くと、彼女の陰門からは大量に流し込んだ白濁液と彼女自身の愛液が交じり合い、黒いスカートを内側から濡らしていった。
「次は私ね」
 アリス服の魔女が、膝で立っている俺に抱きついてきた。
 そして片方の腕を解放すると、空いた手で俺の息子を軽く握った。
 出したばかりですぐには回復しないはずの息子は、もういきり立っていた。
 彼女達から立ち込める特殊な香水の香り。そして彼女達の汗や愛液から漂う臭い。
 それらが俺の鼻を通り脳へと刺激を与えてくる。魔女特有の、香りによる媚薬効果だ。
「ちょっと足開いて……ん、入れるわよ……」
 自身も膝で立ち、入れやすいように足を開く。
 俺は彼女のスカートを持ち上げ、迎える恥部を露わにしてやった。
「はあぁん!」
 自ら腰を押し当て一気に自分の中へと俺を迎え入れた彼女は、やはり大きな歓喜を上げた。
「三度目なのに、まだこんなに、ん、大きいなん、て……すごい、いい、すごいわ……」
 それは俺自身も思っていた。よくもまぁ、こんなにも大きくなれるものだと。
 魔女の香りが最大限の効果をもたらしているのは間違いないが、それだけではないだろう。
 ピタリと、まるで俺の肉棒の為に作られた「鞘」のように、彼女の中は収まりが良い。
 そんな膣の中にあって、ヒダがよく俺の肉棒に絡む。こうなっては大きくなる以外どうなるというのだ。
「さ、あなたも早くしてね。手伝ってあげるから」
 いつの間にか、ロリータ服の魔女がアリス魔女の背後に回っていた。
 そして動く腰で揺れるスカートを後ろから片手でまくし上げ、何時用意したのか、もう片方の手に持っていた貼り型を尻に向け一気に付き入れた。
「いやぁ! ん、それ、あぁ、気持ちいい……」
 そもそも、貼り型は「魔女の道具」として知られている。
 自慰行為は立派な背徳行為。
 逆に言えば、背徳の限りを尽くす彼女達は貼り型の使い方に長けている。
 アナル用の貼り型で攻めるのも攻められるのも、彼女達の得意とするところなのだ。
「二穴攻め、いいわ、もっと、ん……奥まで、お願い、んっ!」
 俺にしがみつき、前後から突かれる衝撃と快楽に打ち震えている。
 リクエスト通り、俺もロリータ服の魔女も、奥へ奥へと責め立てる。
「いい、いく、もう、いっちゃ、んっ! いっ、いっちゃ、いっちゃう、あふぁ!」
 ぐっと締まる両腕と膣。搾り取られるように、俺も三度目の白濁液を吐き出した。
「やっと私の番ね。ねぇ、私はこっちにお願い」
 スカートをめくりこちらに尻を向けている最後の魔女。
 両手で自ら尻の肉を横に押し広げ、菊座を恥ずかし下もなく俺に見せつけている。
 そして陰門には、別に用意していたであろう貼り型が既に刺さっていた。
 四連続目。にも関わらず、もう息子は元気だ。
 部屋中に充満している媚薬の霧が、俺を休ませてくれないらしい。
「ひあぁっ!」
 自分であらかじめ濡らしていたのだろう。肉棒はすんなりと腸の中へと押し入っていく。
「くっ……きくわぁ、あなたの。さあ、遠慮な……んっ! もう、せっかちなん、あっ、はぁん!」
 言われるまでもなく、俺は他の二人同様激しく腰を動かし彼女が求める物をガンガン付き入れていく。
 彼女も自ら入れていた貼り型を激しく出し入れし、追随する。
 その貼り型が肉の壁を伝わり、俺の肉棒にも刺激を与えてくる。
「い、い、ん、もっと、おく、い、いい、きも、きもち、ん、いい、ん、あっ、い、いっちゃう、ん、いく」
 腰の動きに合わせ小刻みに喘ぐ魔女。貼り型の動きもより激しくなってきた。
「いく、おしりで、いっちゃう、いっちゃうの! い、いっちゃ、ん、んんっ!」
 四度目。それでも勢いよく、俺は素速く抜いた肉棒から白濁液をピンクのロリータ服にぶちまけた。
「ふぅ……」
 流石に四連続も放っては、俺も一息大きく吐き出したくもなる。
 そしてふと顔を上げると、いつの間にか服を脱ぎ捨てた二人の魔女が絡み合っていた。
「さぁ、本番はこれからよ」
 手招きする二人に、抵抗する術はない。
 俺はふらふらと四つんばいになりながら近づき、二人の間に埋もれていった。

 目を覚ますと、部屋には俺以外誰もいなかった。
 いつの間にか寝入っていた俺。あれからさて、何度逝ったのか……二桁を超えたところでもう記憶も定かではない。
 そもそも、魔女の媚薬は非常に強い薬だけに、色々と幻覚を見たり意識があやふやになったりと、危険な面も多い。
 そんな媚薬に身体が慣れている俺だから大丈夫なのだが、ここまで慣れる程、魔女の媚薬を少しずつ盛られ続けている俺の人生にちょっと疑問を感じてしまう。
 唐突に現れては唐突に消える。
 妖精学者としては敵対関係にあるはずの魔女。俺はそんな魔女達に弄ばれている。
 こんな関係、他の妖精学者から見ればとても出はないが信じられない事だろう。
「ん……なんだこれ」
 机の上に、何かが置かれていた。
 カボチャで作られたハロウィン用のランタン。その中には、アロマキャンドルと薬瓶が二本。そして手紙が一通入れられている。
 手紙によると、アロマキャンドルは性的な疲れをいやす効果があり、薬瓶の中身も同じような物らしい。
 好き勝手やっていくが、アフターケアだけは万全だ。
 そして手紙には続きがあった。
「……まったく、もうちょっと素直にやってくれてもなぁ」
 以前から頼んでいた、薬の配合レシピ。薬草を用いたドルイド式のレシピで、安全性は高い。
 魔女は薬剤師として高い技術と知識を持っている。
 俺も妖精学者としてそれらの知識を得なければならないのだが、彼女達には遠く及ばない。そこで彼女達に助力を願う事が非常に多い。その見返りが、昨夜のような「ぷちサバト」になる。
 合意の上での関係。俺は魔女と取引をしているのだ。
「まったく……」
 そして最後の一文に、俺は顔をしかめる。
 誓いの言葉に偽りはない。我らの心は主の物
 この「主」は、素直に考えれば悪魔レオナルドのはずなのだが……彼女達の本心は何処にあるのか。読めるはずがない。
 そもそも、俺は彼女達の「真の姿」を見た事がない。
 昨日訪れた時の少女の姿も、その後変えた大人の姿も、そして普段の老婆の姿すら、本当の彼女達ではない。
 それなのに、本心を見抜けるはずなんかない。
 ただ、少しは「良い方」へ解釈したくなるのがスケベな男心という物で……こうやって今後も弄ばれていくんだろうなと判っていながら、俺は彼女達が置いていった薬瓶の中身を飲み干した。

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