吸血鬼でもあり淫魔でもある私が妖精学者の館に住まうようになったのは、あくまで私の食料調達、つまり「血」と「精力」を確保する為……だったはず。
血も精力も、館の主である妖精学者から分けて貰っている。
それが目的でここにいるはずなのに、私は館の主と身体を重ね首筋に牙を起てるよりも、「相談」に訪れる女性のケアとして彼女達と夜を過ごす方が圧倒的に多くなっていた。
「あなたの場合、解決方法が三つあるわ」
今日もそんな相談相手と夜を過ごそうとしている。
真剣な面持ちでこちらを見つめる相手は、少し興奮しているのか、軽くカツカツと前足の蹄を鳴らした。
相手はケンタウロスの娘。ポニーテールが似合う可愛らしいお嬢さん。
女性にしては少々筋肉質な身体を持ちながら、だからこそ身体を形成する緩やかなラインが美しい人間の上半身と
やはりガッシリとしながらラインの美しい馬の下半身を持つ彼女。そんな彼女の悩みとは、私の元へ訪れているのだから一つしかあり得ない。
性の悩みである。
彼女の場合、下半身の構造は馬と同じである為に、生殖器は後ろ足の上、尾で隠れるあたりにある。
この生殖器の位置、当たり前の話だが手が届くところではない。つまり人間と同じような性処理、「オナニー」が難しい。
むろんなにかの「角」を活用した「角マン」は実戦済みだそうなのだが、出来ればもっと「しっかりした快楽」を得たいのだそうで、私の所に訪れたとの事。
本来ならこんな相談すら思いつきもしないのだろうが、「妖精学者の元に、性の相談に乗ってくれる淫魔がいる」という噂が仲間内であっと言う間に広まったらしく、彼女もその噂を聞きつけ、軽い気持ちで訪れていた。
本来ならこの手の相談も、妖精学者が請け負っていたらしい。
だが彼の場合、深刻な悩みでない限りあまり相談に訪れる者もなく、なにより、やはり異性には相談しづらかったのだろう。だが女性で更に淫魔であれば、包み隠すことなく相談出来ると評判らしい。
そういった経緯で、私の目的と行動は大きく逸脱している。
だがもちろん、嫌ではない。むしろ淫魔としては誇りであり楽しくもある。なにせ相手は多種多様。私も多種多様な「プレイ」が楽しめるのだから。
「いずれの方法も、「相手」を必要とするわ」
彼女の言う「しっかりした快楽」を得る為には、やはりそれを手助けする「相手」がいる。
この「相手」を見つける事が一番難しいのは百も承知だが、彼女の場合、その「相手」はすでにいる。だからこそ相手がいる事を前提とした解決方法を提示出来るのだけれども。
「一つは、同族の恋人を作る事ね。まあ、あなたの場合こちらは「不要」なんでしょうけど」
本当はこれが一番オススメで健全だと思う。淫魔が「健全」を勧めるのもおかしな話だけれども。
「もう一つは、同族の男性器と同じ大きさの「貼り型」を作って貰う事かな。無ければ人間用の長いアナルバイブとか、レズ用のダブルヘッダのとか、ともかく「長い貼り型」を代用するといいわ」
彼女言う「しっかりした快楽」とは、陰核や陰門の周りしか刺激出来ない「角マン」ではなく、陰門よりも奥、人間なら指を入れて刺激出来る内部で感じる快楽の事。
彼女の下半身は馬そのものである為、当然彼女を満足される男性器の大きさも、まさに「馬並み」でなければならない。
その長さは人の腕よりも長い。しかし太さは腕程までは太くない。
故に「上級者」ならフィストファック、つまり腕を貼り型代わりに用いる事も出来るでしょうけど、それは流石に勧められない。
「今日のところは、私の……んっ、くぁ!……はぁ……「これ」で相手してあげるから」
私は一瞬にして、自分の陰核を男性器のように大きくさせそれを彼女に見せた。むろん、その大きさは馬並み。彼女が理想とする長さと太さ。
「はぁ……ステキ。同族でもここまでステキなのを持っていた者なんていたかしら……」
いよいよ、久しぶりに「しっかりした快楽」を味わえるとなって、彼女は高揚した頬に手を当てうっとりと私の男性器となった陰核を見つめている。
淫乱ねぇ。私は彼女の表情を見ながらそう褒め称えた。淫魔にとって淫乱なのは喜ぶべき事だから。
元々、ケンタウロスは乱暴で粗野な性格を持つ一族であり、その性格は好戦的な面に現れる事がしばしばあった。
そしてその性格は、好色家として現れる事ももちろん多い。
その為、一族の中では「フリーセックス」は当たり前。まさに酒池肉林の夜が幾度も訪れていたという。
ところが諸事情で……どんな事情かは聞いていないけれど……日本に来る事になった彼女は、故郷での身体熱くされる日々が忘れられずにモンモンとしていたらしい。
そこで私に相談となったわけなのだが、理由はこれだけではない。
「最後の一つが、アナルの開発ね。今日はそれがメインになるから、あまり「これ」ばかりに気を取られないでよ?」
私は自分の長い男性器を軽く振りながら、本題の話へと切り出した。
解決案の三番目。これが一番彼女と、そして彼女の相手、彼女の「恋人」との熱い夜を過ごす為に必要な事だった。
彼女は日本で、恋人を作った。それも同族ではなく、人間の。
どういった経緯で二人が恋に落ちたのか聞いてみたいところだが……いやむしろ、ケンタウロスの娘を愛せる人間の男性がいる事にまず驚きなのだが……いやはや、人間は淫魔並みに性欲が幅広い事を改めて知らされた気分ね。
その人間の男性と、故郷での日々と同じように愛欲に溺れたいと熱望する彼女なのだが、いかんせん、相手は人間。「人並み」の長さしかない彼の性器では入り口の当たりを僅かに刺激する程度にしかならずに満足出来ないらしい。
そこで、自分も彼も満足出来る方法はないか? と私の所に訪れた。これが全ての真相。
そこで私が考えた方法を、私は伝える。
「解決策の二番目と三番目を同時に満たせば、二人とも満足出来る、むしろあなたにとっては新しい快楽が得られて大満足のはずよ」
彼女達ケンタウロス一族が淫乱な一族だとしても、人間のようにアナルセックスは行わない。
これは彼らが人間程淫乱の幅が広いわけではない、という理由もあるのだが、彼らだとアナルセックスは基本的に無理があるから。
考えれば解る事だが、「馬並み」の長さの物を、アナルに「全部」挿入したらどうなるか?
馬の下半身でも、これは色々と危険なのだ。
そんな彼女が、変態的なアナルの開発に乗り気なのは、それだけ彼との一夜一夜を大切にしたいという「愛」と、そして新しい快楽への好奇心という「性格」があっての事だろう。
「まず最初にする事で一番大切なのは、アナルを清潔にする事。絶対やる前に、アナルの周りも中もよく拭いて貰う事と、彼にコンドームを付けて貰う事は忘れないでね」
言いながら、私は用意したウェットタイプのティッシュで彼女のアナルをキレイに拭き始めた。
場所が場所なだけに、衛生面は特に気を付けなければならない。これだけは徹底して守って貰わないと。大事になってからでは遅いのだから。
「なんか……ん、変な感じ……」
これまでに、彼女はアナルに触れられた経験など無かったはず。それ故の新鮮でこそばゆい感覚が、何とも言い難いのだろう。
彼女は大きなお尻を少しイヤイヤと左右に振ったが、それでも大人しくされるがままにアナルを拭かれていた。
「ちょっと指入れるわよ」
本来はプレイの為ではないが、既にプレイは始まっていると言っていいかも知れない。
「んっ!」
軽く指を入れただけで彼女の腰は少し暴れた。
あまりの驚きに後ろ足が勝手に反応して蹴られてしまうかも。
一瞬そんな恐怖もあったが、そこは流石に、彼女も意識して抑えたらしい。
それにしてもこの反応。もしかしたら私が当初予測していた以上に、彼女には「才能」があるのかもしれない。
「なんか……んっ……へん、へんなかんじ……」
ゆっくりと、ティッシュを巻き付けた指を挿入し、ぐりぐりと軽く動かしながら中をキレイにする。
「こんなところかな」
指入れは初歩中の初歩なのでこのまま動かしても良かったのだが、最初はあくまで清潔にする為の行為。
開発はこれから。
「えっ? ちょっ! 汚いってば!」
私はためらいなく、彼女のアナルに唇を当て、そして舌を伸ばしぺろぺろとなめ始めた。
「何の為にキレイにしたと思ってるのよ。大丈夫、あなたはこの「快楽」を素直に受け入れて」
これまでにしてきた娘達の陰門を舐めるのと同じように、菊座の周りを丁寧にねっとりと、私は下を大きく動かし舐め続けた。
ピチャピチャと、彼女の耳に届くように大きな音を技と立てながら。
「こん、な、これ……なんか、こそばゆいけど……ちょっと気持ちいいかも……」
ちょっと? 初めてにして既に「気持ちいい」と感じられる彼女には、やはり才能があるのだろうと思う。
思うけど、やはり「ちょっと」というのは解せない。
私は菊座そのものを重点的に、舌を押し入れるように舐め、時に唇で強く吸い変化を交え、また舌を蛇のように菊座へと伸ばしていく。
加えて、片手は彼女の陰門へと伸び指でいじり回し、もう片手は私の長くなった男性器を掴み、激しく上下に擦り始めていた。
「んっ……ちょっ……」
一瞬、彼女の腰が動く。しかしそれを耐えている。
暴れれば、私に危害を加えてしまうかもしれないと懸念して我慢している。
動き出さないようにじっと我慢しながら、しかし陰核を直接さらわれ菊座を舐め回される快楽を受け続ける。
これはちょっとした拷問かもしれない。
しかし我慢する事がより快楽を感じやすくしているのも確か。
「んっ……もうなんか、あんっ!……くふぅ……」
微かに腰が揺れる事はあっても、その揺れも徐々に小さくなってきている。
通常、アナルを調教するのに邪魔となるのは、生理的嫌悪感だ。
本来は排泄行為にのみ使われる場所をいじられる。そしてそれに快楽を感じる。
普通に考えれば、これらの行為はまさに「変態」の二文字に過ぎず、好んでやる事ではないと考える。
そんな行為を頭で受け入れようとしても、心も体も拒絶反応を示しても何ら不思議ではない。
しかしそんな生理的嫌悪感も、結局は心地良い快楽という甘露の前に崩れ去り、慣れていけば行為そのものに何の疑念も持たなくなる。
そこに行き着くまでの期間や回数は人それぞれだけれども、彼女の場合、それは驚くべき短期間だったようだ。
「あっ……ん、いい、どっちも、気持ちいい……あん! そこもっと舐めて……」
陰核への刺激が、菊座への嫌悪感を打ち消し、菊座による快楽を増しているのは確か。
しかしそれにしても、彼女は順応が早い。
性に積極的というか、好戦的な種族なだけに、こういったアブノーマルな世界にも「チャレンジャー」でいられるからなのだろうか?
むろん私にとってこれほど喜ばしい事はない。
「それじゃ、また指入れてあげるわね」
今度はキレイにする為ではない。アナル開発の第二段階へ進める為。
「んっ! くあぁ……」
するりと滑るように、指は彼女の中へと入っていった。
拭き取る時もそうだったが、普通は指を入れようとすると力みすぎてなかなか入らない。
ところが彼女の場合はすんなりと入った。
私の唾液が潤滑油になったのもあるが、やはり生理的嫌悪感が薄まり、
積極的で挑戦的な彼女が指を受け入れようと前向きになっていたのが大きいのだろう。
「動かすわよ」
私は指を中で軽く曲げ、グリグリと動かし始めた
「あっ! なんか、んっ、これ……いい」
陰核や陰門の中で得られる快楽とはまた違う快楽がここにある。
彼女はその快楽をアッサリ受け入れ、更にもっともっと快楽を得ようと指を包む肉壁をうねうねと動かし始めた。
指を千切ろうかというくらいに力を込めたり、指を排泄物のように押し出そうと力を緩めたり。
まるで、本能がアナルの楽しみ方を知っているかのように、沸かしが教えるまでもなく彼女は私の指を楽しんでいる。
「思った以上ね……今日は指までかと思ったけど、次に行けそうね」
私は指を引き抜き、用意していた道具へと手を伸ばす。
「なに、それ……」
指が引き抜かれたのを少し恨めしそうに振り返った彼女が、私が手にした道具を見つけ尋ねてきた。
「アナルビーズっていう、とっても気持ちいい道具よ」
まるで数珠のように、小さな玉が等間隔で紐に連なっている。
先端の玉はビー玉程の大きさ。それが徐々に大きくなり、指をかけるリングの付いた反対側の玉は、アメ玉程の大きさがある。
「これをね、気持ちいいところに入れていくの」
もはや彼女にとって「気持ちいいところ」となった菊座に、私は玉を一つ一つ入れていく。
「んっ……んっ……」
入れる度に、彼女は小さく呻いた。むろんその声色は快楽に染まっている。
「全部入ったわ。そうしたらね、これを……」
私は先端のリングに指を通し、それをゆっくり引っ張り始めた。
「あっ! んっ! これ、いっ! んっ!」
玉が一つずつ、菊座から出てくる度に、先ほどよりも大きな声で彼女が喜びを細切れに謳歌していく。
刺激がさせるのか快楽を得たい気持ちがさせるのか、菊座の門にぎゅっと力を入れている。
力を入れれば入れる程、玉が引き出される時の快楽は大きくなる。
やはり彼女は、本能でアナルの快楽を知っているとしか思えない。
種族的にと言うよりは、彼女という一個人が、淫乱の「天才」なのだと言うべきなのだろう。
可能ならば、このまま彼女を私達淫魔の仲間にしたいくらい。
「ハァ……ハァ……ねぇ、もう一回……」
全てを抜き終えたところで、彼女が私にねだってきた。本当に貪欲だわ。
「だーめ。もっと気持ちいいコトしてあげるから」
本当なら、もう少しアナルビーズで「開発」を進める必要がある。
しかし彼女の場合はもう先に進んで問題無さそうだ。
というよりも……私が我慢出来そうにない。
ずっと握り擦ってきた私の馬並み男性器が、更に大きく、爆発しそうなくらい大きくなっている。
早く、彼女の中に入れたい。
「ほら、「これ」だって欲しいんでしょ?」
私は待ちきれなくなった私の男性器を持ち上げ、彼女に見せつけた。
「ああ……それ、それも頂戴……」
とろんと目尻を下げ、熱い眼差しを私の男性器に注いでいる。
そのねっとりとした視線だけで、私は出してしまいそうになる。
「焦らないの。今日のメインはこっちでしょ?」
私は自分の焦りを悟られないように、彼女の焦りを指摘しながら指で菊座をなで上げた。
「んっ!……なにするの?」
期待と不安の目が、私に向けられている。
その視線を受けながら、私は黙って次の道具を取り出した。
「これ。これを入れながら「する」の」
手にしたのは、アナル用のバイブ。初心者用の小さめの物。
これをお尻に入れながら、私の肥大した陰核を彼女の陰門の奥へと突き入れる。
本来はこの逆、つまり菊座に彼女の彼氏のを入れて、陰門に彼女用のバイブを入れる。
これが最終目標。これまでの事は、あくまで彼氏の物を菊座の奥へと入れられるようにする為の準備。
これから、入れながらするのも、あくまでも最終目的への布石。
私の息が興奮で荒くなってきているのも、更に膨張していく私の陰核も、
全ては彼女の目標の為。そう、あくまで彼女の為。
「それじゃ入れるわよ」
念入りにローションを塗ったアナルバイブを、私は彼女の菊座に押し当て、入れていく。
「んっ!……あぁ……キツイけど……いい」
キツイとは言うが、今日初めてアナルの開発を始めた者が、もうバイブを入れられるなんて。
「それじゃ、こっちも……」
三歩下がって、私は両手で自分の男性器を支えながら構える。
そしてゆっくりと前進していき、馬並みに長くなった私の逸物を押し込んでいく。
「いぃああ、久しぶりの、おちん……こ……」
同族相手でなければ味わえないはずの快楽。久しい快感に、卑猥な言葉まで口から漏れてきた。
「さあ、たっぷり味わいなさい」
あなたも、私も。
始めはゆっくりと、しかし高揚している二人はすぐに激しさを求め、私の腰もすぐさま大きく素速く揺らされていく。
「とどいて、る、おくま、で、とどい、て、んっ、あっ! いい、ん、きもち、いい」
自ら胸を激しく揉みあげながら、一部の羞恥心もなく彼女はいななくように甘い歓喜を張り上げた。
「すごい……んっ、私も、こんなのは久しぶり……」
長い長い私の陰核が、全て彼女のヒダに包まれている。それが全て私に快楽を与える。
面積だけでも通常の三倍にも四倍にもなっている。快楽もむろん、同じ倍数だけ私に与えてくれる。
そう考えれば、彼女も人間の三倍四倍の快楽を得ているのかもしれない。
なるほど。ケンタウロスの一族に好色家が多いのもうなずける。
「ほら、こっちばかり感じてちゃダメでしょ?」
むしろ私が忘れそうになっていたくらいだったが、私は本来の目的を思い出し、
彼女に刺さったアナルバイブのスイッチを入れ、うねるバイブを手でも前後に動かした。
「いや! なにこれ……ん、あっ、いっ! おしり、こん、な、よすぎ、て、いっ、あんっ! きも、ちっ! はぁっ!」
もはや性器として開発された菊座。彼女の持つ二つの性器を同時に攻められては、悶絶しない方が不思議だ。
「いいわ、もっと、感じちゃいなさい、お尻も、あそこも、もっと、攻めてあげるから、ほらっ、ん……」
そして彼女の声を聞きバイブを出し入れし、そして直接彼女と繋がっている私も興奮の絶頂へと向かわなければおかしい。
「おしり、いい、おしり、おしりも、あっ! もっとついて、あそこも、もっと、おちん、こ、もっと、ついて、おしりも、もっと」
欲張りな彼女に答える為に、そして欲張りな私の為にも、アナルバイブも、私の腰も、激しく出し入れを繰り返す。
「いっ、ひさしぶり、に、いっちゃ、いくっ、いく!」
「いい、そのまま、逝っちゃいなさい……ほら、私も、逝くから……んっ、ほら、ほら!」
パンパンと、室内に木霊する音よりも大きく、私達は快楽を叫んでいく。
「いっちゃ、い、いく、い、く、いっ……んっ! いっちゃ、いっ、ちゃ……ん、あはぁ!」
彼女が高くいなないたと同時に、私の長い長い男性器から、擬似的な白濁液があふれ出した。
程なくして前足を折るように跪き、彼女は荒い息を整えながら余韻を楽しんでいた。
「一つ訊きたかったんだけどさ」
二人とも落ち着いたところで、私は彼女に問いかけた。
「アナルの開発は私より、あなたの彼氏にして貰った方が良いんじゃない? 一応彼氏も連れて来てって事前にお願いしてたのに」
そう。私は彼女から初めて相談を受けた時、彼氏を連れてくるように告げていた。しかし彼女はこれを断っていた。
「だって……」
眉を寄せ、困った顔をする彼女。何か問題でもあるのだろうか?
「彼氏を連れてきたら……エムプーサさんに夢中になっちゃうかもしれないし……なにより、エムプーサさんが何もしないってわけないでしょ?」
ああ、そういう事ね。今度は私が眉を寄せる番だった。
確かにまぁ、「流れ」から手を出さないとも限らない。というか、やっぱり出すでしょうね。
彼女はそれが面白くないのだろう。
しかも相手は普通の……ケンタウロスの娘を彼女に持つ人間を普通と言うかどうかはさておき……普通の人間だ。
そんな彼が、淫魔の私と交わって、さて正常でいられるか、ちゃんと自分との愛を忘れずにいてくれるか、不安になるのは当たり前だ。
「そうねぇ……じゃあ、とりあえずもう少しあなたのお尻が広がるまでは付き合うわ。次はいつ頃来られそう?」
まるで主治医が患者に次の来院日を予約させるように尋ねた。
「んー……」
しばし考えた後、彼女はにっこりと笑っていった。
「今すぐ!」
やれやれ。これだけ淫乱だと、普通の人間である彼女の彼氏は身が持つのかしら?
私はにっこりと微笑みながら、いそいそと道具を握りしめた。