新しい遊び
〜ピクシー〜

 なんか、面白い事無いかな。
 私は屋敷をぶらぶらと飛び回りながら、面白そうな事を探している。
 でも、みんな忙しそう。
 シルキーはヴィーヴルに掃除の仕方を教えるのに忙しいって言うし、アルケニーは遅れ気味の裁縫を済ませるのに忙しいっていうし、レプラホーン達はトンカン靴を作るのに忙しいし、猫又のジイさんは暇そうだけど、いっつもぼーっとしててつまんないし。
 そしてこういう日に限って、誰も遊びに来ない。
「むー、つまんないよー」
 ぷーっと頬を膨らませ、私はふらふらと飛び回る。
「こうなったら、最終手段!」
 私はここの「主」の部屋へと向かった。
 普段はおしゃべりに付き合ってくれるのに、夜は「色々あるから」と言って構ってくれない。
 確かによくわかんないけど、いっつも夜に「色々」やってるみたい。
 でも今日は誰も来てないしみんな忙しそうだから、たぶん一人だ。
 なら、おしゃべりに付き合ってくれるかも。
 私は「ピクシーの入室禁止」と書かれた紙の貼ってあるドアを開け、部屋に入った。
「……むー、なんだよー」
 寝てる。まだそんなに夜遅くないのに。
 そういえば、今日昼にストラスが来て、なんか「薬」を置いていったっけ。「じようきょうそう」とかなんとかに効く薬だって言ってた。
 それを飲んで寝ちゃったのかな?
「おもしろくなーい。おーきーろー」
 耳元で叫んでも、布団を剥いでも、でっぱった腹を蹴飛ばしても、起きやしない。
 つまんない。ぜんっぜんつまんない!
「およ?なんだあれ」
 ふて腐れる私の目に映ったのは、なんか「パンツ」が大きく膨らんでる変な光景。
 なんだろう?
 寝てるのにパンツの中に何を隠してるんだ? 私は好奇心で、パンツを剥いでみた。
「おお〜! なんだこれー!」
 中から、私の身長よりちょっと小さいくらいの「棒」が飛び出してきた。
 天井に向かってまっすぐ立つその棒は、どうやら彼の身体から生えているみたい。
「こんなのあったっけ?」
 これが「男」の大切な物らしいのは、なんとなく知っている。
 けど、こんなに大きかった?
 いつも見てるけど……これだけ大きければ、剥いだパンツみたいに服の上からでも解ると思う。
「なんなんだろう?」
 私は何となく、突いてみた。
 ビクッ
 棒が、なんか動いた。
「……面白いかも!」
 私はエイエイと、軽くサンドバックを叩くみたいに突いてみた。叩く度に、棒がピクピクと反応する。
「面白い!」
 私は夢中になって、何度も突いた。
 突くたびに反応し、気付けば少しずつ大きくなっているような気がする。
 こんなおもちゃを持ってるなんて! 教えてくれないのはずるい!
「……あっ、そうか。みんな夜に「これ」で遊んでたんだなぁ」
 私は思い出した。夜になるとこの部屋にスキュラやアルケニーがやってきて「これ」を手でいじったり舐めたり口に入れたりして「遊んでた」のを見た事がある。
 いつも夜はこの部屋に入るなって言われてるけど、入るなと言われて入らないのは面白くないから、何度かこっそり入った事がある。
 部屋ではなんか、二人が裸になって、カッパ達がよくやる「相撲」みたいなことして遊んでたけど、なんか見ててもよく解らないから、すぐに出てっちゃったんだ。
 だけど、あれは「これ」で遊んでたんだな。なんだ、もっと早く気付けば良かった。
 よし。折角だから、今度は私が「遊ばせて」貰おう。
 良い事に、薬のせいかぐっすり寝てて起きる気配はないから、怒られる事もなさそうだし。
 でも、どうやって遊ぶんだろう?
「ん〜……やっぱり、手でいじって舐めて口に入れればいいのかな?」
 私の身体では、口に入れるのは無理みたい。だけど「いじって舐める」は出来るかも。
 私は色んな所を手で触ってみた。
 触るたびに、ピクッと動くのが面白い。
「お、ここなんか凄く反応が良い」
 私は触りまくる中で、反応が良い場所を見つけた。
 一番先っちょの、穴が空いている部分と、キノコの笠みたいに、くびれたところ。
「よーし、同時攻撃だ、くらえぇ!」
 私は手で笠のくぼみをいじり、舌で先っちょの穴を舐めた。
 凄い! 今までの中で一番ピクピクが激しい!
 私は夢中になって身体を棒に押しつけ、手と舌を動かし続けた。
 動きが激しくなってきて、更にさっきまでよりまた棒が大きくなったような気がする。
「んっ……なんか、変な気分……」
 私は何かに取り憑かれたように、この遊びに夢中になっているのに気付いた。
 手でいじるだけだったのに、腕全体を使って抱きつくように擦り初め、舌だけで舐めていたのに、顔をくっつけるように夢中になって穴の中に舌を入れ始めている。
 そして胸とか脚とか、身体を棒に密着させて、私は上下に身体を動かし始めている。
「あっ、んっ、なんか……いい。よく、わかんないけど……なんか、いい」
 私はこの遊びに、かなり興奮している。
 楽しいとか面白いとか、なんかそういうのとは違う興奮。
 身体が燃えちゃうんじゃないかってくらいに、熱くなってるのが解る。
「あ、あ、いい、なんか……きもち、いい!」
 気持ちいい? これが、気持ちいいって事?
 そういえば、二人で遊んでいる時のスキュラやアルケニーもそんな事言ってた。
 そっか、みんなこの「気持ちいい」事を私に内緒でやってたんだな!
 こんな事、こんな気持ちいい事、なんで黙ってたんだよ!
 私は棒に抱きつき、激しく上下に動いて身体をこすりつけた。
 特に脚……股間のあたりがこすりつけてて一番「気持ちいい」。
「きもちいい、きもちいい! いい、いい!」
 夢中だった。息を荒げながら、ビクビクと脈打つ棒に、私は必至にしがみついている。
 そして、突然「それ」は起こった。
「きゃっ!」
 先っちょの穴から、白い「液」がドピュドピュ飛び出してきた。
「やー、ベトベトー」
 その液は、私の身体に降りかかり、全身ずぶぬれにされてしまった。
「……う、なんか苦いよこれぇ」
 ちょっと舐めてみたら、苦かった。あまり美味しくない。
 でも……なんか「癖になる味」がする。
 特にこの臭い。栗の花によく似た臭いが、私の頭をクラクラにさせる。
「……まだ起きないよね。じゃ、もう一回……」
 私は全身ずぶぬれのまま、へたり倒れた「棒」を抱きかかえた。
 ちょっと身体をこすりつけると、すぐにムクムクと大きくなる。
 身体が濡れているせいで、動かすのも滑りが良い。
「あは、いい、面白い……気持ちいい……」
 私は新しく覚えた遊びを、無我夢中になって繰り返した。

「まだ疲れはとれませんか?」
 朝。ヴィーヴルが朝食を並べながら彼女の「ご主人様」に尋ねている。
「んー……ストラスの奴、持ってくる薬を間違えたのかなぁ……」
 なんでも、昨日飲んだ薬は「せいりょくかいふく」が主な成分だけど、その効果が「効き過ぎた」とか、そんな事を話している。
「まったく、「夢精」するなんてもぉ……洗う方の事も考えてよね」
 シルキーがなんか怒っている。
 もしかして……昨日「遊び」終えた後、そのままにしちゃったからバレたのかな?
 でも、なんか怒られてるのは私じゃなくて、ここで一番偉いはずの彼。
 つまり……バレてはいないみたい。
「もう一度、ストラスと処方を検討してみようかな」
 ということは、またぐっすり眠って起きない、遊べるチャンスがあるって事!
 楽しみ、すっごい楽しみ!
 私は今から、新しく覚えた遊びを又したくて、うずうずしていた。

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